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投資家はプラスチックの蔓延防止にいかに貢献できるか

  • 2022年9月1日 (5 分で読めます)

  • 当社は、今後数年間がプラスチック依存経済から脱却する上で極めて重要であり、企業がその中心的役割を果たすと予想している。

  • 当社は、もし広く適用されれば、プラスチックのバリューチェーンに関連する様々な産業における体系的な変化に貢献しうる、3つの重要な行動の柱を特定した。

  • リサイクル技術、代替素材、廃棄物削減、循環型経済の原則は、いずれも投資家にとって潜在的な投資機会を提供するものと当社は考えている。

プラスチックおよびプラスチック廃棄物の地球への劇的な影響は、衝撃的データから明らかです。例えば、今日の環境に存在するプラスチックの量はすでに、生存する全哺乳類の量の2倍を超えています。そして、この問題は近い将来解消するわけではありません。これまでに生産されたあらゆるプラスチックの80%が分解されることなく、私たちの都市、地域、海洋に残ります。1

これは政府にとって手ごわい問題であり、責任ある投資家にとって厄介な課題です。しかし少なくとも、問題を真剣に取り組む動きが出ています。国際連合(国連、UN)は2017年にさかのぼり、 「War on Ocean Plastic(海洋プラスチックに宣戦布告)」 を行いましたが、この理由は容易に理解できます。現在の日常生活が続けられた場合、水界生態系に入るプラスチック廃棄物の量は2030年までに年間およそ5,300万トンに増加すると予想され、これは2016年の水準の約2倍に当たります。2 プラスチックによる海洋汚染の経済的総費用は、観光業や漁業・水産養殖業への影響や清掃費などのコストも含め、2018年には世界で60~190億ドルに達し、企業に対する財務リスクは2040年までに最大年間1,000億ドルに上ると推定されています。3

プラスチック汚染を軽減する上で、今後数年がカギになると当社は考えます。国連は今年3月、プラスチック汚染の根絶および、2024年までに法的拘束力のある国際条約の策定を目指した世界初のグローバル・プラスチック汚染協定を承認しました。4 人類と自然に影響を与えているプラスチックのバリューチェーン全体を対象とするこの記念碑的な協定に、約175カ国が署名しました。5 この機運が今度は民間部門に向かい、投資家にとっての意味合いと潜在的な投資機会を明らかにすると当社は見ています。

企業は、プラスチック依存型経済の変革の中核的存在となります。ピュー研究所の2020年主要報告書6 によると、この変革は大規模なものであり、プラスチックを循環経済の中で再利用・再生するだけでなく、バイオプラスチックのソリューションなど、その他の小規模な変化を含む世界のプラスチック体制の見直しに6,000億ドルを見込んでいます( 世界経済フォーラム の推定では最大1.2兆ドル)。

報告書で提案されている大がかりな対策の一部を採用することで、今後の20年間にプラスチック利用の80%削減が可能、とピュー研究所は推定しています。今すぐ行動に移すべきです。効果的に行動するにはプラスチック汚染に関連する環境、社会、ガバナンス(ESG)面でのリスクを明確にするだけでなく、経済効率の上昇や従来のプラスチック利用への革新的な代替物の支援といった潜在的ソリューションを特定することが重要になります。投資家はこのプロセスを最も良くサポートでき、そして、より持続可能な経済モデルを目指す世界におけるパワフルなテーマから恩恵を受けられる可能性があります。

第1の焦点:石油価格がプラスチックに影響

原油は有機化学製品の生産における重要な材料であり、生産された有機化学製品は次に、プラスチック製品などのより高度な加工品の生産に投入されます。したがって石油の価格変動は、プラスチック製品に波及します。国際エネルギー機関(IEA)は、石油化学事業が2030年までに石油需要上昇の3分の1以上を占める可能性がある(他の利用が減少するため)と 予測しています。米国だけでプラスチックの袋の生産に年間約1,200万バレルの石油が使用されていると推定されています。 

産業にも多大な影響

JPモルガンの最近の調査によると、石油価格の上昇、つまり石油派生物やプラスチックの価格上昇は、食品・飲料および自動車業界を含む一連のセクターで企業収益に多大な影響をもたらす可能性があります。JPモルガンは、自動車メーカーにとってプラスチック製品が自動車パーツ全体のおよそ50%を占める可能性があると推定しています。

 

