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2022年後半の市場、インフレ、ハイイールド債の展望

  • 2022年7月18日 (10 分で読めます)

新型コロナパンデミックとウクライナ戦争の波紋は、世界経済に依然さまざまな影響を与えています。

インフレは利上げによる冷却効果を必要としますが、中央銀行は、過度に積極的な利上げ政策によって引き起こされる景気後退に注意を払う必要があります。当社は現在、インフレリスクは依然として上方に偏っていると見ており、インフレトレードに関心のある投資家は検討すべき点が多いと思われます。

このような背景から、債券と株式の相対価値がリセットされつつあると見ています。債券が盛り返しつつあり、選別的なアクティブ運用投資家にとって、注目すべき投資領域や比較的魅力的なエントリーポイントが存在すると考えられます。

以下ではアクサIMの4人の専門家が、世界経済、市場、インフレ、債券などについて、今年後半以降の展開予想を解説しています。(訳注:本稿は、7月12日に開催された資産運用研究所アウトルック・ウェブセミナーでの発言内容に基づきます。)


クリス・アイゴー、アクサIM資産運用研究所議長兼コア・インベストメントCIO

2022年上半期は、すべての市場にとって厳しい結果となりました。債券、株式ともにトータルリターンは1970年代初頭以来最悪となりました。

インフレ率の上昇、ウクライナ戦争への中央銀行の対応、供給問題の継続など、すべてが市場パフォーマンスと投資家心理に影響を及ぼしています。

インフレ率は依然として高く、厳しい状況をさらに悪化させています。当社は、今後数カ月間に米国、欧州、その他の地域で追加利上げが実施されると見ています。また、今のところ、ウクライナ危機は改善の兆しを見せていません。

しかし、見通しの中で、いくつか明るい兆候もあります。ここ数週間において国債利回りのピークに達したと考えられ、市場はこのサイクルでの政策金利のピークを、米国では3%強、欧州では1.5%程度と予想しています。

しかし、予想は変化するものです。インフレ率が引き続き上方修正されるリスクがあり、その場合、中央銀行はさらに多くのことを行う必要があります。

それでも、今のところ期待金利は安定しており、債券利回りは6月上旬の高水準からやや低下しています。

債券の平均価格は昨年末から大幅に下落しており、国債だけでなく社債やハイイールド債も利回りが上昇しているため、投資家は債券市場の新たなエントリーポイントに注目する機会を得ています。

債券利回りの上昇と密接に関連し、株式市場の大幅な下落を目の当たりにしています。これまで割高だった株式市場の一角、特に質の高い高成長株では株価収益率が大幅に低下し、新型コロナウイルスが流行する前の水準に戻りました。

世界経済は今後数四半期にわたって減速すると予想されており、その結果、来年の動向を占う指標として企業収益に注目が集まっています。

債券と株式で全般的に、バリュエーションやその他のテクニカル指標に基づく当社の評価は大幅に改善しています。当社のポートフォリオ・マネジャーは、市場全体では良好なバリューを見出しています。しかし、明らかに経済見通しは非常に厳しいままです。

ジル・モエック、アクサグループチーフエコノミスト兼アクサIMリサーチ・ヘッド

2022年後半の見通しは、特に明るいものではなく、当社の予測はコンセンサスを下回っています。当社は、2023年の米国のGDP成長率をコンセンサスの1.8%に対して1.2%、ユーロ圏の成長率をコンセンサスの1.5%に対して0.7%と予想しています。

当社では、経済に対して5つの主な逆風が吹いていると見ています。第一に、あらゆる場所で購買力を低下させている大幅なインフレ高騰です。最近、原油価格には改善が見られ、特に米国に恩恵をもたらしていますが、これは天然ガスに対する追加圧力で相殺されており、ユーロ圏にとっては問題です。

第二に、中国の需要の弱さです。これは、新型コロナウイルスの再拡大を見るかどうかには関係ありません。中国当局は国内の金融不均衡を助長することを懸念し、あまり内需刺激策を取りたくないようで、消極的な姿勢を取っています。

第三に、米国における大規模な財政出動の終了です。中間選挙で民主党が敗北すれば、2023年には抑制的な財政政策になる可能性すらあります。第四に、最も脆弱な人々を除く家計に対する財政支援の終了です。これまで政府は、現在のインフレ急上昇に対処するために家計に対してかなり多くの保護を提供してきましたが、その能力も限界に近づいています。

第五に、中央銀行がインフレ率上昇に対応したことで、金融環境がタイトになっています。これは、企業の借り換え金利や、最近の欧州中央銀行(ECB)の融資調査に見られるように、銀行が家計や企業に対する与信基準を厳格化していることに表れています。

このインパクトは今後数カ月で浮上し、購買担当者景気指数(PMI)などの経済調査にもすでに反映され始めています。

問題は、このような指標の悪化により、中央銀行がタカ派的レトリックを弱めるようなるかどうかです。私の予想では、まだそこに到達していません。

米国では、人々がパンデミック時に蓄えた過剰貯蓄を取り崩さなくなりつつあり、消費の正常化の始まりを目撃し始めています。そして、労働市場も正常化しつつありますが、FRBがその姿勢を変えるにはまだ十分ではありません。FRBがタカ派的レトリックから脱却するには、インフレが抑制されていることを示すより大きなシグナルを確認する必要があります。

