アクサIMを名乗る者からの投資勧誘等にご注意ください。詳細はこちら

Investment Institute
テクノロジー

AIの時代およびその長期的な投資のポテンシャル

  • 2023年9月21日 (5 分で読めます)

キーポイント

  • 人工知能(AI)の最近の台頭およびその長期的な成長可能性を主因として、テクノロジー株がまたもや株式市場を席巻している
  • 多くの人々が、世界と世界経済に対するAIのインパクト(とりわけ生成AIのインパクト)が著しく大きくなると考えている
  • 当社は、成長株の投資家にとって、AIは一段と高い収益成長の恩恵を得る強力な機会を提供すると考えている

株式市場では、テクノロジーが再び支配的なテーマとなっています。S&P500指数が年初来で約19%増であるのに対し、ハイテク株を中心とするナスダック指数は、 アマゾン、アルファベット、マイクロソフト、アップルといった巨大企業の株価が上昇したことで、35%のトータルリターンという素晴らしいパフォーマンスを上げています。1

テクノロジーセクターの2022年の低迷期の後に訪れたこの反騰の中心にあるのが、AIが最近台頭し、その長期的なポテンシャルが認識されたことです。

これは2023年に見逃せない話題となりました。特にS&P500指数の構成銘柄のうち110社が、1~3月期の決算発表中に「AI」に触れており、この数は過去10年以上で最高でした。2

現在のAI普及の裏にあるのが ChatGPT です。2022年11月に公開され、即座に世界の興味をかき立てました。対話型AIエンジンの始まりは、イノベーションが消費者にやさしい側面を持つことを世に知らしめる上で重要なマイルストーンになりました。サービスへの関心の高さは、利用者が100万人に達するのにわずか5日3  、その後2023年1月には利用者は1億人を記録したほどでした。4

しかし実際のところ、AIはしばらく前からすでに浸透しています。私たちがストリーミングする音楽や映画からオンラインショッピングをする際に推奨される商品だけでなく、その他諸々に至るまで、アルゴリズムが私たちの生活を支配しています。したがって、様々な業界の企業が、自社のビジネスモデルを改良するためにAIの使用を始めるにつれて、AIの設計およびインフラだけでなく、幅広い数のセクターを通して著しい投資機会が存在します。

AIとは何か?

最も基本的なAIは単に機械学習、つまり人間に通常関連付けているタスクや認知機能を実行するために、考え、学習するコンピューターの能力に関するものです。AIプログラムは大規模な言語モデルからデータを収集し、この情報を操作し使用するルール(いわゆるアルゴリズム)を確立することで学習することができ、スポティファイやネットフリクスなどにおいて、与えられた情報の対処方法を理解しようとします。 AIは推論をして(つまりアルゴリズムを決定しながら)結果を選択し、情報を修正します。

AIは複数のサブセットから成ります。たとえば アマゾンのアレクサやアップルのSiriのように身近な家庭用かつ携帯用の仮想アシスタントは機械学習のサブセットであり、ニューラルネットワーク(生物の学習メカニズムを模倣した機械学習手法)が、人間の知識獲得をシミュレーションしようとするものです。これは経験から学ぶように訓練されたアルゴリズムを作成することで行われます。ディープラーニングは機械学習のサブセットであり、人間の脳の構造を模倣したニューラルネットワークの訓練に関与します。ニューラルネットワークは通常、多数の層を有し、イメージやスピーチの認識など特定のタスクを実行するよう訓練できます。ディープラーニングの例には、顔認識や無人自動車で行われる操作などがあります。5

ChatGPTなどの生成AIは、このすべてを遥かに進化させたものです。テキスト、画像、ビデオ、その他多種のコンテンツを生み出し作成できることから、幅広い一連の産業を覆すそのポテンシャルは膨大です。

Image

成長のポテンシャル

多くの人々がAI、特に生成AIが世界および世界経済にもたらす影響が劇的なレベルになると考えています。AIは顧客の問い合わせへの対応などのタスク自動化に役立ち、そういった業務から解放された労働者はさらに戦略的で複雑なタスクに集中することができ、生産性が著しく上昇する可能性があります。コンサルティング会社 マッキンゼー・アンド・カンパニー では、現在労働者の時間の約60~70%を占めている活動を生成AIが潜在的には自動化できるので、世界経済に数兆ドルの価値をもたらす可能性があると考えます。6

PwC社ではAIを「今日の急速に変化する経済における最大の商業的機会」と描写しています。7  同社は、AIが2030年までに世界GDPに15.7兆ドルもの巨額の貢献をする可能性があり、同期間中に地域経済がAIによって26%押し上げられ、中国と米国がGDPの最大の上昇を享受する可能性があるとしています。8

AI市場の成長のポテンシャルについては、ある分析は、その現在の価値が約1,000億ドルの市場が、2030年までに20倍の2兆ドル近くまで成長する可能性があると予想しています。9  

AIの短期的なポテンシャルについて多くの議論がなされている一方で、これは様々なセクターを超えて影響を及ぼしそうな、長期的な生産性についての展望です。一般的に初期のコンピューターの導入期およびその後に訪れたインターネットの時代には、生産性が加速しました。AIはデジタル時代における新たな激動を意味します。

