新型コロナウイルスのマクロ経済および運用戦略への影響に関するアップデート: ロックダウン解除後を見据えて - 2020年5月14日

当資料は、金融商品取引法で定義されている適格機関投資家を対象としており、一般投資家向けではありません。当資料は、5月14日にアクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサ IM)が開催した新型コロナウイルスの影響に関する顧客向け電話会議の内容を要約したものです。原文はこちらをご覧ください。なお、本電話会議は、次回より月次で開催される予定です。

 

新型コロナウイルス危機が、引き続き市場に大きなボラティリティをもたらしています。世界経済にとって異例で厳しい状況ですが、政策担当者および中央銀行は、市場の安定とマクロ経済対策で決然とした行動を取っています。当社の専門家が、現状に関する見解および今後の見通しと投資機会を説明します。

 

アクサ・グループ・チーフ・エコノミスト、ジル・モエック

 

欧州大陸の大半の国々は、ロックダウン(都市封鎖)の条件を幾分緩和したり、まさに緩和しようとしています。当社は、2020年下期のかなりの好転を引き続き予想していますが、景気回復を損なう可能性がある3つの「反動」を懸念しています。

 

第一の反動は、ユーロ圏の格差に端を発した緊張の再燃です。先週のドイツ連邦憲法裁判所(GCC)の判断(ECB(欧州中央銀行)が(各国のECBに対する)「比率原則」を順守しなければ、ECBの量的緩和プログラムに対するドイツ連邦銀行の参加を一部中止させる)は、大きな障害となります。技術的には、ECBは「ドイツ連銀なしで」量的緩和政策を進めることができ、脆弱な加盟国を引き続き保護することができるでしょう。

 

しかし、根本的には法律上の対立はECBの原則に関するものであり、ECBがその独立性やユーロ圏における金融政策の単一性を損なうことなく、GCCのプロセスに従うことができるかは不明です。それでも、GCCの判断を考慮すると、ECBの負担を軽減し、債務の相互化といった形で通貨同盟の結束を固めるいい機会かもしれません。しかし、先週のユーロ圏財務相会合では「回復基金」について進展が見られませんでした。

 

第二の反動は、依然軟調な新興国です。大半の新興国は景気刺激策を導入していますが、先進国の刺激策に比べるとその効果は限定的です。一部の国は量的緩和策も試みようとしています。先週、ブラジルの中央銀行は量的緩和策実施に関する承認を得ましたが、特有のリスクと限界を伴っています。ブラジルには財政および金融のポリシーミックスに関する信頼感が欠如しているため、自国通貨の急落を招いています。通貨の急落は、外貨建て債務を通じて金融の安定性を脅かします(トルコでは主要問題に)。

 

第三の反動は、米中の緊張再燃です。世界貿易が通常に復帰する際、通商摩擦の浮上がない方がいいでしょう。しかし、トランプ米大統領は選挙対策の誘惑にかられています。中国は先進国よりも早くロックダウンを解除しましたが、経済は依然停滞したままです。中国はこれまでのところ全面的な景気刺激策を打ち出していません。米国との緊張関係再燃の見通しにより、中国政府はさらなる財政および金融刺激策を取る可能性があります。

 

アクサIM 最高投資責任者(コア・インベストメント)、クリス・アイゴー

 

現在の株価水準と経済状況には大きな乖離があります。GDPの縮小、失業者の大幅増、過去最高の債務水準見通しは、3月23日以降の主要株価指数の20%~30%上昇とは相いれません。

 

先週の状況がまさにそうで、金曜に発表された4月の米雇用統計によれば就業者数が2000万人減少しましたが、米株式市場は3.5%の上昇で週を終えました。このことから、株式は割高になっており投資家は手じまい売りをすべきだ、と結論づける人もいます。

 

しかし、これはあまりに単純すぎるでしょう。第一に、悪い経済指標は誰にとっても驚きではありませんでした。ロックダウンが経済活動や雇用に大きな悪影響を与えたことは明らかでした。一方、株式市場の機能は、企業収益に基づく将来のキャッシュフロー予想をベースに資本を配分することです。このため、現在の市場水準は今後の動向を織り込んでいるのです。

