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債券市場展望: 市場は過度にタカ派になっているのか

  • 2021年12月13日 (5 分で読めます)

インフレは正常化へ

米連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリング(量的緩和の縮小)を加速する動きを見せており、米国の利上げ観測が高まっていますが、当社ではインフレ見通しに関して依然として楽観的な見方をしています。今年は非常に高いインフレ率を記録したのは紛れもない事実で、これはまだ今後数カ月にわたり継続し、多くの場合、過去数十年間で最大のインフレ率となる可能性はあります。しかし当社の分析によれば、高インフレ率は長期化することはなく、現在のインフレには(確かに当社予想を上回って上昇し、長引いてはいますが)十分に裏付けられた、ある程度当然と考えられる理由があるという見解に達しています。

当初、原油やその他のコモディティ価格が2020年の落ち込んだ水準から激しく高騰し、ベース効果(対前年での比較)が定着しました。世界各地で起こったロックダウン(都市封鎖)による供給サイドのショックが、おそらく予想外の物価上昇の要因となりました。新しい変異株の出現で、ロックダウンは2021年末の現在も(残念ながら)一部地域で続いています。一方の需要サイドには、ロックダウンからの経済開放、累積した貯蓄、財政刺激策、さらには資本財からサービスへの需要シフトといった組み合わせから強い需要があり、これらすべてが高インフレに寄与しています。ただし、これらの需給面の影響の一部はすでに薄れてきています。

広く認知されている3つの要素である、グローバル化、人口の高齢化、オートメーション/テクノロジー(この最後の要素はパンデミックで大いに強化されました)がもたらす、はるかに長期的なデフレ効果は、今後数年間にわたりインフレを圧迫し続け、世界のインフレ率は「正常化した」2%に戻ると考えられます。これは各国中央銀行が目標としていたものの、世界金融危機以来、多くが達成できずにきた水準に非常に近いものです。パンデミック以来私たちが慣れてしまったインフレ環境よりもはるかに低い水準への「正常化」により、市場では来年にかけて、ボラティリティが上昇する可能性があります。

楽観的な理由

当社はこの状況にありながら、グローバル・アンコンストレインド債券戦略において、魅力的なリスク調整後リターンを上げることができると確信しています。当戦略は、非常に広範な投資ユニバースによって分散化を実現しており、これに加えてアクティブ運用による柔軟性が、多くの債券市場が弱気相場であった2021年に非常に有用なツールとなりました。弱気市場にもかかわらず、当社では主として元本の保護に焦点を当ててきたため、多数の債券市場がマイナスリターンとなる中、当戦略の年初来リターンは横ばいとなっています。

2022年に向けて債券のリターンを楽観的に見ているのには、2つの重要な要因があります。まず、債券市場の多くは金利上昇および量的緩和(QE)の終了を織り込んだ相場になっており、当社では市場が金利引き上げを過大評価している可能性があるとさえ考えています。このため、質の高い債券に投資機会を見出す可能性があります。

第二に、2021年の米国債市場の動きを見ると、おそらく多くの投資家が予想したよりもはるかに低い利回りにとどまっています。私たちはこのことから、世界的なQE(中央銀行等)、年金基金、規制主導の公的な投資家など、非常にパワフルで時には価格に敏感でない国債の買い手が依然として存在すると考えます。これは当社が長年見てきた現象であり、引き続き利回りに多少のキャップをかけることになるでしょう。

柔軟なデュレーション管理

2021年に当社は、デュレーション・エクスポージャーを時として非常に低くとどめていましたが、その後、おそらく多数の投資家とは逆張りの形で、デュレーション・エクスポージャーをより高い水準に引き上げるための投資機会を見出しました。これが当戦略のパフォーマンスに寄与しました。構造的に短期デュレーション、さらにはマイナスのデュレーションにすることは、この環境下で成果を上げる戦略と思えません。それに加えて当社は2021年、物価連動債への大きな配分から利益を上げましたが、これは期待インフレ率の拡大が寄与しています。

しかし最近になり、現在のスポット的な高インフレにもかかわらず、当社では上記の配分を減らすべきバリュエーション上の理由を見出しており、今後数カ月は当戦略についてより慎重に捉えています。当戦略はここでもまた、柔軟性を生かすことができます。良好に推移している物価連動債へのエクスポージャーを減少させると同時に、現在の環境でパフォーマンスが期待できる短期デュレーションのハイイールド債を増やしています。実際、クレジット市場のボラティリティが最近になって拡大しており、バリュエーションが改善し、利回りやキャリーオン・オファーが増加するにつれ、今後数四半期にわたりクレジットカーブの下方部分でリターンをあげられるという期待を高めています。

結論としては、質の高い国債が、分散債券ポートフォリオのリターンに貢献する機会が今後もあると見ており、アクティブ運用アプローチの恩恵を引き続き享受できると確信しています。市場は所々でタカ派的すぎる感があることから、当社は現在の債券市場におけるプライシングに注目しています。これに加え、欧州の金融機関債および低格付け米国ハイイールド社債を厳選しており、これらが当社の来年の主要なポートフォリオ構成となります。

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