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チャレンジャーバンク概観:新たな銀行モデル

  • 2019年7月11日 (5 分で読めます)

「チャレンジャーバンク」と呼ばれる新たな銀行(銀行免許を取得し、モバイル(スマートフォン等)などで金融サービスを提供する企業)が消費者需要の変化とデジタル革命を受けて続々と台頭し始めたのは、わずか10年ほど前のことです。

銀行業界におけるこのイノベーションの波は、消費者の関心を集めていますが、業態の定義については広く誤解されている面もあります。チャレンジャーバンクとは一体何なのでしょうか。そしてその何が今日の消費者にとって魅力を増し続ける要因となっているのでしょうか。

新たな銀行モデル

「チャレンジャーバンク」とは、金融業界での普遍的な定義は存在しないものの、端的に言えば、支店網を持つ従来型銀行とリテール市場での競争を目指す新たな銀行を指します。PwC1 によれば、特に英国銀行業界の場合、以下の4つの明確な分類に分かれます。

  • 中規模のフルサービス銀行:金融関連で知られたブランドを持つ銀行で、融合型ビジネスモデルの一環として支店網を構える。例:コーポラティブバンク、CYBG、TSB
  •  専門銀行:ニッチ分野(中小企業向けなど)に特化して融資サービスを提供。支店は限定的で、第三者の流通チャネルやデジタルチャネル等を利用。例:アルダーモア、セキュアトラスト、ショーブルック
  • 非銀行系ブランド銀行:非銀行業界(大手スーパーチェーンなど)で強力なブランドを持つ親会社の傘下にあり、支店は限定しデジタルチャネルに特化するのが一般的。例:テスコバンク、セインズベリーズバンク、バージンマネー
  • デジタル専業銀行:スタートアップ小企業で、ITに詳しい層やデジタルチャネルへの移行の波を狙って成長中。支店はなし。例:モンゾ、レボリュート、スターリングバンク

このうち、銀行業界で最も急速な成長を遂げ、最も破壊的な影響を持つと見られているのがデジタル専業銀行です。以下では、この銀行形態に絞って詳しく見ていきます。

デジタル専業銀行の提供サービス

従来型銀行の多くは、時代遅れのサービスや施設、技術といった問題を抱えています。これに対してデジタル専業銀行には、こうした問題に縛られず一から商品の開発が可能という強みがあり、デジタル時代の波を捉えて高度な個人向けサービスが提供可能となっています。多くのデジタル専業銀行はまた、収益を拡大しつつ顧客に業界トップクラスの商品を提供するためには、提携をはじめとする他企業とのより開かれた協業体制が必要であることも認識しています。さらに、従来型銀行とデジタル専業銀行の違いは透明性向上に向けた取り組みにも表れており、モンゾを含む複数行が、自社サイトで顧客総数や今後の成長計画を公表しています。

 

デジタル銀行、世界で拡大

デジタル銀行市場は近年英国で著しい成長を遂げていますが、英国以外の欧州でもオンライン専業のチャレンジャーバンクは勢いを増しています。例えばドイツでは、米国への事業拡大の可能性を探っているN26や2 、フィンテック企業と積極的に手を組んでいるフィドールバンクがその代表例です。またイタリアでは、フィネコバンクが複数通貨建ての当座預金口座を提供しており、このグローバル通貨サービスを英国内の顧客にも利用可能とすることを最近発表しています3

さらに中国企業も技術的な強みを生かして台頭しつつあります。例えば、IT大手のテンセント・ホールディングスとアリババは2015年にそれぞれ、ウィーバンク4 、マイバンク5 (アリババ関連会社のアントフィナンシャル傘下)というチャレンジャーバンクを立ち上げています。

  • Who are you calling a ‘challenger’?, PwC 2017
  • Kahl Stephan, Peter Thiel and Li Ka-shing Have a Banking App for America’s Generation Z, Bloomberg, 1 April 2019
  • Fineco Bank expands multi-currency platform for UK clients, International Investment, 22 May 2019
  • Wildau, Gabriel, Tencent launches China’s first online-only bank, Financial Times, 5 January 2015
  • Wildau, Gabriel, Alibaba finance arm launches online bank, Financial Times, 25 June 2015

 出典:アクセンチュアのレポート「Beyond North Star Gazing」2018年

米国では、2018年に通貨監督庁がフィンテック企業からの国内銀行免許申請の受け入れを開始したことなどから、今後はチャレンジャーバンクの設立が増えるものと見込まれます。注視すべきは、アマゾンのようなグローバルIT企業も銀行業への多角化を検討していることです6

さらにブラジル7 では2019年6月に、同国初にして唯一のモバイル専業銀行バンキ(banQi)が米ボストンのスタートアップ企業エアフォックスによって設立されました。これは、従来型銀行サービスが不十分な市場にすらフィンテックが広がりつつあることを映し出す動きと言えます。

チャレンジャーバンクが直面する壁

デジタル専業チャレンジャーバンクは、技術革新にますます依存する顧客に魅力的なソリューションを提供する一方、複数の障壁にも直面しています。最大の壁は従来型銀行との熾烈な競争で、従来型銀行の顧客の多くは、変化を取り入れるよりもなじみの深い銀行にとどまることを選びがちです。2番目の壁は、従来型銀行がサイバー攻撃の被害を受けていることもあり、大半の顧客にとってはあくまでも信頼性とセキュリティが最優先とされる点です。3つ目は自己資本比率に関する厳しい規制要件で、これは成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。

デジタル化が進む世界の莫大な可能性

デジタル専業チャレンジャーバンクは、手軽な銀行サービスを消費者に提供するとともに、新技術にも機敏に対応することで、今後も右肩上がりの成長を続けると予想されます。

チャレンジャーバンクの多くは短期的には、競争環境が緩く多額の資本を必要としない分野(これまでのところは外貨送金が参入市場として人気の選択肢)に特化し、その後時間をかけて提供サービスを広げていくことが想定されます。潜在成長力をフルに発揮するためには、従来型金融機関や他のチャレンジャーバンクとの連携が鍵を握る可能性もあります。

従来型リテール銀行に求められるのは、時代遅れのITシステム問題を克服し、デジタル時代に適したソリューションを顧客に提供するとともに、デジタル変革に適応し、デジタル専業のチャレンジャーバンクという創造的破壊者と伍していくことです。そのためには、技術開発投資の拡大が極めて重要となります。

  • Shevlin, Ron, An Amazon Checking Account Could Displace $100 Billion in Bank Deposits (But It Won’t), Forbes, 21 January 2019
  • Mello, Gabriella, Brazil retailer Via Varejo launches digital bank targeting low-income clients, Reuters, 5 June 2019

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    本レポートは当社リサーチ専用ウェブサイト「Tomorrow Augmented」に掲載された英語原文「Change for the better: ESG and fixed income」を翻訳したものです。

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