 

株式市場が正しいかどうかは景気回復によって決まります。しかし、それ以外に経済と株価の乖離を合理的に説明できます。現在の株価水準においても損失を生じています。新型コロナ危機の当初と比較すると、S&P500指数銘柄の時価総額は2兆5000億ドル減少しています。一方、米国経済は今年約9000億ドル減少すると当社は予想しています。結局、大きな差があります。

 

第二に、株式市場の構成は経済全般とは異なります。ソーシャルディスタンス(社会的距離)で最も大きな打撃を受けた産業セクターは、株式市場で大きなシェアを占めていません。先週発表の4月の米雇用統計によれば、失業が最も多かったセクターは、レジャー・ホスピタリティー(ホテルやレストランを含む)、教育、ヘルスサービス、小売りでした。これらのセクターが株式市場で占めるウェイトは大きくありません。また、こういったセクターは低賃金で付加価値も比較的低い産業で、成長を生み出す主要産業ではありません。

 

第三に、株式セクターのパフォーマンスはセクターの経済動向を反映しています。米国でパフォーマンスが最も悪いセクターは、百貨店(多くの店舗は閉鎖されています)、航空(ほとんど利用されていません)、ホテル、エネルギー関連株、ホテルおよび小売セクターをカバーする不動産投資信託です。一方、パフォーマンスが最も良いセクターは、ワイヤレスサービス、インターネット小売、食品小売、ネットベースの家庭向けエンターテインメントです。

 

こういった株式セクターのパフォーマンスは、ロックダウンが過去7週間続いていることから驚きではありません。第1四半期の決算動向も同様です。1株当たり利益が良好なセクターは、ヘルスケア(バイオテクノロジーおよび医薬品)、生活必需品、IT、その他消費者サービスです。一方、負け組セクターは、一般消費財、エネルギー、金融です。銀行は多額の貸倒引当金を計上し、減益となっています。

 

以上が示唆することは、株式市場は合理的ということです。投資家は、新型コロナ危機の悪影響を最も受けていないセクターや、消費者の購買動向や企業のビジネスモデルの変化の恩恵を最も受ける可能性があるセクターに資金を投じているのです。この状況は、アクティブ運用にとっては追い風です。アクティブ戦略は各株式セクターの変化の恩恵を享受でき、アクサ IM フラムリントンのテーマ株式戦略は良好なポジションにあります。

 

アクサ IM フラムリントン株式運用チーム・ヘッド、アクサIM グローバルテクノロジーおよびデジタルエコノミー戦略ファンド・ポートフォリオ・マネージャー、ジェレミー・グリーソン

 

当社の運用スタイルの基本哲学は、クオリティの高い企業を特定することです。これはつまり、優れた経営陣を擁し、魅力的な中長期的な成長見通しを有し、多くの投資好機を持つ企業を発掘することです。

 

長期的な投資テーマへのエクスポージャーに加え、当社は、ネットキャッシュ、高い利益率、強力なキャッシュフロー創出力を伴う健全なバランスシートを維持する企業に注目しています。

 

現在の世界的な危機的状況下では、当社の戦略において良好な長期見通しを有する企業への投資がいかに重要かは明白です。

 

過去数週間にかけて保有銘柄の一部が第1四半期の決算発表を行なっており、危機時の実績や今後の事業見通しが明らかになっています。

 

多くの場合、決算発表は懸念していたよりも良好で、新型コロナ感染の悪影響はあったものの、ビジネスモデルに大きなダメージを与えていません。さらに、一部の保有銘柄はさらに成長しています。

 

たとえば、ここ数カ月間のeコマースの拡大は、アマゾンや英オンライングローサリー企業のオカドなどへの大きな恩恵となっています。また、フィンテックリーダーのペイパルもeコマース需要拡大の恩恵を享受しています。

 

