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「レジームチェンジ」に伴う債券の新たな投資機会

  • 2022年8月4日 (5 分で読めます)

中央銀行と投資家がインフレ問題に格闘する中、当社は、債券に関してトンネルの終わりの光が見えつつあると考え始めている。

  • 根強いインフレ、金利上昇期待、地政学的ストレスが相まって、今年の前半は債券にとって過去最悪となった。
  • そのストレスは金利市場に最も顕著に反映されているが、すでにその多くが織り込まれたとみられる。そして現在、市場の関心はインフレから弱い経済成長に移り始めている。
  • 利回りは、かつてないほど魅力的な水準にある。つまり、債券価格は大きく下落しており(債券利回りは上昇)、市場センチメントが改善すればリターンが得られる可能性を意味している。

今年、投資家は多くの問題に直面しています。特に、エネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵攻に起因する地政学的な不確実性が、昨年末に新型コロナウイルス関連のロックダウン(都市封鎖)から経済が回復するにつれ浮上したインフレ圧力に拍車をかけました。インフレが定着するにつれ、中央銀行は徐々にタカ派的になり、金利期待は年初来からずっと高まっています。

かつてないほど厳しい債券市場

これらの要因が相まって、債券市場は全面的にネガティブな環境となり、国債利回りの上昇とクレジットスプレッドの拡大が相関的な売りを誘いました。下の図1は、米国社債市場インデックス(1976年開始)の年間トータルリターンを最低から最高へと並べたもので、2022年の下落幅(年初来、6月30日時点)を大局的に示しています。

図1:米国社債インデックスの各年のトータルリターン比較(1976年~2022年)

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出所 アクサIM、ブルームバーグ、ICE BofA、2022年6月30日現在。

今年のボラティリティの高まりには、「インフレはどこで落ち着くのか」という中核的な問題があります。中央銀行はハードランディング回避を意識しつつ、インフレに対処するためにどこまで利上げを行う用意があるのでしょうか。

低インフレと低利回りが何年も続いた後、一種のレジームチェンジ(状況の転換)が進行中であることは明らかです。当社は、インフレが現在の水準で定着することはないと考えていますが、その着地点が中央銀行のインフレ目標(2%)近辺になるのか、それとももっと高いところになるのかは、まだ結論は出ていません。2022年の全資産クラスにおける活発なリプライシングは、こういった不確実性を反映しています。

今年最も大きなダメージを受けているのは金利市場です。現在の環境を乗り切ること、特にデュレーション管理は非常に困難でした。当社は、すでに多くの要素が織り込まれていると考え、構造的なショート・エクスポージャーではなく、アウトライトのデュレーション・エクスポージャーを積極的に展開してきました。しかし、これは当社が期待したほどには機能しませんでした。とはいえ、金利面のマイナスは、当社のカーブ ポジショニング、すなわちフラット化トレードの選好および米短期国債に対する長期国債への集中拡大によるプラス効果で部分的に相殺されました。

タイミングが鍵を握る

当社は、ロングオンリーのトータルリターン戦略を取っているため、市場の底打ちタイミングを計ることよりも、インフレ、金利、スプレッドの「ピーク」にどれだけ到達しているかを重視しています。このような観点から、当社は、インフレがまだピークに達していないとしても、金利市場のリプライシングはすでにその過程をかなり進んでいると強く確信しています。それでも、スプレッドについては道半ばであり、デフォルト率の上昇を織り込んでいるものの、長期的に見た場合に深刻な景気後退を示唆するレベルには至っていません。スプレッドは、現在の利上げサイクルが、ソフトランディングになるかハードランディングになるかに大きく依存すると思われます。

これは、ハイイールド債市場のトータルリターンと超過リターンを比較することで明らかになります。これまでの市場下落局面では、スプレッドがリターンの足を引っ張る傾向がありました。しかし、2022 年に目を向けると、金利への売りの大きな影響により、トータルリターンのパフォーマンスが超過リターンを下回っています(図 2)。