アクサIM資産運用研究所の別の記事では、広く普及するAIの利用による経済的影響を取り上げています。

そしてAIは、その膨大なポテンシャルを考慮すると、今後10年間にわたり ― そしてそれ以降も ― 重要なテーマ別投資の題材となると当社は考えていますが、その影響は徐々に増大することでしょう。

現時点では、クラウドコンピューティング、データセンター、サーバーおよび演算処理能力、半導体および半導体装置メーカーなどが、生成AIの潜在的な直接的勝者です。というのもコンピュータープロセッサー、画像処理装置(GPU)、その他の専門的装置にはさらなる演算処理、メモリー、ネットワーク・ソリューションが必要となるからです。

半導体企業のエヌビディアは、AIシステムを訓練する同社のグラフィック・プロセッサーへの需要が今年急上昇したことで、時価総額1兆ドル企業のエリートクラブの一員となりました。10  別の半導体企業であるマーベル・テクノロジーもまた、AI部門を巻き込む熱狂に押し上げられ、楽観的な決算報告発表後に株価が急伸しました。11

インフラを超えて

サプライチェーン、マーケティング、分析およびその他から来るすべてが、これからの時代にAIを採り入れるでしょう。収益に占める生成AI関連の収入の割合という面では、銀行業、ハイテク、ライフサイエンスなどが最大のインパクトを享受する可能性のある業界です。12

現在のインフラへの焦点は、時間と共に、アプリケーションを作る企業に拡張されるでしょう。そしてここでの可能性はおそらく無限です。医療の改善(疾患の診断、新たな治療の開発、患者のケアの向上)に役立つでしょう。AIはエネルギー効率を改善し、さらなる持続可能なエネルギーを実現するための新たな技術の開発に役立つ可能性があります。輸送では、電気自動車から交通量改善まで、効率と安全性の向上が可能です。 

すでに、ファイブ9やセールスフォースなどの顧客関連管理ソフトウエア会社がAIを採用している一方で、アクセンチュア、キャップジェミニ、グローバントなどのサービス会社は アマゾン、マイクロソフト、アルファベット などの大手企業が先導するAIを利用したアプリケーションの開発に関与しています。開発の中には、サーチ・ジェネレイティブ・エクスペリエンス(SGE)やチャットボットを強化する新しい大規模言語モデル(LLM)を含む、グーグルの一連の新たな生成AIを利用した機能があります。13

そしてこの潮流に乗ろうとしているのはテック企業だけではありません。1950年代におけるその理論的発祥以来、AI関連の発明が34万件以上申請されています。しかしこれは過去10年で急激に加速し、2010年の2,560件の特許申請から2021年には14万件以上に至ります。14

もちろん、これにはある程度警戒する必要があります。というのも全てのAIの開発者が成功するわけではなく、AIにまつわる誇張は確かに、世紀の替わり目に見られたドットコムのにわか景気と落ち込みの記憶を蘇らせるでしょう。しかし当社の見解では、今日の広義のテクノロジー部門は当時とは非常に異なっています。当時は幾つかのケースで、企業のバリュエーションはファンダメンタルズ的に現実味のない願望に基づいていました。今日、企業には実際の顧客、収入、利益があります。AIの勝者と敗者が出てくるでしょうし、現時点で多くの企業が現在の波の恩恵を受けていますが、20年は言うまでもなく、5年後に環境がどのようになるかを評価するのは時期尚早です。

Image

デジタルの今後の道のり

セキュリティ、精度、一貫性など、テクノロジーのあらゆる新たな分野につきものであるように、解決・精査するべき問題があるでしょう。ここでは規制が主要な要素となるべきで、欧州連合はすでに、企業や消費者を保護する目的で「開発および使用へのより良い条件を保証する」ためにAI法を開発しています。15

しかしこれまでに見られた熱狂ぶりを考えると、とりわけこの形のテクノロジーを利用する準備のできたユーザーが世界中に多数存在するため、商品化に達するまでの速度は速いかもしれません。

自分の アレクサ、Siri、グーグル・ アシスタント、RokuスマートTV に話しかけるのにすでに苦のない消費者は、会話型AIユーザーインターフェイスの利用に必要なことを心得ており、これにより普及は加速する一途となるはずです。これはすでに起こりつつある構造的変化を際立たせています。AIの採用を支援し、その長期的投資ポテンシャルを高めつつある変化です。

投資家、特に成長株への傾倒がある投資家にとって、AIは一段と高い収益成長から恩恵を受けるという、巨大なチャンスを提供します。同時に、強化された演算処理能力が提供する機会をフルに活用できず、市場シェアを失う企業も現れるでしょう。人口動態の課題および労働市場の制約に直面している先進国では、AI技術を使用して様々な経済活動を自動化し、サービスや商品を消費者に届ける力は、経済および社会面で革命的といえる影響をもたらすでしょう。今後何年にもわたり、これが支配的な投資テーマになると当社は考えています。

