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責任投資とウクライナ戦争の影

  • 2022年5月26日 (5 分で読めます)

ウクライナ戦争は、ウクライナの人々の悲劇や地政学的な影響にとどまらず、欧州経済にも大きな影響を及ぼしており、新型コロナウイルス・パンデミックからようやく抜け出しつつあった欧州経済の回復を危うくする可能性があります。

インフレは供給ラインの混乱を背景に既に高進しており、エネルギー価格のショックは家計の購買力に悪影響を与えており、消費者信頼感の急落や、少なくとも一部の国では実際の支出減に反映されています。

ユーロ圏の4大加盟国の政府は、それぞれ GDP の1% を超える財政刺激策を打ち出してこの難局に対応していますが、「成長における非常事態」は一時的な痛みを伴うため、経済の脱炭素化に必要な決定を先送りするインセンティブになるリスクがあります。

エネルギーの確保

現在の危機から得られる最も明確な教訓は、エネルギーミックスの正しい経路についての議論は、2050年までに譲れないネットゼロ目標が、どのようにエネルギー安全保障や社会的結束と関わっているかを考慮する必要があるということです。

エネルギー安全保障に関する懸念が唯一の問題であれば、ロシア産の天然ガスを米国やカタール産に置き換えるような応急処置的な解決策が恒久的なものに変わるリスクがあります。事業者が投資努力と引き換えに政府から長期のコミットメントを得たとしても、発電の脱炭素化を先延ばしにおそれがあります。

ロシアに対する制裁の緊急性を考慮した応急処置も必要ですが、より広範な戦略の中に慎重に統合する必要があります。 そのためには、欧州連合(EU)の次世代資金調達能力の拡大が必要となるかもしれません。そして危機によって、原子力問題も再び議論の対象となりつつあります。

EU は、タクソノミー(EUの新しい法令)でこの重要な側面について最終的な立場を決めていません。しかし、ロシアの石油とガスの代替先を追求する中、影響力を持つ国際エネルギー機関(IEA)が昨年公表した報告書における最も控えめな要素への言及に注目すべきでしょう。IEAのネットゼロへの道程では、原子力発電の貢献度を高めることが必要としていました。

ESG の組み込み

投資家にとっては、エネルギーに関しては、各国の地政学的制約を考慮した化石燃料からの移行形態に着目して、環境、社会、ガバナンス (ESG) 戦略をより細かく見る必要があります。 投資家は、 E(環境) と S(社会) の要因を一緒に見る能力を高めなければなりません。

「公正な移行(平等で公正な方法での脱炭素社会への移行)」の問題は新しいものではありませんが、エネルギー価格の急上昇を背景により重要になってきています。ネットゼロへの現実的な移行では、「公正な移行」に関する問題は必ず起こることですが、消費者が2桁の電気料金上昇に直面している今、非常に早く現実のものとなりつつあります。ウクライナ戦争の影響でEとSの両面の進展を考慮する必要があるのは、エネルギーだけではありません。穀物と肥料の供給停滞は、食糧価格の上昇を引き起こしており、途上国や先進国の最貧困層が明らかに影響を受けています。

移行期の社会的側面を投資先企業がどのように捉えているかが、今後の注目点となるでしょう。 これは、企業だけでなく、おそらくもっと重要なことですが、ソブリンにも当てはまります。

政府などの発行体の ESG 評価は、金融業界では一般的で詳細なアプローチがないため、まだ初期段階にあります。それでも、重要な要素として、政府が導入する移行ポリシーの波及効果をどのように管理するかを入れるべきでしょう。経済を持続可能なものにするための負担を公平に分担できるようにしなければ、多くの国にとってまだ新鮮で不安定な状況にある気候変動との戦いに対する民主的な受け入れ態勢は、弱まってしまうでしょう。

除外に関する課題

ウクライナ戦争により、 投資家が暗号通貨をESG の観点からどのように捉えるかについても再考を迫られています。これまで、暗号通貨のマイニング(採掘、暗号通貨を取得する一つの方法で多大な計算量が必要)には膨大なエネルギーが必要とされ、暗号通貨の環境負荷が高い側面が強調されてきました。しかし、暗号通貨は監視の目を潜り抜け、特に国際的な制裁を回避する能力があるため、注意を払う必要があります。

最後に、ESG 戦略の精度を上げるために必要なもう一つの問題として、兵器への見方があります。多くのESG投資家の間では、防衛関連産業を完全に除外することが一般的でした。もちろん、論議を醸す兵器の開発や生産に関与する企業の除外(金融業界ではかなり広く受け入れられている基準)を再考する必要はありませんが、侵略に対する国家の防衛能力を高める事業は、持続可能な投資と矛盾しないのかもしれません。

ウクライナ戦争によって求められていることは、人権への考慮を投資方針の一部に組み込めるような強固な原則の構築なのでしょう。

このテーマに関する詳細については、筆者ジル・モエックと、世界銀行の前総裁でBlue like an Orange Sustainable Capitalの創設者兼CEOのバートランド・バドラの見解をプロジェクト・シンジケートでご覧ください。

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