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債券市場のボラティリティがマルチアセット投資戦略への投資家にもたらす投資機会の拡大

主なポイント

新型コロナ禍後のインフレ高騰に対応して、主要各国の中央銀行が利上げを行ったため、債券利回りはここ数年上昇した
利回りが上昇するということは、マルチアセット・ポートフォリオを構成する組入れ債券がインカムを提供し、不安定な株式市場に対するヘッジとして機能する可能性があることを意味する
債券市場の見通しは依然として相対的に良好と見ている。各国中央銀行はコロナ禍に行った異例の金融支援策から引き続き後退を続け、上昇していた金利とインフレ率は低下しつつあり、ハイイールド債市場は投資家にとって投資機会の拡大をもたらしている
しかし、米国の貿易政策が多くの不確実性をもたらしており、地政学的リスクが高まっていると見ている

中央銀行の金融政策、地政学的緊張の高まり、世界的なマクロ経済環境を巡る懸念の高まりが重なった結果、株式市場のボラティリティが大幅に上昇し、債券市場では価格水準の修正が起きました。

昨年12月から今年1月中旬にかけて、米国債利回りは上昇を続け、米10年国債利回りは2023年10月以来となる4.80%に達しました1 。その後、政治的な不確実性が経済成長見通しを圧迫する中、同利回りは下落しました。

(執筆時から見て)直近では、ドイツが防衛支出の拡大を可能にするために債務政策を見直すと発表したことで、ドイツ国債利回りが一時急上昇し、他方、米政権の貿易関税や減税を巡る発言や行動が市場に影響を与えました。

もちろん、特にインフレ率の粘着性が継続する一方で経済指標が軟調を示す米国で、金融政策は債券価格に現在も影響を及ぼしており、将来の金利見通しも引き続き市場に影響を及ぼしています。

しかし、市場のボラティリティ(変動)には投資機会も伴うと見ています。債券市場のボラティリティは、債券市場の動的な性質(相対的に良好な複利リターンを提供し、債券市場よりもボラティリティの高い株式市場に対するヘッジとして機能することの可能性)を踏まえると最終的にはマルチアセット投資家に恩恵をもたらす可能性があると見ています。この債券市場と株式市場の関係は歴史的に組入れ比率60:40などのマルチアセット投資戦略の基礎を形成してきました。

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相対的に高いインカム

現在、債券の利回りが2010年~2020年の頃よりも高いことは投資家にとって有利に働くと考えます。今後、この資産クラス全体にわたって、相当なリターンが得られる確率が高まるためです。そして、インカムを求める人にとっては朗報と見ています。

2008年~2009年の世界金融危機後、主要中央銀行の金融政策(低金利と量的緩和の政策)によって債券価格が上昇しました。しかし、資産価格は上昇したものの、インカムの水準は歴史的に低く推移しました。

ところが、今日では金利水準がそのころよりも高くなっているため、キャリー(クーポン収入)も高くなっています。現在では国債だけでなく投資適格社債やハイイールド社債から得るインカムが増加しました。投資家は、最近の出来事によって米国債市場の需要と信頼が低下を示したとしても4.5%(10年国債)から4.9%(30年国債)の長期利回りを提供する米国債の安定性と流動性の恩恵を受けることができると見ています。米ハイイールド債市場の場合、インカムリターンは7%近くに達しています。2

近年の水準よりも高い利回りは、相対的に良好なキャリーやインカムの水準を提供するとともに、国債のみへの資金配分よりもデュレーション(金利変動に対する価格感応度)リスクの平均レベルを引き下げるのに寄与すると見ています。インカムの増加(株式でも同様)はマルチアセット・ポートフォリオの分散効果を強化し、また、キャリーの増加は厳しい市場環境になった場合にクッションの役割を果たすことができると考えます。

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機動的対応

インフレ、金利、そしてより広範なマクロ経済的・地政学的情勢が債券市場を動かす主な要因と見ています。債券の組入れは、特にマルチアセット投資戦略の場合、柔軟で素早い対応が求められます。例えば、利下げサイクルでは、利回りが低下するためデュレーションが選好されます。一方、株式市場が下落圧力にさらされているときには、投資適格社債市場を重視することが考えられます。これらは安定化装置として機能し、キャリーとデュレーションを通じてパフォーマンスに貢献することができると見ています。

リスクオフ(リスクを回避し、相対的に安全と思われる資産に資金を移すこと)が強まる局面ではデュレーションをヘッジしようとし、強気相場の局面ではハイイールド債の組入れ比率を増やすことが考えられます。もっとも、すべてはマクロ経済や市場の環境次第と見ています。インフレ加速をヘッジするためにインフレ連動債市場に目を向けることもできると見ています。

好ましいポジション

社債市場では、近年、格付けの面で著しい改善が見られます。デフォルト率は低く、米ハイイールド債市場のデフォルト率は2024年末に1.5%と3年振りの低水準となりました3 。また、企業の質とバランスシートが改善し、需要が供給を上回っています。

現在、アクサIMグループは、デュレーションの面で米国より欧州を選好しています。これまで欧州よりも高い経済成長を享受してきた米国に比べると、基本的に、欧州をめぐる状況は複雑でした。ドイツの財政刺激策の発表により、今後の成長回復を見越して債券市場利回りが上昇したとはいえ、欧州は依然として欧州中央銀行(ECB)の支援を必要としていると見ています。さらに、ユーロ圏のインフレ率はECBの目標である2%に近づいており、昨夏以降インフレ率が上昇傾向にある米国に比べて、利下げ余地が大きくなっています。

加えて、最近の市場状況、特に関税に関連する情勢により、米国ではインフレ懸念が高まっています。インフレが上昇するとの見方が広がっており、この見通しが金利を押し上げる可能性があると見ています。関税を実施したり、またすぐ停止したりすることが最終的に米国債に対する外国からの信頼と需要を損ない始める可能性もあると見ています。これらすべての要素が米債券市場のターム・プレミアム(時間にかかるリスクに対して求める利回り)の上昇をもたらす可能性があると見ています。 

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今後のリスク

社債のパフォーマンスは相対的に好調に推移してきましたが、足元の主要なリスクの一つが今あると見ています。つまり、GDP成長率が低下し、労働市場が軟化すると、経済や株式市場が打撃を受け、その結果として信用スプレッドが拡大するリスクです。もっとも、インカムの水準が高いため、そうした場合でも債券市場への投資が最悪の損失から投資家を守ってくれる可能性があると見ています。

全体として、最近の混乱にもかかわらず、債券市場の流動性は依然として相対的に高い水準にあり、需要は引き続き相対的に強く、デフォルトは相対的に低水準にあります。しかし、関税に対する米政府の予想外に攻撃的な姿勢と、それに対する貿易相手国の報復にはもう一段の行動をとるという脅しは、市場にとって短期的には逆風となると見ています。

市場はリスク回避姿勢を強めており、今後3~6か月は価格に下押し圧力が働くと予想されます。関税適用期間が長期化されることによって経済成長がさらに圧迫され、インフレ・リスクが高まる可能性があるため、今後の動向は各国の対応によるところが大きいと考えています。

投資戦略に柔軟性を持つことは、現在のボラティリティを乗り切り、数か月後に投資機会の可能性を獲得するためには不可欠です。

もっとも、不確実性があるとはいえ、債券市場には多くの投資機会が存在するとアクサIMグループは考えています。さらなる金融緩和が予想されるものの、米国の政策金利はインフレ率を上回る水準で推移する見込みであり、また、相対的に高い利回りも投資機会の拡大をもたらしていると見ています。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

(オリジナル記事は4月22日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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