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サステナビリティ

透明性はサステナビリティに関する不確実性への答えとなるか

  • 2023年3月13日 (7 分で読めます)

キーポイント

  • ファンドを「サステナブル」とラベリングすることに関しては、規制の明確性の欠如により困難な可能性がある

  • アクティブ運用型上場ファンドは、保有銘柄を開示しており、投資の透明性を高める方法の一つ

  • グリーンウォッシュ(見せかけだけの環境対策)に対処する特効薬はないが、投資家への情報提供は重要

ここ数カ月、欧州の多くの資産運用会社は、自社のサステナブルファンドや戦略の分類を見直す必要に迫られています。

このような動きは、サステナブル投資の構成要素に関する規制の明確性および安定性の欠如に起因するものです。サステナブル投資の指針が変わるたびに、資産運用会社は慎重を期し、規制変更に巻き込まれるリスクよりも、ファンドのサステナブル投資の分類変更を優先してきました。

その結果、欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)で最高の持続可能性分類の第9条ファンドが、より広範な第8条指定に再分類されるケースが相次ぐことになりました。

規制に関してさらなる変更が生じる可能性もあります。規制がより明確になることは有益ですが、現在の複雑さと解釈上の混乱の範囲を考えると、今後の指針が最終的なものとなることはなさそうです。

今こそ新たなアプローチを取る時か

開示の枠組みやラベリングシステムの面におけるサステナブル投資の中核的な問題は、その定義にあります。ほとんどの資産運用会社は独自のスコアリングシステムを採用しており、企業の持続可能性に関して、製品、サービス、事業を通じて、個別的に、あるいは専門のデータベンダーを通じて評価しています。そのため、規則上、何がサステナブルとみなされるのか明確な指示がないまま、ファンドにラベリングする方法を正確に決定することは、関係者にとって困難です。

この状況は今後変わるかもしれません。

しかし、その一方で、SFDRの目的である透明性の向上と投資家に対する一貫した環境・社会・ガバナンス(ESG)の枠組みの構築のために、業界は別の手段でもっと貢献できないか考えるべきでしょう。

一つの方法として、サステナブル戦略を提供する資産運用会社が、より透明性を高めるよう努めることが挙げられます。つまり、ポートフォリオ・レベルで、運用会社がサステナブルと判断したファンドの保有銘柄をすべて開示することが考えられます。潜在的な(そして既存の)投資家が、運用会社のウェブサイト上でマウスをクリックするだけで、そのファンドがどのような銘柄を保有しているかを簡単に知ることができ、その企業に投資したいかどうかを判断できるというわけです。

もちろん、投資家の中には、ファンドが保有する全銘柄が自分の考えるサステナビリティに合致していなくてもいいと考える人もいるでしょう。しかし、投資家は自分が何を買っているのかは明確に把握できます。これによって、狭義のグリーンウォッシュが完全に根絶されるわけではないにしても(一部の資産運用会社は依然として誇張表現を試みる可能性があります)、投資家は現在よりもより完全なポートフォリオ情報を享受できるようになるため、グリーンウォッシュ発見ははるかに容易になるでしょう。グリーンウォッシュは、時が経つにつれて廃れていくとみられます。

このアプローチは、技術的にもマインドセットの面でも、資産運用業界が大規模に採用するのは困難でしょう。しかし、既存のインフラを活用してそのような未来を描くことは、今後可能になるかもしれません。例えば、上場投資信託(ETF)のように、透明性が高いサステナブルファンドという進化したカテゴリーの基礎を形成しうるフォーマットを、既に提供している投資構造もあるからです。

透明性の向上

ETFは通常、市場が開いている日は毎日、保有銘柄の全情報を開示しています。それでも、ほとんどのETFがインデックスに連動するパッシブ運用であるため、このような透明性はある程度不要なものです。というのも、主要インデックスの原資産はすでに公開されているからです。