プラスチックのESGフットプリントを理解する

プラスチックと気候: プラスチックの圧倒的大多数はエチレンやプロピレンを含み、化石燃料ベースの材料から派生したものです。したがってプラスチックのカーボン・フットプリントは石油やガスの採取・輸送プロセスおよびそれに伴う製造工程を含みます。世界自然保護基金(WWF)によると、世界の年間石油生産の4%がプラスチック製造に使われ、さらにもう4%が精製過程で燃焼されます。7 プラスチックの使用が世界で拡大しているため化石燃料への需要が増大し、気候変動の加速に大きく加担しています。

第2の焦点:新種の炭素クレジットおよびプラスチック・オフセット

カーボン・オフセットは「削減努力を行った上での排出量」を意味し、最近、欧州のプラスチック廃棄物再生設備に割り当てられたことをバークレーのアナリストが指摘しています。一部の企業は、食品や飲料のパッケージに広く使用されているプラスチック、ポリエチレン・テレフタレート(PET)のリサイクルに対し、任意のカーボン・オフセット市場で相当量のカーボン・クレジット(排出権)を発行することができます。

問題は、PET再生を奨励するこのシステムが、自然からプラスチックを除去することを奨励する目的の「プラスチック・オフセット」よりも効率的になるか、という点です。形式化したまたは成熟したカーボン市場では、企業はPET再生に基づくカーボン・クレジットを使用する方により大きな動機を見出すかも知れません。その場合「プラスチック・クレジット」は補完的なソリューションになる可能性があります。したがって私たちは、プラスチック・オフセットが単にプラスチックの需要の新たな増加に対応するのではなく、化石ベースのプラスチック生産の削減に貢献することを確認する必要があります。

 

プラスチックと生物多様性: アクサ IM は、プラスチック汚染が野生生物に及ぼす悪影響に以前から注目してきました。さらに衝撃的なデータとしては、欧州議会の関連調査によれば、2050年までに海洋中のプラスチック全体の重量が魚類全体の重量を超える可能性があると予測しています。また、国連第2次世界海洋評価報告書によると、プラスチックが海洋ごみの80%を占め、河川から海洋に流れ込むプラスチックの量は年間115万~241万トンに上ると推定されています。報告書はまた、1,400を超える海洋生物種の体内でプラスチックの存在が確認されたことを強調しています。

さらに、プラスチックが自然に分解するには極度に長い時間がかかり(埋立地で最大1,000年かかることも)、周囲の土壌や河川に有毒物質を漏出させる可能性があるため、陸地、淡水、海洋の生態系および、より全般的には生物多様性に対して強力で長期的な悪影響を与えます。8 9

プラスチックと公衆衛生: プラスチックは海洋生物だけが摂取しているわけではありません。ある研究は、平均的な現代人は週に5グラムのプラスチック(クレジットカード1枚に匹敵)を食べていると示唆しています。10 一部の観察結果からは、マイクロプラスチックが、ボトルに入った飲料水や食用魚類の組織から検出されたことが明らかになっています。このような摂取が引き起こしうる結果はまだ十分に研究されていませんが、こういった研究のギャップを埋める目的で、WHO(世界保健機関)が人間の健康に対するマイクロプラスチックの潜在的影響の分析を提唱しています。11 この問題に関する調査は進行中ですが、すでに発表された広範な研究によれば、発展途上国で毎年40万~100万の人々が廃棄物が引き起こす疾患により死亡していると推定されています。12  これは、プラスチック汚染が重要な社会正義の問題に関わっていることを如実に示しており、化石燃料の採取から水・食品チェーンの中の消費者に対する潜在的な健康問題まで、プラスチックのバリューチェーン全体をとおして脆弱なコミュニティが影響を受けることを示しています。

第3の焦点:使い捨てプラスチック

世界では今日、毎年約4億トンのプラスチック廃棄物が発生しています。これは世界人口全体 の重量にほぼ匹敵します。世界でこれまでに発生した70億トンのプラスチック廃棄物のうち、リサイクルされているのは10%に及びません。研究によれば、年間に消費されるプラスチックの少なくとも40%が 使い捨てです。

欧州のビーチで最もよく見かける使い捨てプラスチック製品の10位までが、欧州連合(EU)での海洋ごみ全体の70%を占めます。それらの製品とは、綿棒、食器・皿・ストロー他、風船および風船用スティック、食品容器、飲料用カップ、飲料容器、たばこの吸い殻、プラスチックの袋、箱および包装紙、ウェットティッシュおよび衛生用品です。

 

一連の投資機会を追求

これらの要因は、投資家にとってESGリスクを表します。気候変動リスクと同様でありながら、独自の特徴を持っています。各国政府や国際機関は、プラスチック経済への対応の緊急性を明確に認識しています。同様に明らかなのは、プラスチック、特に使い捨てプラスチックの生産を抑制しリサイクルを拡大するには、多大なリソースと世界的な動員が必要となることです。公的機関がこの移行の道筋を定めるとすれば、その移行を継続させるために燃料を供給するのは民間部門です。13