当社は、世界の中央銀行が今後も利上げを継続すると見ており、この状況が変化し始めるのは年末から2023年初頭にかけてと予想しています。

ジョナサン・バルトラ、アクサIMソブリン、インフレ、FX、債券ヘッド

新型コロナウイルスと同様に、インフレの波を何度か経験していますが、市場やエコノミストはインフレは一過性のものであると予想しています。

当社の四半期ごとのエコノミスト・インフレ調査では、米国のインフレのピークは2カ月先、欧州は3~4カ月先で、それぞれ約9%、10%弱とみられています。

しかし、インフレ率は上昇サプライズを続けています。コンセンサスはピーク後の急激な減速を予想していましたが、現在はかなり緩やかにインフレ率が低下すると予想されており、年末にかけてインフレ率上昇の高原状況が発生する可能性があります。

そして、インフレが定着すればするほど、その解消は困難になります。しかし、エコノミスト調査によると、現在のインフレは一過性のものと予想されています。それによると、2024年にはユーロ圏と米国でインフレ率が2%以下に戻ると予想されています。他の指標でも、市場はインフレを一過性のものと見なしており、2024年以降のインフレの大きな上昇リスクを織り込んでいないことがわかります。

主な投資判断としては、長期のブレークイーブン・インフレ率(または期待インフレ率、国債利回り(名目金利)とインフレ連動債利回り(実質金利)の差)が20~40ベーシスポイントほど低すぎると考えています。そのため、特に他のインフレ連動債戦略と比較すると、以前ほど魅力的ではありません。

短期デュレーション・インフレ連動債は、金利上昇に対する大きなバッファーとなる可能性があります。当社は、今年に入ってからの実質金利の上昇と今後の堅調なインフレ・インデクセーション(利子などの物価スライド)により、短期インフレ連動債のキャリーが極めてポジティブな状態を維持すると予想しています。

長期デュレーション・インフレ連動債がもたらすインカムは潜在的に非常に魅力的であり、投資家が実質金利上昇を乗り切る一助となる可能性があります。長期インフレ連動債は金利感応度が高いため、より大きなボラティリティに直面するおそれがありますが、スタグフレーションのシナリオではより大きな投資機会を提供する可能性があります。

当社は、中期的なインフレけん引要因として、より持続可能な財政支出、脱グローバル化の議論の進展、グリーン革命の3つ を考えています。インフレ連動債を長期的な戦略的資産配分に組み入れる投資家が増えており、今後もこの傾向は続くと思われます。

ピーター・ヴェッキオ、アクサIM米国ハイイールド債シニアポートフォリオ・マネージャー

インフレやタカ派的な中央銀行など、いくつかの不確実性や逆風があり、景気後退的な局面に追い込まれる可能性があります。そして、市場のボラティリティは今後も続くと思われます。

しかし、長く続いた売りの局面を経て、当社の見解では、ハイイールド債のバリュエーションは過去に例のないほど魅力的になっています。売り越しによりバリュエーションがリセットされ、例えば高格付けの BB 格クレジットの分野では、より魅力的な機会が創出されたと当社は考えています。

デフォルト率は0.75%で、数カ月前に記録した史上最低の0.22%をわずかに上回っているだけです。この水準は長期的には維持が困難ですが、これまでの長期平均である3.3%~3.4%に戻るか、それを上回るとしても、比較的穏やかな信用環境であることに変わりはないでしょう。

企業のバランスシートの健全性はかなり高く、収益は新型コロナウイルス拡大時の低水準から回復しており、流動性は十分で、多くの社債の満期償還が迫っているわけではありません。

当社はここ数年、発行市場における記録的な規模の動向を見てきましたが、調達資金の大半は借り換えに充てられており、企業の満期償還プロフィールを高めています。このため、企業はインフレや景気後退の可能性のある環境を乗り切るために、かなり十分なクッションを持っていると私は考えています。

現在、当社が最も確信を持っているのは、ディフェンシブでボラティリティが低く、なおかつ高いパフォーマンスが期待できる短期デュレーション戦略です。世界金融危機以降、短期デュレーション債利回りが現在より高かった時期は、2011年の米国債格付けの引き下げと2020年のパンデミック発生時期の2回しかありません。同様に、短期デュレーション債の平均ドル価格が今よりも低かった時期も、2020年のパンデミック時の1回のみです。

短期デュレーション戦略は強靭性が高く、一般的にすぐに回復する傾向があります。これらの短期デュレーション債は常に額面またはコール価格に引き戻されるため、今後6~12カ月間のフォワードリターンはプラスになると当社は確信しています。

インフレが高止まりし、景気後退に陥ったとしても、当社は、短期デュレーション債はこういった環境を乗り切れると考えています。下落局面でのプロテクションを提供しつつ、上昇局面においてはそのかなりの部分を投資家は享受できるとみられます。

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