こういった透明性は、アクティブETF(ETFラップで提供されるアクティブ運用戦略)に関しては、はるかに価値があります。資産運用会社によっては、アクティブ戦略をこのような形で提供することは、自社の知的財産である銘柄選択や配分比率を開示することになるため、魅力的でない場合もあるでしょう。しかし、自らのポジショニングに関する確信を公にすることを厭わない運用会社にとっては、透明性がグリーンウォッシュに対処する基本的な方法となる可能性があります。

実際、簡単に問題を解決できます。持続可能性に関心のある投資家は、通常、ファンドの目的やアプローチが自分の価値観に合っている場合に、そのファンドに魅力を感じるものです。そういった期待にファンドが応えられなければ、投資家は不満を持つことになります。資産運用会社は、保有資産とその保有理由についてより透明性を高めることで、この問題を回避することができます。例えば、第8条レベルのファンドが移行期の銘柄を保有している場合、投資家によっては、一見した場合にサステナブルファンドとは思えないような銘柄を保有していることになります。しかし、資産運用会社はその事実を公開し、なぜその銘柄を組み入れることが適切と考えるかを明確にすることができます。

これが重要です。資産運用会社は、投資判断の原動力となるリサーチや分析を行う責任を負っています。また、投資先企業の行動に影響を与えるために、投資先企業と関わりを持つことも、責任投資の重要な考え方です。そのため、資産運用会社の判断と確信が重要ですが、一部の投資家は、なぜサステナブルファンドが特定の種類の銘柄を保有するのか、その理由をあまり知らないのが現状です。

資産運用会社は、投資の選択と目的をよりオープンにすることで、投資家が自分に合ったサステナブルファンドを選択できるようにし、変更の可能性がある分類や 規則の解釈への依存を最小限に抑えることができます。

アクティブ・アプローチ

真に持続可能なファンドの構築に関しては、ファンドの形態がどうであれ、運用アプローチはアクティブでなければならないでしょう。保有するすべての投資対象が真に持続可能でなければならない場合においては、単にインデックスの一部のセクターを除外して第9条に相当するファンドを構築しようとすることは、望ましいとは言い難いです。

そのため、ETFによく見られるパッシブ運用戦略は、この分野ではあまり意味をなしません。例外としてスマートベータを挙げる声もありますが、これはアクティブ運用判断によって作られたカスタムビルドの戦略です。結局、ETFの優位性は、純粋にその構造の透明性にあります。

もちろん、サステナブル戦略のすべてをアクティブETFに転換することを資産運用業界に期待するのは非現実的であり、その必要もありません。コストやロジスティクスの問題を別にしても、多くの人はミューチュアルファンドのモデルから離れようとしないでしょう。しかし、今後、サステナブル分野で成功するのは、最も透明性の高い資産運用会社である可能性が高いです。これは、公的に最高水準の基準が課されるからです。たとえ規制の文言が変更されることがあっても、そういった資産運用会社は常に規制の原則に従っているからです。

今後の展望

最終的には、資産運用会社が進化する規則に反することを懸念するあまり、すべてのファンドを第8条または非サステナブルの第6条に分類してしまうような事態は避けたいと当社は考えています。結局のところ、我々は皆、資本を持続可能なビジネスに振り向ける必要があります。この点で、規制は引き続き重要な役割を果たすことができます。

しかし、一部の資産運用会社が、ファンドで保有する資産の持続可能性の理由を開示し、透明性がもたらす監視を受け入れる用意があるならば、サステナビリティ市場を前進させ、投資商品間に明確で識別可能な違いを作り出すことができるでしょう。投資家がそれぞれの価値観に従って資金を配分する方法を自ら決定していければ、必然的にサステナビリティ市場は発展していきます。これは、オーガニック(漸進的)かつ進歩的なプロセスです。

グリーンウォッシュに対処するための特効薬はありません。しかし、最終投資家に適切な情報を提供し、自身で判断できるようにすることは、サステナブル市場の重要な側面であり、我々皆が直面する存亡の危機に対処する上で重要な役割を果たすはずです。

(本記事は、2023年2月24日にPensions & Investmentsのウェブサイトに掲載されたものを、許可を得て再掲載したものです。)

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