図2:米ハイイールド債インデックスにおける累積トータルリターンと超過リターンの推移(2000年~2022年)

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出所 アクサIM、ブルームバーグ、ICE BofA、2022年6月30日現在。

これは下の2つのことを示唆しています。

  • 今後数カ月間、スプレッドが低下する可能性を当社は見ている。
  • 金利市場にはすでに多くの要素が織り込まれている。

つまり、国債に対する弱気がピークに達している可能性があり、魅力的なエントリーポイントが開かれているため、買い手が戻ってくる可能性を示唆しています。

このため当社は、全体的には、クオリティの高い投資適格債や国債に非常に魅力的な利回りを見出しており、資産配分を低クオリティ・クレジットからシフトさせています。

ミクロレベルでは、当社は米ハイイールド債市場の低格付け銘柄を引き続き保有しています。安定したビジネスモデルと高いキャリーを提供する予測可能なキャッシュフローを持つ企業が発行するCCC格の社債を6%から7%保有しています。スプレッドが拡大したとしても、長年にわたる強力な金融・財政支援を受けてきた米ハイイールド債市場のファンダメンタルズは比較的健全です。当社は、デフォルト率が現在より上昇するとはいえ、比較的緩やかな水準にとどまると予想しています。

下がるものは再び上がる

債券市場はまだ困難な時期を脱したわけではありませんが、債券投資家にとっての朗報は、中期見通しが以前よりはるかに明るくなっていることです。債券価格下落の裏返しとして、何年にもわたってきた低利回り、あるいはマイナス利回りの後、利回りの魅力が増していることが挙げられます。また、債券の「プル・トゥ・パー」効果(債券が満期日に近づくにつれ、その額面に向かう債券価格の動き)により、保有債券のデフォルトを回避できれば、価格下落の後には大きな上昇余地があります。グローバル・アグリゲート・インデックス(ソブリンと優良クレジットで構成)を例にとると、インデックス原債券の加重平均価格は現在、現物価格対比で95前後と、ここ数年で最も低い水準で取引されています。

図3:グローバル・ブロード・マーケット・インデックスの平均債券価格(2008年~2022年)

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出所 アクサIM、ブルームバーグ、ICE BofA、2022年6月30日現在。

米ハイイールド債のような、より質の低い市場に目を向けると、現在のインデックス平均価格は 86 と、世界金融危機以降で最も低い水準にあります。

図 4: 米ハイイールド債インデックス の平均債券価格 (2008~2022 年)

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出所 アクサIM、ブルームバーグ、ICE BofA、2022年6月30日現在。

このような歴史的レベルのディスカウントは、債券利回りとスプレッドが拡大した今、投資家が長く保有してきた債券のアンダーウエイト・ポジション解消を促す可能性があります。それでも、転換点に完全に到達しているわけではないのかもしれません。そのため、インフレ指標がピークに達するか、またはFRBの利上げサイクルがさらに進む必要があります。しかし、当社は、資産運用において債券が再び脚光を浴び始めるべきと考えます。

即効策はないが、突破口を見出しつつある

当社は、2022年は変動が大きい状況が続くと予想しています。ウクライナで進行中の紛争、予想される金融情勢の変化、中央銀行による資産購入プログラムの段階的な縮小など、すべてが投資家に重くのしかかっています。こうした逆風を切り抜けるため、当社は引き続き当社の柔軟性と戦術的なポートフォリオヘッジを活用していきます。例えば、デュレーションを動的に管理するための先物の活用や、クレジットリスクを調整するためのクレジットデフォルトスワップの活用などです。

それでも、厳しい時期を経てすでに多くの悪材料が債券市場に織り込まれているため、市場が予想外に上昇する可能性を過小評価すべきではないと当社は考えています。これを念頭に置き、当社は改善しつつある見通しを踏まえた選択肢を検討し始めています。

 

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