在宅勤務の必要性が高まったことで、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティー、コラボレーションツールの需要が拡大しており、サービスナウ、チームビューワー、アトラシアンなどの企業がその恩恵を受けています。

 

デジタルエコノミーにおけるこういった企業の役割およびその世界的ニーズはさらに高まっている、と当社は考えています。デジタルチャンネルを通じて顧客との対応を企業に可能にするサービスへの需要は既に拡大しています。これは、次世代型のカスタマーセンター技術を提供しているファイブ9や、モバイルアプリを介したメッセージのやり取りを可能にするデジタルコミュニケーションプラットフォームを提供しているトゥイリオなどの企業の好業績に反映されています。

 

新型コロナ危機が収束し始め、世界経済が通常に戻る中、上述の企業は過去数カ月間に見せた強みを活かして、事業をさらに拡大していくと当社は予想しています。

 

アクサIM アクティブ債券運用英国ヘッドおよびAXA IM グローバル・ストラテジック債券ファンド・ポートフォリオ・マネージャー、ニック・ヘイズ

 

債券市場は世界的にここ数週間かなり落ち着いています。金融市場は各国中央銀行による大規模な景気刺激策に反応し始め、投資家の関心は景気回復のタイミングや回復のペースに転じています。

 

当社の債券運用戦略では、社債市場のバリュエーションが魅力的な水準に達しつつあるとの判断から、キャッシュや短期国債の一部を、利回りの高いクレジット投資に振り向けることを検討しています。

 

当社のクレジット投資戦略には、投資適格の欧州銀行債や、英ポンド建ての新発社債へのエクスポージャーの拡大が含まれます。中央銀行の積極的な金融支援がクレジット市場に安定をもたらした結果、企業の社債発行意欲は高く、我々が魅力的なスプレッドでクオリティの高い社債にアクセスすることを可能としています。

 

クレジットポートフォリオの信用力アロケーションでは、短期ハイイールド債エクスポージャーの一部について、バリュエーションの割安さに着目して、より格付けの低い債券への入れ替えを行っています。

 

セクター別で見た場合、エネルギーやレジャー関係の銘柄は軟調である反面、テクノロジーがヘルスケアセクターのパフォーマンスは良好です。当社は3月末以降リスク選好度を引き上げましたが、全体としては引き続き、主要国国債やインフレ連動債、キャッシュなどのディフェンシブな資産を選好しています。

 

量的緩和策や国債および社債の購入といった、中央銀行による前例のない対応が、債券市場に与える影響を考慮すると、信用力の高い国債はポートフォリオの中で重要な役割を果たすと考えています。

 

もちろん、クレジット市場の利回りがさらに押し下げられれば、より高い利回りとリスク分散を実現することができるでしょう。しかし、我々は依然として金融市場のボラティリティの高い展開を予想しています。そのため、新型コロナ危機が終息に向かい、景気回復の見通しがより明らかとなる時期を待って、キャッシュや国債の比率を引き下げ、魅力的なクレジットへの投資に活用する方針です。

 

クレジットポジションを構築する際には、一度に大規模に投資するのではなく、市場環境を注視しながら良いエントリータイミングを見極め、慎重かつ徐々に投資を拡大していくことが重要です。

 

COVID-19(新型コロナ感染症)危機と世界的な経済ショックおよび将来の景気回復の状況に応じて、当社は、魅力的なリスク調整後リターンの提供を可能とする適切に分散された債券ポートフォリオを維持してまいります。

 

以上

アクサIMについて

アクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)は長期的かつグローバルにわたる多様な資産に対してアクティブな運用を行う資産運用会社であり、投資によってお客様がより良い将来を確保するのに必要なソリューションを提供し、私たちが住む世界にプラスの変化を創造すべく、今日、お客様と共に努力を続けています。2020年3月末時点で約8040億ユーロの運用資産残高を有し、20ヵ国28拠点において2,360名余の従業員を擁し、グローバルな事業を展開しています。アクサIMは世界最大級のフィナンシャル・プロテクションと資産運用グループであるアクサ・グループの一員です。

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