金融市場の変動を乗り切る:一括投資と積立投資の比較

世界経済の成長減速、貿易戦争の継続、英国の欧州連合(EU)離脱交渉をめぐり長引く不確実性といった懸念材料にもかかわらず、2019年上半期は投資家にとって比較的良い状況が続きました。ただし、数多くの問題が表面化した5月は到底良い月だったとは言えませんでした。

5月を通じて、株式市場は貿易摩擦激化という逆風にさらされました。米国は中国からの輸入品2000億ドル[A1] 分に対する追加関税を10%から25%に引き上げ、これに対抗して中国政府もレアアース輸出を規制すると対抗しました。さらに月末には、トランプ米大統領がメキシコからの輸入品全てに6月10日から5%の追加関税を課すと発表し、市場は下落しました。

こうした状況を受けて投資家の資金は国債へとシフトし、米国株はS&P500種株価指数もナスダック総合指数も下落しました。欧州でも、欧州議会選挙で親EU派が総議席の過半数確保という追い風にもかかわらず、株式市場は圧力にさらされました。さらに、英国ではメイ首相が辞任を表明し、同国のEU離脱の最終的な行方は不確実性を増しました。

こうした問題に直面しながらも、2019年の市場は上昇基調にありました。結局、MSCIワールド指数(ネットリターン)は年初からこれまで14.68%上昇しています。さらに、MSCI欧州指数とJPモルガン世界国債指数も年初来でそれぞれ13.14%、4.16%のトータルリターンを記録しています*。

一括投資か積立投資か

当社では独自の変動指数を算出しています。これは市場のボラティリティと相関性に基づく変数の動向をたどるもので、この指数の急激な上昇は市場がリスク回避ムードに傾いていることを示唆しています。

2018年後半は、投資家が激しい市場変動に耐える日々が続きました。変動指数は25まで上昇し、リーマンショック以来の水準に達しました。しかし2019年に入ってからは、5月に世界市場の動向を受けて若干上昇した以外は、総じて低下が続いています。

変動指数は、2019年初めには20前後にだったのが、5月末までには8.6に下がり、6月半ばまでほぼこの水準を保っています。

市場を取り巻く環境も比較的穏やかな状態にあり、大胆な投資家であれば手持ち資金を一気に投資したいという気持ちに駆られるかもしれません。しかし当社では、より賢明な方法は一定額を定期的に市場に投じ続ける積立投資であると考えます。これは、長期投資家が市場の変動局面を乗り切るために用いる方法です。

もちろん、資金を一度に投じるという選択肢もあります。この方法を選べば、資金は直ちにリターン獲得に向けて投入できるため、投資した金融商品の価格が上昇すればその恩恵を受けられます。ただし、裏を返せば価格下落にさらされる可能性があり、価格が投資後まもなく下がった場合には、投資額の価値も減少してしまいます。例えば2018年、特に下半期は、投資家にとってジェットコースターに乗っているかのような目まぐるしい相場展開となりました。この時期にグローバル株式に資金を投じた投資家はすぐに、7月から12月にかけての市場下落の衝撃を受けることになったのです。

これに対し、積立投資の場合には、いつ投資すべきかを正確に見定める必要はありません。投資対象商品の価格の変動に関係なく、毎月一定額を購入に投じるためです。

ドルコスト平均法の魅力

長期的な視点で積立投資を考える場合、市場の変動が有利に働く可能性があります。継続的に一定額の金融商品を購入することで、「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法がもたらすメリットを享受できるでしょう。これは、金融商品の購入数量を価格が安い時には多く、価格が高い時には少なくすることで、長期的には投資リターンを平準化できるものです。

すなわち、長期的に見れば積立投資期間の平均価格で購入することになるため、市場の変動を平準化できます。

例えば、ある投資信託を10カ月にわたって毎月100ユーロ分購入するとしましょう。初月の1口当たりの基準価額が10ユーロである場合、まずは100ユーロで10口購入することになります。

続く5カ月間の基準価額が7ユーロに下落した場合、同じ投資額でこの期間は毎月14口購入することになります。その後の残り4カ月は基準価額が12ユーロに上がったとしましょう。その場合、100ユーロでの購入数は月8口のみとなります。

合計すると、10カ月にわたる月100ユーロの投資で、投資信託を112口購入することになります。これに対して、この10カ月の初め、すなわち基準価額が10ユーロの時点で1,000ユーロを一括で投じていたとしたら、100口の購入にとどまっていたのです。

10カ月の最後に基準価額が10ユーロに戻ったとしたら、一括で購入した投資信託の価値は1,000ユーロのままです。一方、積立投資をしていれば、購入した112口の価値は1,120ユーロとなり、120ユーロの利益を得ることができるのです。

もちろんこの逆も起こり得ます。10カ月の間に基準価額が上昇した場合には、毎月の投資額で購入できる口数は減るため、最終的な成果は悪化します。いずれの投資手法を選択するにせよ覚えておくべき点は、最適な投資のタイミングがいつなのかは誰にも分からないものの、長期にわたって投資すれば、資金を増やす可能性を最大化できる、ということです。

長期的な分散投資を

投資をめぐる環境は今のところ、少なくとも市場リターンという点では総じて穏やかに見えます。とはいえ、様々な事態が進行中であるため、何の前触れもなくあっという間に乱高下局面に逆戻りする可能性もあります。さらに注意が必要なのは、市場の先行きが不透明な時期には資産クラス間の相関性が高まりがちで、このことが不安定性に拍車を掛けかねないという点です。

常に市場に勝ち続ける資産クラスなど存在しません。ただし、複数の資産クラスにわたって投資を行うことで潜在的な投資収益源を分散させれば、いかなる変動が市場に起きても、それに対する適切な備えができると考えられます。

*    出典:ファクトセット、2019年6月13日時点のデータ

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