スチュワードシップ・レポート 2022:テーマとその背景
激動する情勢を背景に、効果的かつ強固なスチュワードシップを通じて企業の行動に影響を与えることが、かつてないほど重要になっていると当社は考えています。責任ある資産運用会社として、当社はスチュワードシップを公正でグリーンな移行を後押しする重要なメカニズムと捉えています。
当社の専門家が、エンゲージメントや議決権行使、マクロ経済環境、公共問題や規制状況など、2022年を特徴づけるトレンドを検証しています。
主なポイントとデータ
2022年に、当社は480社に対し596件のエンゲージメントを行いました。ガバナンスが議論の主要テーマであり、うち24%のケースがコーポレートガバナンス関連でした。
エンゲージメントについてはこちらから金融セクターは、気候変動や世界的な社会的課題への対応について、ますます厳しい監視の目にさらされています。当社の除外方針は明確なレッドラインを設定し、当社が持続不可能と考える活動について企業に強いメッセージを送ります。また、投資先企業が主要なESGリスクに対処し、ベストプラクティスを実施するよう後押しするスチュワードシップ戦略にも重きを置いています。
アクティブエンゲージメント:ケーススタディー
当社のエンゲージメント・ポリシーに従い、各エンゲージメントの開始時に、投資先企業が目標を達成できるよう、明確な目標とそれに対応する期限を定義しました。企業の進捗が遅すぎる場合、または対応に満足できない場合、当社はエスカレーション手法を用いることができます。
そういった手法の一つが、投資先企業の年次株主総会(AGM)において、他の投資家とともに株主決議を提出する方法です。当社の投資先企業で、このようなエスカレーションを選択した理由については、こちらをご覧ください。
昨年はESGにとって実り多く、イベントが盛り沢山な年でした。2023年を迎えるにあたり、当社が議決権行使を通じてESG問題に対処しようと努める中で、2022年の議決権行使がどのようなインパクトを生んだかを以下で振り返ります。
環境・社会に関する株主提案に対する当社のアプローチ
アクサ IMでは、提案ごとにそれぞれのメリットを慎重に分析しています。当社は、環境・社会関連の議案を支援するかどうか判断する方法を示す明確なスチュワードシップ・アプローチを持っています。
2023年の当社のビジョン
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エンゲージメントの数を増やす一方で、議論やプロセスの質の高さを維持し、エンゲージメントの成功確率を高めます。そのためには、このプロセスにおける主要パートナーである投資チームやアナリストと継続的に協力する必要があります。同時に、引き続きESGを統合しチームのスキルアップを図ります。
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企業内で望ましい変化を達成する確率を高めるため、エンゲージメント・プロセスの監督を強化します。その結果として、エスカレーションをより頻繁に使用したり、協働的イニシアチブの一環として同業他社や資産オーナーのお客様と共同で取り組んだりすることがあります。これまで以上に複雑化している世界で、企業の動きを促進する方法として集団的行動が依然として有効であると当社は考えており、引き続き協働的取り組みにおける当社の役割を果たしていきます。
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不動産分野でのテナントへのエンゲージメントを含め、オルタナティブ資産クラスでのエンゲージメントをアクサ IMの重要な優先事項として推進し、オルタナティブ資産市場での当社の影響力を強化します。
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サステナブルファイナンスの側面だけでなく実体経済の問題でも公共政策への取り組みを推進し、そのために「気候変動に関する機関投資家グループ(Institutional Investors Group on Climate Change)」などの業界団体と協力します。より持続可能な世界への秩序ある移行を加速するには政府の行動が必要であり、それによって長期的に堅調なパフォーマンスをお客様に提供できる確率を高めることができます。
透明性は当社にとって引き続き重要な優先事項です。当社は、ファンド・レベルでのエンゲージメント報告能力の強化を図る予定です。また、ネットゼロへの道のどこに課題があるのかを引き続き明確に示していきます。
当社のポリシーと報告書
ご留意事項