企業は個々の事業でプラスチックの使用を削減できる一連の措置を導入でき、それがより広く適用されたときには、民間部門のプラスチック依存を削減できる可能性があります。当社は、広く適用された場合にプラスチックのバリューチェーンの至る部分にある様々な産業をとおして体系的な変化に寄与する可能性のある、3つの重要な行動の柱を特定しています。

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プラスチック利用の削減と最適化が困難だとしても、いかなる体系的変化にも不可欠な構成要素であることに変わりはありません。投資家にとってもうひとつの移行の機会でありえるのは、プラスチックのリサイクルにあります。ある研究では世界のプラスチックの約9%しか再生されていません。埋めるべき溝は極めて大きく、多数の企業にとって収益性の重要な駆動力になる可能性があります。リサイクルは複雑な工程であり、素材の選択および製品設計から有効で責任ある処分(回収->輸送->加工)、および新しい製品の中での最終利用に至るまで、複数の段階を含みます。産業は様々なプラスチックを含めるための回収と選別の規模拡大および リサイクルの改善を含め、各段階で措置を取ることができます。材料としてのプラスチックの価値を維持するためには、プラスチックの効率的なリサイクルが不可欠であり、これがより循環的で持続可能なプラスチック経済への移行に主要な役割を担っています。

第4の焦点:プラスチック規制に関するまとめ

欧州、インド、韓国、中国は、使い捨てプラスチックの禁止令の施行を最初に始めた主要市場です。EUのSUP(Single Use Plastic、使い捨てプラスチック)法は、「環境および人間の健康に対する一部プラスチック製品の影響を予防し削減すること」および循環経済への移行促進を目標としています。

フランスの廃棄禁止法は、「汚染者が支払う」原則を強化し、かつ環境への侵害をより良く管理・制裁し、企業によるエコデザインのイニシアチブを支援するための新たなツールを創造するものです。

EUタクソノミー(分類)の報告草案は、パッケージに使用されるプラスチックが、プラスチック利用およびEUにおけるプラスチック廃棄物源の中で最大であることを指摘しています。したがって草案はプラスチックのパッケージ製品の製造を具体的に取り扱い、循環材料(再生プラスチックまたはバイオベースのプラスチックなど)の使用基準だけでなく、再利用やリサイクルの実践を意図した設計の導入を盛り込んでいます。

 

慈善団体や公共団体、公企業によって設立された専門的なキャンペーン組織であるエレン・マッカーサー財団は、変化が可能であることを示すため、プラスチック循環経済へのビジョンを提案しました。戦略は、私たちが使用するプラスチック製品すべてが、経済の中かつ環境の外に維持されるべき(つまり、プラスチックを永久に循環させる)という概念を導入しています。これは原材料として使用されたプラスチックが、持続可能な使用に向けた材料としての新たな価値を経済の中に見つけることを意味します。その後には、今日着実に進出しているプラスチック代替物と同様の地位を得ることで、望まれる新規プラスチックの生産削減に寄与することになります。14

プラスチック廃棄物から新たなプラスチック経済へ

バージンプラスチックの代替物に対する産業の需要が高まっています。15 消費者向けパッケージ商品のメーカーは、自社製品に再生プラスチックまたは代替物の含有比率を増やし、リサイクルを加速し、パッケージ量を削減するために徐々に大胆な目標を設定しています。世界で生産されるプラスチック包装物全体の20%を占める企業は、プラスチック全般および/またはバージンプラスチックの包装物削減目標を策定することを誓約しています。これはエレン・マッカーサー財団および国連環境プログラムが主導するイニシアチブの一環です。16 企業は責任ある投資家を含むステークホルダーからの要求により、自社製品の影響をより良く理解するようになってきている一方、スコープ3の間接的温室効果ガス(GHG)排出量の報告や、関連する削減努力を促されています。非常に重要なスコープ3排出量へのアプローチが企業間で不均一なのに注目すべきです。17 一方で、独自のプラスチック再生プロセスやテクノロジーをもつ企業など循環経済におけるサービスプロバイダーと、供給契約を締結する消費財の大手企業が増えています。

1950年代から世界で発生してきた76億トンに近いプラスチック廃棄物のうち、60億トン以上が埋立地または環境中にあります。プラスチック廃棄物は開発が著しく遅れた原材料であり、リサイクルされたのはこれまでに発生したプラスチック廃棄物全体のおよそ9%に過ぎません。18 しかし、プラスチック廃棄物の(利用可能な)コモディティ化が進んでいることを示す傾向が見られ、これがはびこる汚染問題への対策として役立つ可能性があります。要するに、潜在的に価値のある物質を廃棄することは経済的に意味をなしません。

