(景気後退を辞さないFRBのインフレ抑制への強い姿勢の)伝染に注意
キーポイント:
- FRB は、インフレ目標達成に向け一途に進む覚悟である。成長への代償は大きい。
- (景気後退を辞さないFRBの強い姿勢の)ユーロ圏への波及により、ECB は 量的引き締め(QT)開始を再考する必要があろう。それでも、ECBタカ派のレトリックは依然として強い。
- 予想通り、英国の大胆な財政政策は市場の制裁に遭遇している。
FRBのスタンスはさらに明確になっています。労働市場の軟化を望んでおり、そのために景気後退を余儀なくされるのであれば、たとえそれが基本シナリオではないとしても「それでもよい」と考えています。強靭な雇用創出によりFRBは一層の引き締めを追求し、「ドットプロット(金利予測分布図)」の新たなピークは抑制的領域にまで達しています。当社の実質金融状況インデックスは、新たなインフレ期待の修正後でも、今や世界金融危機前の水準に戻っています。潜在成長率は 2008 年以降低下しており、これは、当社が予想するフェデラルファンド金利 の 合計100bps の年内追加利上げの前でさえ、経済に対する金融圧力がすでに非常に大きいことを示唆しています。成長へのコストは過小評価されるべきではありません。
FRBの強硬姿勢の世界的な波及は、日々、問題が大きくなっています。先週、私は、IMFの元チーフエコノミストで経済学者のモーリス・オブストフェルド氏が、中央銀行が過度の引き締めにつながるレースを繰り広げていると言及しました。先週のFRBの利上げ発表に対する欧州市場の反応はその好例です。投資家は ECB の政策金利予想をさらに上方修正しました。おそらく投資家は、為替レートの問題が、今後数カ月間のECBの反応関数においてさらに大きな役割を果たすと考えているのでしょう。ECB の最新のコミュニケーションは、市場にさらにタカ派的なスタンスを期待させる多くの理由をもたらしました。債券市場も急速に動いています。先週の金曜日の時点で、イタリアの 10 年物国債金利は 4.34% でした。これは、イタリアの新政権に、財政の余裕がないことを思い知らせることになるかもしれません。いずれにせよ、ECBタカ派からの「ノイズ」があるとしても、市場の現在の状況と米国からの伝染により、ECB は量的引き締めへの迅速な取り組みを再考する必要があると当社は考えています。
英イングランド銀行は先週、大幅利上げを見送ったことで孤立しました。市場が英国の新政権の財政政策発表を受け入れなかったというのは控えめな表現です。当社は、今回の発表が非常に冒険的な内容であるという見解を繰り返します。 1980 年のレシピは 2020 年代には通用しません。
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