新型コロナウイルスのマクロ経済および運用戦略への影響に関するアップデート: 金融・財政刺激策の導入進む - 2020年4月16日

当資料は、金融商品取引法で定義されている適格機関投資家を対象としており、一般投資家向けではありません。当資料は、4月16日にアクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサ IM)が開催した新型コロナウイルスの影響に関する顧客向け電話会議の内容を要約したものです。原文はこちらをご覧ください。

 

新型コロナウイルス危機が、引き続き市場に大きなボラティリティをもたらしています。世界経済にとって異例で厳しい状況ですが、政策担当者および中央銀行は、市場の安定とマクロ経済対策で決然とした行動を取っています。当社の専門家が、現状に関する見解および今後の見通しと投資機会を説明します。

 

アクサ・グループ・チーフ・エコノミスト、ジル・モエック

 

当社は、5月中旬までには欧州大陸の多くの国がロックダウン(都市封鎖)を解除し始めると予想しています。しかし、米国については慎重に見ています。新型コロナ感染が急拡大した地域での伝染速度は落ち着いてきていますが、その他の主要都市での感染拡大を注視する必要があります。米国における正常化への広範な回帰は、第2四半期末まで待つ必要があるでしょう。

 

一方、米国の空前の経済刺激策の効果を当社は注視しています。失業保険申請によれば、米国の労働人口の10%以上が失業していますが、所得補助などにより所得は通常勤務水準に近いものとなっています。さらに、PPP(給与保護プログラム)の強力なサポートにより、労働人口の10~15%の給与が連邦政府ローンを活用して支払われています。なお、雇用が維持された場合、一定条件を満たせば連邦政府ローンはほぼ返済不要で、実質的には給付となります。

 

所得の維持以外では、企業の事業継続がカギとなります。FRB(米連邦準備制度理事会)は、社債購入プログラムにおいて、3月22日時点でBBB格(投資適格)だった社債の格付けがBB-格(投資不適格)まで格下げになっても手放さない意向です。FRBはまた、企業セクターへのローン供給を維持するため、銀行に対する流動性の拡大も発表しました。

 

欧州に目を転じると、FRBと同様に、ECB(欧州中央銀行)の社債購入プログラムにおいても、格下げされた社債の維持に対する圧力が高まると当社は予想しています。なお、当社は、イタリアのGDPの150%を突破する勢いである同国の公的債務を懸念しています。イタリアはもともと名目GDP成長率が低いため、コロナ感染が落ち着いた後、膨れ上がった債務に対処しなければなりません。

 

ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)により先週話し合われた新型コロナ対策は歓迎すべきですが、当社は慎重に見ています。実際、同会合で話し合われた最も重要な「リカバリーファンド」は極めてあいまいに定義されています。結局、事態解決の方策は、企業のバランスシート改善のための緊急ローンをECBが導入する方向であろうと当社は考えています。

 

中央銀行は、中央銀行による政府債務のファイナンスを支持するMMT(現代金融理論)支持者と、伝統的な金融政策への回帰を望む規律主義者の間で綱渡り状態となっています。当社は、新型コロナ感染対策に限定された中央銀行の緩やかなバランスシート拡大は許容できると考えています。しかしながら、微妙なバランスが必要であり、そして今後は新興国の財政難で同様の議論が浮上するでしょう。

 

アクサIM 最高投資責任者(コア・インベストメント)、クリス・アイゴー

 

現在、世界は中央銀行の金融刺激策と政府による財政支援策のただ中にあります。巨額の資金が約束されていますが、キャッシュが経済に行き渡るまでには時間がかかるでしょう。市場は、政策の後押しおよび世界的なコロナ感染速度の低下に支えられています。それでも、経済ショックの規模は極めて大きく、IMF(国際通貨基金)によれば、2020年の世界経済の成長率は前年比で3%の減少となり、大恐慌後としては最悪と予想されています。

 

国債市場は主要中央銀行による量的緩和政策に支えられており、社債市場はクレジット・ファシリティで下支えされています。米国では、FRBによる社債の発行市場及び流通市場におけるファシリティにより、FRBは債券、ローン、クレジットETF(上場投資信託)など総額7,500憶ドルを購入する方針です。先週、社債の買い入れ基準が改定され、FRBは最近ハイイールド債に格下げされた社債も購入できるようになりました。

 

今後数週間は、企業の第1四半期決算発表が注目されます。早くに発表された米主要銀行決算では、第2四半期GDPの落ち込みを予想し貸倒引当金の大幅な積み増しが目立ちました。今後発表される決算でも悪いデータが目白押しとなるでしょうが、市場は今後の収益動向に引き続き注目しています。

 

新興国は依然として問題を抱えており、原油安、米中貿易戦争の影響、そして現在はコロナ感染の打撃を受けています。多くの新興国ではロックダウンが行われており、国内経済活動の崩壊につながっています。国際金融協会の推計によれば、新興国は年末にかけて7,300億ドルの対外債務をファイナンスする必要があります。一部の新興国は、大きな経常赤字および既に高い水準の対外債務により、ファイナンスは難航するでしょう。

 

一部の新興国では資本流入が途絶えており、外貨準備高も急激に減少しています。最もリスクが高いとみられるのは、南アフリカ、ウクライナ、トルコです。

 

新興国のプラスの側面としては、バリュエーションが魅力的になっていること、原油価格動向が最近安定してきていることが挙げられます。しかし、国内政策の選択余地は限られ、外貨準備は減少し、通貨安に直面しています。新興国全般としては、大型財政刺激策を講じる余地がありません。対外赤字は減少するでしょうが、債務の借り換えが課題です。大きな対外債務を抱える新興国に対するIMF支援と、先進国におけるリスク選好度の改善が、新興国資産およびその経済における持続的な回復に不可欠でしょう。

