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マクロ経済リサーチ

新型コロナウイルスの市場および経済への影響に関するアップデート - 2020年3月26日

  • 2020年3月26日 (5 分で読めます)

当資料は、金融商品取引法で定義されている適格機関投資家を対象としており、一般投資家向けではありません。当資料は、3月26日にアクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサ IM)が開催した新型コロナウイルスの影響に関する顧客向け電話会議の内容を要約したものです。

アクサ・グループ・チーフ・エコノミスト、ジル・モエック

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの国が外出制限を行なっています。これは世界の経済活動に大きな影響を及ぼしており、最も打撃を受けているセクターでは稼働率がほぼゼロとなりそうです。経済全体でも日々の状況悪化に直面しており、不確実性の高まりで信頼感も悪化しています。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を考慮すると、グローバル経済の正常化は第3四半期以前には始まらない、というのが当社の基本シナリオです。全ての主要経済地域で新型コロナウイルスの感染拡大がピークを過ぎなければ、バリューチェーンを通じた需給の崩壊のないグローバル貿易は復活しないでしょう。

今年上期は、米国とユーロ圏で急速なリセッションに突入する可能性があると当社は予想しています。米国の2020年のGDP成長率は年率ベースで前年比0.4%減、ユーロ圏は2.1%減を予想しています。新型コロナウイルス・ショックの影響は欧米で同様で、2020年のGDP成長率を2%押し下げると予想されます。

2020年下期の回復は、デフォルトや失業率上昇を抑えこめるような強力な景気刺激策によります。早期の兆候は良好です。米国、英国、ドイツでは、GDPの5~10%におよぶ財政刺激策を導入しようとしています。財政赤字の大幅な拡大(国債の増発)が予想されますが、中央銀行の大幅な金融緩和策により吸収される見込みです。

FRB(米連邦準備制度理事会)は、新型コロナウイルス対策で無制限の量的緩和(QE)を打ち出し、初の社債購入や中小企業への直接貸し付けも緊急対策に含めています。ECB(欧州中央銀行)は、債券購入に関する制限を撤廃し、年内の1兆ユーロ以上の債券追加購入を確約しました。FRBおよびECBの緊急対策は、まさに歴史的な決定となりました。

アクサIM 最高投資責任者(コア・インベストメント)、クリス・アイゴ―

市場が正常な状態に戻るには時間がかかるとみられます。ボラティリティは引き続き高水準で、リスク関連指標は著しい市場のストレス状況を示しています。リスクオフおよびレバレッジの解消が進んでいます。中央銀行が膨大な流動性の用意を発表したことはポジティブですが、投資家は当面は、経済および企業セクターのネガティブなニュースを予想しています。

政府および中央銀行による大型刺激策は、市場の安定化に貢献するでしょう。2008年のリーマンショックの際には、銀行が市場の安定化に貢献できなかったため、信用危機が発生し、経済への悪影響は甚大でした。今日、銀行の体力は増強され、政府が下支えしているため、銀行経由のクレジット環境は改善されています。

国債については、今後の見通しは安定的で低金利動向です。財政刺激策をファイナンスするため国債の大量発行が予想されますが、QEの一環として中央銀行が大量に購入するとみられます。新型コロナ騒動が落ち着けば、リターンを追求する投資家にとっては国債市場には投資妙味がほとんどなくなる、と当社は考えています。経済が回復すれば、イールドカーブはスティープ化するでしょう。イタリアやスペインなどのソブリン債は、ユーログループによる救済策がまとまるまでは、圧力に引き続きさらされるでしょう。

株式に関しては、今後の企業動向の下落幅の大きさと回復のスピードおよびモメンタムに大きく依存するとみられます。特に企業の収益動向が注目されます。今年の1株当たり利益は大きなマイナスが予想されます。これまでにない落ち込みですが、今週の株式市場は回復していることから、投資家は株式に長期的価値を見出していることを示唆しています。

重要なことは市場のセンチメントであり、確実性です。中期的には、経済およびビジネスモデルの変化が、株式投資家に対して大きな投資機会を提供するでしょう。特に、業務の分散化(サプライチェーン改善や人的資源の広範な活用)に資する企業が注目されます。

クレジットスプレッドは、2008年の水準に近づいています。当時を振り返れば、リーマンショック後のクレジットのリターンは極めて大きくなりました。現在、公的支援の規模や多くの企業のキャッシュフローの悪化状況が明確でないため、投資家は様子見を決めています。しかし、クレジットに関しては広範に分散されたアクティブ運用戦略により、中期的には良好なリターンを上げられる可能性があります。

アクサIM アクティブ債券運用欧州&アジア・ヘッド、マリオン・ル・モルエデック

3月に債券市場の緊張は著しく高まっており、大きなデレバレッジおよび機能不全が見られます。現時点では、国債を除くとほとんどの資産クラスは年初来でマイナスリターンとなっています。新型コロナウイルス危機に加え、一部の新興国は、サウジアラビアとロシアの間で始まった石油の価格戦争の余波に直面しています。

しかし、中央銀行は強力な支援策を打ち出し、政府も大型財政刺激策を打ち出しました。当社は、これらの施策が債券市場を下支えするため、センチメントはポジティブになりつつあると見ています。

それでも、債券市場のバリュエーションは著しく高く、資金流出が止まりません。資金流出は、新興国債券およびクレジットのETF、先物のリスクパリティファンドに牽引されています。社債と国債では日々のオペレーションに大きな違いがあり、売らざるを得ない売り手が社債のバリュエーションに悪影響を依然及ぼしている一方、国債はほぼ通常の取引となっています。

ボラティリティの異常な上昇により、投資家はレバレッジ解消を余儀なくされていいます。コマーシャルペーパーおよび短期社債市場の緊張が極めて高くなっており、当社は中央銀行の政策詳細の発表を待っています。流動性は通常状態にはまだ遠く、リスクオンへの転換は時期尚早と当社は見ています。

しかし、債券市場の混乱は投資好機を意味します。当社は実質金利関連に投資機会を見出しており、インフレ連動債は潤沢な流動性や中央銀行の買い入れプログラムの恩恵を享受できるでしょう。今後数か月間は、インフレ戦略のパフォーマンスが良好と当社は予想しています。新興国債券市場の混乱は大きく、流動性の枯渇が引き続き問題であり、混乱の収束動向は見えていません。投資適格社債の回復を予想していますが、格下げリスクを注視しており、選別が必要です。現在、当社はグローバル戦略の中では米国クレジットを選好しています。米国クレジットは、欧州のクレジットに比べ倍以上下落しているためです。当社は、責任ある投資家として、グローバル経済の反転にコミットしています。

以上

新型コロナウイルスの市場および経済への影響に関するアップデート - 2020年3月26日
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