企業への参照は例証のみを目的としており、投資の推奨と見なされるものではありません。

(オリジナル記事は9月20日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

  • RmFjdFNldCBkYXRhIGFzIGF0IDMxQXVndXN0IDIwMjMgKFVTIGRvbGxhciB0ZXJtcykgLyBUaGUgRWNvbm9taXN0IDEgSnVseSAyMDIz
  • RmFjdFNldC4gSGlnaGVzdCBOdW1iZXIgb2YgUyZhbXA7UCA1MDAgQ29tcGFuaWVzIENpdGluZyDigJxBSeKAnSBvbiBRMSBFYXJuaW5ncyBDYWxscyBpbiBPdmVyIDEwIFllYXJzIChmYWN0c2V0LmNvbSk=
  • T3BlbkFJIENFT+KAmXMgYW5ub3VuY2VtZW50IOKAkyBTYW0gQWx0bWFuIOKAkyAwNS8xMi8yMDIzMw==
  • UmV1dGVycy5jb20g4oCTIDAyLzAyLzIwMjM=
  • MjAgRGVlcCBMZWFybmluZyBBcHBsaWNhdGlvbnMgaW4gMjAyMiBBY3Jvc3MgSW5kdXN0cmllcyB8IEdyZWF0IExlYXJuaW5nIChteWdyZWF0bGVhcm5pbmcuY29tKQ==
  • RWNvbm9taWMgcG90ZW50aWFsIG9mIGdlbmVyYXRpdmUgQUkgfCBNY0tpbnNleQ==
  • UHdDJ3MgR2xvYmFsIEFydGlmaWNpYWwgSW50ZWxsaWdlbmNlIFN0dWR5IHwgUHdD
  • UHdDJ3MgR2xvYmFsIEFydGlmaWNpYWwgSW50ZWxsaWdlbmNlIFN0dWR5IHwgUHdD
  • QXJ0aWZpY2lhbCBJbnRlbGxpZ2VuY2UgbWFya2V0IHNpemUgMjAzMCB8IFN0YXRpc3RhIE5leHQgTW92ZSBTdHJhdGVneSBDb25zdWx0aW5n
  • TnZpZGlhIGJyaWVmbHkgam9pbnMgJDEgdHJpbGxpb24gdmFsdWF0aW9uIGNsdWIgfCBSZXV0ZXJzIC8gQ2hpcG1ha2VyIE52aWRpYSBjcnVzaGVzIHF1YXJ0ZXJseSBleHBlY3RhdGlvbnMgd2l0aCAkMTMuNWJuIGluIHJldmVudWUgfCBRdWFydGVybHkgcmVzdWx0cyB8IFRoZSBHdWFyZGlhbg==
  • TWFydmVsbCBzaGFyZXMgc29hciAzMiUgYWZ0ZXIgc2VtaWNvbmR1Y3RvciBmaXJtIGJlYXRzIG9uIGVhcm5pbmdzIChjbmJjLmNvbSk=
  • RWNvbm9taWMgcG90ZW50aWFsIG9mIGdlbmVyYXRpdmUgQUkgfCBNY0tpbnNleQ==
  • RWNvbm9taWMgcG90ZW50aWFsIG9mIGdlbmVyYXRpdmUgQUkgfCBNY0tpbnNleSAvIEFscGhhYmV0
  • RGV1dHNjaGUgQmFuayBSZXNlYXJjaCBNYXJjaCAyMDIz
  • RVUgQUkgQWN0OiBmaXJzdCByZWd1bGF0aW9uIG9uIGFydGlmaWNpYWwgaW50ZWxsaWdlbmNlIHwgTmV3cyB8IEV1cm9wZWFuIFBhcmxpYW1lbnQgKGV1cm9wYS5ldSk=

    ご留意事項

    本ページは情報提供のみを目的としており、特定の有価証券やアクサ・インベストメント・マネージャーズまたはその関連会社による投資、商品またはサービスを購入または売却するオファーを構成するものではなく、またこれらは勧誘、投資、法的または税務アドバイスとして考慮すべきではありません。本資料で説明された戦略は、管轄区域または特定のタイプの投資家によってはご利用できない可能性があります。本資料で提示された意見、推計および予測は掲載時の主観的なものであり、予告なしに変更される可能性があります。予測が現実になるという保証はありません。本資料に記載されている情報に依拠するか否かについては、読者の独自の判断に委ねられています。本資料には投資判断に必要な十分な情報は含まれていません。

    投資リスクおよび費用について
    当社が提供する戦略は、主に有価証券への投資を行いますが、当該有価証券の価格の下落により、投資元本を割り込むおそれがあります。また、外貨建資産に投資する場合には、為替の変動によっては投資元本を割り込むおそれがあります。したがって、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益および損失はすべてお客様に帰属します。
    また、当社の投資運用業務に係る報酬額およびその他費用は、お客様の運用資産の額や運用戦略(方針)等によって異なりますので、その合計額を表示することはできません。また、運用資産において行う有価証券等の取引に伴う売買手数料等はお客様の負担となります。

    アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
    金融商品取引業者 登録番号: 関東財務局長(金商) 第16号
    加入協会: 一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、日本証券業協会

    お問い合わせ先:TOKYOMARKETING@axa-im.com

    ページトップへ