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気温上昇を1.5℃に抑える世界を目指す戦略的アセットアロケーション:フレームワークの提案

  • 2020年7月6日 (5 分で読めます)

知っておくべきこと

気候変動は重大なリスク―地球温暖化は、気候変動に伴う長期的な物理的リスクと、エネルギーセクターによる化石燃料から低炭素代替燃料への移行に伴う短期的リスクをもたらします。気候科学や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、今世紀末までの気温上昇を産業革命以前と比べて1.5℃以内に抑えるために、世界でどの程度の炭素効率性の向上が必要かを明らかにしています。パリ協定は、世界の年間CO2排出量を2030年までに半減させ、2050年までにネット・ゼロ(排出量と除去量が均衡する水準)にしなければならないと示唆しています。しかし、この問題への取り組み状況は、業界や国によって異なります。

 

長期投資家にとっての大きな課題―投資家はアセットアロケーションの決定に気候問題を考慮するよう促されています。こうした動きは、いくつかの側面で起きています。

 

  • 投資リスクの認識は、気候変動を主要な懸念事項とする方向へ急速に移行しています。世界経済フォーラムが行った最新のグローバルリスク意識調査では、同フォーラムのマルチステークホルダーコミュニティのメンバー間で指摘された主な長期リスクの上位を、環境への懸念が占めました。
  • 気候変動問題が投資面でも重要なことを示すエビデンスも積み上がっています。コンサルティング会社マーサー[1] の調査により、長期投資家の視点では、世界の気温上昇を2℃未満に抑えるシナリオ(2℃シナリオ)が、3℃シナリオ(現在のパリ協定での公約)や4℃シナリオ(現状維持)と比べて、投資家にとって最善の結果になりうることがわかりました。2050年までを見据えると、4℃シナリオは2℃シナリオと比較して、先進国株式ポートフォリオのリターンを5.6%押し下げ、分散型ポートフォリオのリターンを2100年まで毎年0.10%超押し下げるとみられています。
  • 規制および健全性に関する監督は、地球温暖化への懸念を長期機関投資家に影響を及ぼす方法で組み込もうとしています。その一例として、グリーン(気候変動に対してサステナブルな企業)かブラウン(気候変動に悪影響を及ぼす企業)かという要素を自己資本比率規制に組み入れる件について欧州の規制当局が検討していることが挙げられます。

 

気候変動を考慮した戦略的アセットアロケーションに対するアクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)のアプローチ[2] ―気候変動はすべての運用資産に等しく影響を及ぼすわけではありません。本リサーチでは、気温上昇を1.5℃以下に抑える排出経路に沿った戦略的アセットアロケーションを実践できるように、現在の炭素強度(エネルギーの単位当たりのCO2排出量)データと気候関連の資産類型に基づいたアプローチを提示します。当社のシミュレーションは、リスク調整後リターンを悪化させることなく、2030年までに炭素排出量を半減させる1.5℃目標を戦略的アセットアロケーションに組み込むことが可能だと明らかにしています。

 

限界は残る―気候への影響を測定するためのデータや基準の欠如が、依然として投資家が1.5℃目標の排出経路に沿った運用を行ううえでの障害となっています。低炭素化への移行に取り組むセクターへの相応な投資額を確保するために、次のような検討が必要です。

 

  • 気候への影響が明確になるような評価指標を充実させ、よりフォワードルッキングなものにする必要があります。特に、炭素パフォーマンスの評価尺度はCO2排出量の3つのスコープを網羅すべきで、グリーンシェアや投資温度などの新たな気候指標を分析に組み込む必要があります。
  • 移行期における資産のさまざまな成熟度をより正確に反映するために、戦略的アセットアロケーションのフレームワークと市場指数をさらに調整する必要があります。気候目標に整合した投資原則を通じ、戦略的アセットアロケーションを1.5℃目標の排出経路により沿ったものにするため、さらなるリサーチに向けた予備的フレームワークの構築をアクサIMは提案します。
  • マーサー、『気候変動の時代における投資―続編』、2019年
  • アクサIMは、国連責任投資原則(UNPRI)(「戦略的アセットアロケーションのフレームワークへのESG課題の組み込み:ディスカッションペーパー」〈2019年9月発行〉を参照)と仏サステナブル投資フォーラム(仏SIF)(今夏の終わりまでに次の共同出版物
気温上昇を1.5℃に抑える世界を目指す戦略的アセットアロケーション:フレームワークの提案
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