プラスチックのバリューチェーン全体における複数の従事者がプラスチック廃棄物の経済を形成しています。一部の国ではバージンプラスチックに対する規制や税制により、徐々にリサイクルを動機付け、代替物質の導入の奨励を目指しています。19 EUのプラスチック税制もまた、EUを基盤とするプラスチックの利用者に慣行を変えるよう奨励するものです。20 フランスを含む多数の国が長年、新興国への廃棄物の輸出に頼ってきました。しかし、プラスチック廃棄物のコモディティ化により国内でリサイクルを行う比率が高まり、廃棄物が経済活動の副産物から、それ自体で採算の取れる資源になるよう進行するでしょう。それを実現し、循環性を実質的に達成するには、廃棄物の回収、リサイクル、処理能力もまた劇的に増大しなければなりません。

第5の焦点:主要な投資機会としてのプラスチック循環経済

エレン・マッカーサー財団の推定によると、循環経済は2040年までに以下を達成する可能性を秘めています。

  • 海洋に流れ込むプラスチックの量を年間80%削減

  • 温室効果ガス排出量を25%削減

  • 年に2,000億ドルを節約

  • 70万人の雇用創出

 

廃棄物処理業界は国内での再生能力を拡大し、より効率的なプラスチックの再生方法を開発するために、今後も資本を必要とすると考えられます。機械的な回収およびリサイクルが、引き続き最も広く使用される方式となるでしょう。一方で、酵素リサイクルなどの化学的手法や代替的再生方式で進展があります。21 これらのイノベーションに関与する企業は現在、自社テクノロジーが技術的に実用可能になり次第、生産能力と事業採算性の確保に向けて動いています。他では、原油に対する代替物としての液化廃プラスチックや、プラスチック廃棄物からの水素生産といった、廃棄物を燃料とするテクノロジーの早期段階の開発もまた見られます。ただし現在の化学的再生工程は、高温つまり多くのエネルギーを必要とするため、現段階ではコスト高で非効率的です。

世界のプラスチック廃棄物の問題は、代替材料への関心を再燃させました。最も広くリサイクルされている2素材であるアルミニウムとガラスの利用が着実に増大しています。これらの素材には利点もあれば注意点もありますが、メーカーは更なる循環性に取り組んでいます。例えば、ガラス廃棄物を使用して新たなガラス製品を作る場合には、ガラス原材料の溶解工程で必要なエネルギーを著しく削減します。これはガラスメーカーがスコープ1の温室効果ガス排出量だけでなく、エネルギー使用に結びついた操業コストを削減するのにも役立ちます。パッケージでは、パルプや紙ベースの製品だけでなくバイオベースのプラスチックにおけるイノベーションが、代替物として登場しています。これら代替物の一部であるバイオプラスチックは、幾つかの課題を抱えています。

  • パッケージ、コーティング、樹脂、医療機器などにおけるソリューションを提供するために使用される様々な原料から新しいバイオプラスチックが生まれています。天然で再生可能な材料の使用が、これらポリマーの主な特性のひとつです。一部には、広く使用されている化石ベースのプラスチック(PET)に類似する品質レベルとバリア特性をもつものがあります。しかしその生産はバージンプラスチックのみを素材とするため、生産量が著しく増大すると、十分な原料を生産するための土地と水の利用に対する影響が加速することにもなります。
  • バイオプラスチックの生産企業の中には、自社製品の最適化した分解能力をアピールしている企業があります。ソリューションは様々で、バイオプラスチックの一部は工業堆肥中だけでなく家庭の堆肥で生分解でき、さらには自然環境の中で、石油ベースのプラスチックよりもはるかに速いスピードで生分解できるものもあります。しかし、これらのプラスチックもまた、これまで稀にしかリサイクルされることのなかったバイオプラスチック廃棄物の適正な処理という課題を生んでいます。バイオプラスチックを効率的に生分解するには、特定の管理された環境内にある必要があり、適正な廃棄物処理能力は今なお不十分です。

それでもメーカーは生分解速度の向上、代替天然素材(被覆作物、バイオマス廃棄物、二次糖類)の使用、およびリサイクルの促進に取り組んでいます。このようなソリューションへの需要が高まっていることから22 、当社は、世界的なプラスチック体制の見直しが強く求められており、投資家に対してそれを支援する投資機会が生まれていると見ています。

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