ESG分析:「移行期」企業から「リーダー」企業へ
当社の長年の信条は、質の高いファンダメンタル株式分析が、良好な投資成果をもたらす最良の機会を提供するということです。
そしてそれは、環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮という点でも、何ら変わることはありません。ESG分析は、株式銘柄選択プロセスの不可欠な部分であり、当社は最初からESGを銘柄選択の中心に据えています。
しばしば、第三者機関のESGスコアだけに頼った方が簡単ではないかとの質問を受けます。確かにそうですが、第三者の分析だけに頼った場合、当社独自の分析を行うことで得られる多くの知見が失われることになると考えています。
さらに、当社は多くの銘柄に投資しており、格付け会社が当社の関心のある企業をすべてカバーしているわけではありません。例えば最近、当社のある戦略の保有銘柄のうち3社について、規模が小さすぎてカバーし続けることができないと格付け会社に判断され、カバーが外されました。
ESGに関する課題
当社独自のESG分析を行うことで、特定の企業にとって最も重要であると思われる主要なESGリスクおよび機会の追求に注力できます。これまでの当社の経験から、第三者機関のESG分析の結果に同意できないことがあります。
当社は、お客様の資金に基づく長期的な株式保有者として、すべての企業のESG分析が重要なのです。当社は、独自分析を行った後、経営陣とのエンゲージメントを図ります。これは、経営陣に対して批判やおだてをするためではなく、企業の事業を十分に理解し、知識のギャップを明らかにし、経営陣に対してさらなる進歩を促すためです。それは、旅を共にするようなパートナーシップを意識して行われる、整然とした、オーダーメイドの、そして協力的なプロセスです。
当社は、変化が一夜にして起こるものではないことを理解しています。しかし、変化は必ず起こるものであり、企業が適切な方向へ踏み出すことが必要不可欠なことも理解しています。だからこそ、環境と社会の両方の重要性を理解している経営陣を見極めることが大切です。重要なことは、必ずしも旅の途中でどこにいるかではなく、旅の方向性を示すことです。
ファンダメンタル分析
企業とのエンゲージメントを通じて、当社では、格付け会社よりも早く企業の方向性が見えてきます。当社は、次の年次報告書に記載されたり、ESGスコアに反映されたりするよりもずっと前に、企業のどこに変化が起きているかを知ることができます。
このような理由から当社は、ESGの「リーダー」企業や、「リーダー」への「移行期」であると判断した企業に投資しています。分析により、当社は、保有銘柄のスコアが向上しつつあると確信しています。実際、当社の最近のスコア更新では、5社のスコアが投資可能なユニバースの中央値を上回り、「移行期」から「リーダー」へとステータスが上がりました。
こういったESG重視の動向が、短期的に株価上昇につながるかどうかはわかりませんが、企業の成長機会は、ESGを重視しない場合には影響を受ける、と当社は確信しています。
時代の変化
ESG分析は単なる学術的な考察ではありません。そして当社は、自信を持って、企業が変革しつつあると表明します。企業は、二酸化炭素排出量の把握に努め、より環境に優しい製品、サービス、包装などへ資金を投入し、そして、サプライチェーンの人的・環境的影響の把握、従業員や事業所のある地域社会の福祉向上などに熱心に取り組んでいます。これは真の変化であり、真の進歩であり、皆が必要とする世界に近づくためのものです。
当社は、社会や環境に調和しようとしている企業に投資することで、中長期的にお客さまに魅力的なリターンを提供できればと考えています。
ご留意事項