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地球を守りつつ、世界的に食料を確保することが成長機会に

  • 2022年8月3日 (5 分で読めます)

世界の人口は2022年に70億人に達し、2030年には85億人に達すると予想されています。増加する人口への食料問題が深刻になっており、そして地球を守るには持続可能な方法で食料問題に対処することが不可欠です。気候変動は現在進行しており、農業部門は環境の変化に対し極めて脆弱です。深刻な干ばつ、侵略的植物、害虫などのすべてが凶作や穀物の栄養価の低下を引き起こします。マイナスの影響はすでに兆候があります。欧州で今年7月に記録された未曾有の気温上昇は、農作物の栽培に影響を与えています。粒マスタードの最大の生産国であるカナダは、厳しい干ばつにより生産能力が低下しています。南米における高温と干ばつによる不作、そして新型コロナウイルス関連による人手不足が原因で、食用油の世界的な供給不足が起きています。

エネルギー生産部門が今でも世界最大の温室効果ガスの排出要因である一方、グローバルな食料システムは第2位を占めています。食料システムは全体に多数の排出源を抱えることから、世界の温室効果ガス排出量の3分の1を占めており、肥料の製造・使用から畜産や食品廃棄物に及びます。農業および食品産業はまた、淡水の70%取水を含む大規模な水利用にも関与しています。

しかし、多くの企業が食料システム関連の転換を進めており、利用および規模の拡大が経済的に可能な革新的ソリューションを提供しています。これは、食料システムにおける今後数十年間にわたる成長機会として追い風となっています。

世界の農業および食料システムのCO2排出量
(※グラフは全体に占める割合で左から、土地利用の変更、畜産、肥料管理、家庭消費、食品廃棄物、その他)

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出所:国連食糧農業機関(FAO)、Citi、2022年7月1

畜産

食品関連の温室効果ガス排出量の17%が畜産に由来しますが、これが土地利用に次いで第二の排出源となっているのは腸内発酵(牛のげっぷなど)によるものです。畜産が大きな環境負荷を与えており、そして肉と乳製品の消費は短中期的に劇的に減少しそうにありません。今後10年間に、肉タンパク質の世界的消費は14%増加すると予想されています。これは、豊かになりつつある新興国で特にその傾向が顕著です。このため、カビの毒素対策や、反芻動物の腸の健康の最適化およびメタン排出の削減に効果をあげる酵素、微生物、摂生法など、畜産効率を向上させるソリューションは、環境にプラスの影響を与えます。この分野で貢献が顕著な企業に、動物用の栄養・健康医薬品を製造するオランダの科学企業 DSM があります。同社の、牛を含む反芻動物用の飼料添加物は、腸からのメタン排出量を約30%削減させるのに役立ちます。もうひとつのソリューションに、DNA に基づいて優れた家畜を選ぶ選択育種があります。これは飼料効率の向上と動物の健康改善に役立つと考えられます。同量のタンパク質生産に必要な動物の数が少なくなります。

肥料の生産と使用

肥料の製造は世界の食料システムにおける温室効果ガス排出量の約9%を占め、化石燃料の使用に始まり、肥料生産のための電力に及びます。再生可能エネルギーの利用や肥料需要の削減など、これに対処する方法は多数あります。このようなソリューションはすでに存在し、経済的に成り立っています。精密農業は収穫率を高めるのに役立ち、種蒔きのスピードおよび収益性を向上させ、土地、肥料、水の利用を削減します。資源効率を高めるソフトウェアやシステムを利用することで、農作業の意思決定および作業効率改善を可能にします。例えば、農業従事者はアナリティクスへのアクセスが増えることで、除草剤や水の散布に関して十分に情報を得た上での作業判断が可能になり、過剰散布などの削減につながります。この分野で活躍する企業として、米国に拠点を置くディーア社があります。3.15億エーカー(約127万平方キロメートル)を超える農地でディーアの技術が利用されており、4万4,000台を超える同社の機械が世界中で接続しています。

食品廃棄物

世界的に6億の人々に満足な食料が与えられていない一方で、生産される食品の3分の1が損失または処分の対象になっていると推定されています。これは、毎年およそ20億トンの食品が生産されながら消費されていないことを意味し、環境に多大な影響を与えています。食品廃棄物を国に例えるとすれば、これは中国と米国に次いで世界第三の温室効果ガス排出国に値します。

各国および食品廃棄物による温室効果ガス排出量
(単位はギガトン炭素換算量。左から、中国、米国、食品廃棄物、インド、ロシア、インドネシア、日本、ブラジル、ドイツ、カナダ、メキシコ)

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出所:世界資源研究所(WRI)、FAO、Citi Global Insights

食品廃棄物の大半は、バリューチェーン末端の小売セクターや消費者のレベルで発生します。食品の賞味期限を長くしたり、微生物汚染の削減あるいは食品保存を可能にするなどのソリューションが、食品廃棄物の削減に極めて重要です。この分野で活躍する企業として、農産食品業界向けの有機ベース材料(植物由来プラスチックなど)に特化したオランダの化学薬品会社、コービオンがあります。同社は食品廃棄物を削減するソリューションの開発に非常に力を入れており、地球の保全だけでなく人々の健康の向上にも貢献しています。

食料関連の課題およびソリューションはバリューチェーン全体に分散しており、これは投資家にとって複雑ですが同時に魅力的であると当社は見ています。各国政府が提唱するネットゼロの未来に世界が適応し、そして人類全体が依存している食料システムが気候にもたらす影響に対するたゆまぬ取り組みを進める中、潜在的な投資機会は至る所に存在しています。

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