 

アクサIM フラムリントン株式 ロボテック戦略ポートフォリオ・マネージャー、トム・ライリー 

 

2020年は投資家にとって厳しい状況となっていますが、当社のロボテック運用戦略のパフォーマンスは市場平均をかなり上回っています。

 

ボラティリティの高い市場環境下、当戦略が健闘しているのは、投資対象企業のバランスシートが強固なためです。当戦略で保有している銘柄は、株式市場インデックス構成銘柄と比較した場合、債務が大幅に少ない(債務がないケースも)ため、市場乱高下の影響を幾分受けにくくなっています。

 

そして、新たな在宅勤務環境の恩恵を受けている企業のパフォーマンスが好調です。こういった銘柄には、リモートワークアプリを提供しているドイツのソフト会社のチームビューワーや、先進的な自動オンライン小売業のオカドやアマゾンがそうです。また、一部の半導体製造企業も堅調で、データセンター向けの高パフォーマンスコンピューティングやAI(人工知能)で使われる半導体を製造しているアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やエヌビディアなどが好調です。こういったデータセンターは、在宅勤務やオンライン・エンタテインメントなどで利用が拡大しているクラウドコンピューティングを支えています。

 

新型コロナの影響の一つは世界的なサプライチェーンの途絶で、以前の米中貿易戦争の影響と同様、製造拠点や部品調達の再検討を企業に促しています。グローバルチェーンの再構築には時間がかかるでしょうが、一部の設備投資は米国や欧州に回帰する可能性があります。これは、中国などでの賃金上昇により新興国で製造するコストメリットが徐々に低下していることも背景にあります。消費地に近いところで製造するための設備投資の増加は、ロボット関連や自動化技術に追い風となり、ロボテック運用戦略に対する長期的なサポートとなるでしょう。

 

さらに当社では、政府に対するヘルスケア支出拡大圧力の高まりを予想しています。しかし、政府予算には限界があるため、ヘルスケアコストを削減したり、患者の状況をなるべく改善したり、早期退院を支援するようなテクノロジーに当社は注目しています。ロボット手術はこれらのニーズを満たすものであり、当社ではロボット手術業界のかなりの成長を予想しています。

 

なお、コロナ感染への緊急対策が現在は重視されているため、ロボット手術の対象である(緊急を要しない)待機的手術が延期されていることで、一部のヘルスケア銘柄の株価が下落しています。しかし、手術は延期されているだけで中止ではないため(患者には手術が必要)、今後、状況が正常化すればそういった手術の回復需要はかなり大きなものと予想されます。当社は長期の投資ホライズンで投資を考えており、過去数週間に一部の保有銘柄のポジションを増やしました。これらの銘柄は、経済が正常化した場合の収益ポテンシャルを考慮するとかなり割安になっているためです。

 

アクサIM 債券運用部 ユーロ・クレジット&アグリゲート シニア・ポートフォリオ・マネージャー、バテイナ・ディークソン

 

クレジット市場のボラティリティが最近著しく高まっており、特に流動性が低く大きくスプレッドが拡大している短期デュレーション債券でその傾向が顕著です。

 

債券市場の活況とともにスプレッドが縮小した昨年12月以降、当社のユーロ・クレジット短期デュレーション戦略では、全般的にクレジット市場に対する感応度を抑制することにより、現在の環境に対応してきました。具体的には、堅調な市場環境を利用して、市場感応度の高い銘柄を売却して利益を確定したほか、オフベンチマークの銘柄に対するポジションを一部削減しています。

 

債券市場の上昇が続いた1月には、クレジットのバリュエーションが極めて割高になったと判断して、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)によるプロテクションを購入しました。その後、中国国外での新型コロナウイルスの拡大により、実体経済や金融市場にも悪影響が広がったことを受けて、当社は3月上旬にCDSのエクスポージャー(プロテクションの購入)を拡大しました。

 

上記の対応により、当社は2月最終週以降の社債スプレッド拡大の影響を一部抑えることができました。

 

短期デュレーション社債市場では、上場投資信託(ETF)やいくつかのアクティブ・ファンドから大きな資金流出があり、市場の流動性が大きく損なわれるとともに、ビッド・アスク・スプレッドの著しい拡大が見られました。しかし、最近の大型起債ではディフェンシブ銘柄や格付けの高い銘柄を中心に、堅調な投資家需要が確認されており、3月末から4月上旬にかけては景気敏感セクターの企業も起債を行っています。なお、企業の決算発表シーズンに入ったことで、今後数週間は低調な起債状況が予想されます。

 

市場では投資適格からハイイールドに格下げされた発行体(フォールン・エンジェル)が散見されますが、当社はそのことを過度に懸念していません。一部の発行体の格下げは市場の注目を集めるでしょうが、ユーロ圏ではそうした発行体の数は限られています。一方、米国市場ではフォールン・エンジェルの増加が予想されます。

 

テクニカル分析の視点からは債券市場は堅調で、需給は引き締まった状態にあります。中央銀行の量的緩和政策が下支えとなっており、社債市場からの資金流出は落ち着いていくと予想しています。しかし、実体経済が新型コロナの悪影響を大きく受けているため、企業のファンダメンタルズは悪化しています。今後発表される第1四半期の企業決算は市場予想を下回ると見込んでいますが、それでも業績悪化の大半は既に社債価格に織り込まれていると考えています。

 

2月下旬以降の社債スプレッドの大幅な拡大により、当社はリスク資産に対して若干ややポジティブな姿勢に転換したため、社債エクスポージャーに対するヘッジを一部削減しました。当社は、良好なコンセッション(新発債と既発債のスプレッドの差)と流動性を提供してくれる発行市場において、選別的に銘柄を選択していきます。

 

以上

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