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サステナビリティ

新たな専門家による新たな視点:マクロ経済、気候、生物多様性

  • 2023年4月24日 (7 分で読めます)

キーポイント

  • インフレは今後1年から1年半をかけ、より正常な水準に戻ると考えられる

  • 気候変動による悪影響は深刻化するが、社会はそれに対処するテクノロジーを備えている

  • 気候変動および生物多様性の損失は絡み合っており、両方に対処する場合、私たちが消費習慣を急速に変える必要がある

投資はアイデアがすべてです。アイデアは壮大なテーマや詳細な分析から引き出すことができ、偶然に湧き出るものではありません。当社は最近、資産運用研究所アドバイザリーコミッティに社外アドバイザーを任命しました。目的のひとつはマクロ経済、持続可能性、投資問題全体にわたり、リサーチの範囲と質を深めることにあります。

アドバイザリーコミッティの直近会合には、このうち3名のアドバイザーが参加し、その結果、内容豊かで洞察に満ち、世界が現在直面している課題にもかかわらず、勇気づけられる議論となりました。当社は、世界の投資展望に影響を与えている短期・長期のトレンドに焦点を置き、マクロ経済、気候変動、生物多様性に特化した別個のセッションを設けました。

同席した社外メンバーは、以下のような経験豊かで影響力のある方々です。

  • オリヴィエ・ブランシャール、マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部名誉教授、元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミスト(経済顧問兼調査局長)。現在はピーターソン国際経済研究所シニアフェロー

  • ナイジェル・トッピング、国連ハイレベル気候行動チャンピオン。以前は We Mean Business のCEOとして、非政府組織間の気候対策の連携を主導。同氏は他にも Race to Zero(ゼロ排出に向けたグローバルキャンペーン)、Race to Resilience(40億人のレジリエンスを確保するためのグローバルキャンペーン)、ネットゼロ金融イニシアチブ連合であるグラスゴー金融同盟(GFANZ)の設立に携わる

  • 二コラ・ロズ・デ・コエグールハン、世界自然保護基金(WWF)フランス、サステナブル・ビジネス・プラクティス・ヘッド。以前はプライスウォーターハウスクーパースで5年間、持続可能な開発の専門コンサルタントを務める

議論は長時間に及び、時に広範に、時に詳細に渡りました。キーポイントの幾つかを以下にまとめてみました。

マクロ経済、インフレ、パンデミック後の生活

世界経済は急性インフレに見舞われましたが、今や収束を始めており、このトレンドは持続すると思われます。各国の中央銀行はインフレを目標値の水準近くに引き戻すことにコミットしており、今後1年~1年半の間にそれを実現させようとしています。

インフレには、2つの主な源泉またはダイナミクスがあることが指摘されました。それは、価格ショックと金融市場の緊張です。価格ショックは供給の混乱により引き起こされ、この状況が総合インフレ率に著しい影響を与えましたが、このようなショックは短期間に終わる傾向にあります。将来に関してさらに重要なことは、労働市場、つまり賃金の過熱が起こらないかどうかを監視する必要があることです。賃金の上昇は非常に緩やかでありながら、時間の経過とともに著しい圧力になりえます。

欧州に比べて米国では過熱の形跡がより多く見られ、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを3%未満に抑えることが難しくなる可能性もあります。欧州にとって、インフレを引き起こした主な要因はエネルギー価格でしたが、状況を子細に見ると過熱はそれほどありません。

金融市場の緊張の面では、一部の銀行のデュレーションリスクに問題があります。すなわち、多数の金融機関の資産は償還期限まで保有されるなら良いのですが、今日市場に売り出された場合に問題が起こる可能性があります。預金者が預金を引き揚げる場合、明らかに支払い能力の問題が起こりえます。これに対する銀行の唯一の予防策は、マネーマーケットの預金勘定または貯蓄口座の利率を上げることで、これは自社のポートフォリオから得られる金利を上回るコストとなる可能性があることを意味します。ただし中央銀行は、銀行市場における流動性の問題に対処するためのツールを多数備えています。

パンデミック後の世界の生活は、企業組織や都市に大きな影響をもたらし、大規模な再配置が行われるでしょう。パンデミックは人々に、自らの人生における仕事のステータスについて考えさせました。しかし地球の温暖化対策もまた同様に、再配置を引き起こします。職種が変わる例として、電気自動車へのシフトは、自動車部門で労働力の再配置が起こることを意味します。なお、グリーン化への投資は官民両部門の支持を得て、飛躍的に伸びるでしょう。

公共政策がこれを促しており、これが責任という観点から行うのが正しいだけでなく、生産性および経済成長を支えるのに必要な手段としても位置付けられています。しかしながら、ひとつの課題は、脱グローバル化へのトレンドと、気候変動との闘いにおける国際的な協力のニーズとのバランスを取ることです。

ネットゼロへの推進を加速

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告は、ほとんど驚きを与えるものではありませんでした。国際連合の委託を受けた学術団体は、気候変動リスクおよび悪影響が、加速する地球の温暖化とともに深刻化することを確信していると表明しました。そして温度上昇を1.5°C以下に抑えるには、2019年と比較した場合の排出量を2030年までに43%以上、そして2035年までに60%以上削減する必要があります。現在すでに地球の平均温暖化は(産業革命後以降)+1.1°Cにありますが、このデータは古くなっており、実際にはすでに平均して1.2°Cまたは1.3°Cの辺りではないかという推定もあります。1

ただし、よりポジティブな面として、IPCCは気候変動に対処するためのあらゆるテクノロジーがあると主張しています。非常に良く理解されている、規模の効果が多数のセクターで現れているという証拠が増えています。再生可能エネルギー、貯留、電気自動車(EV)、そして今、グリーンアンモニア、グリーンスチール、グリーン輸送その他多くを実現する可能性のあるグリーン水素などがそうです。これらすべてが成長しているという証拠が増えています。たとえば、持続可能な航空燃料の使用は予想以上に拡大し、バッテリーの化学技術は急速にパフォーマンスを改善しています。

さらに、エネルギー移行の大半のモデリングが、ディスラプション(破壊的変化)を考慮に入れていません。モデルは指数関数的変化という歴史的な事実を無視しており、技術の拡大に関して保守的な想定を使用しています。カギとなるテクノロジーは明らかに、EV、バッテリー、太陽光および風力、水素、バイオ燃料です。世界的に電気自動車販売が顕著に加速しており、それは内燃機関の終焉がそう遠くないことを意味します。

実際には、技術の進歩は非線形であり、それがコスト曲線を引き下げていることは、低炭素技術またはゼロ炭素技術が経済的に効率的で市場シェアを獲得していることを意味します。気候変動との闘いのプロセスは、緩和および脱炭素化技術への信頼の高まりを特徴とする一方で、それと同時に、地球の生態系において何らかの非線形の転換点に達しかねないというリスクの増大に直面しています。

障害は引き続き、政治的意思、革新的技術に対する許認可、技術上の制約(これへの挑戦は続きます)、そしてインフラです。投資ニーズは巨大であり、民間投資家にとっての役割がさらに拡大しています。プラス面では、米国の「CHIPS法」および「インフレ抑制法」や欧州連合の「次世代EU」フレームワークなどの政策イニシアチブが、すでに著しい投資の拡大を刺激しており、今後もこれが続くでしょう。

生物多様性が主役に

生物多様性の損失の加速に伴うリスクに対する認識が、近年急速に高まってきました。およそ百万種の生物が絶滅リスクを抱えており、多くの種にとってこれが数十年内に起こる可能性があります。地球の温暖化がこの主な原因です。2 世界自然保護基金の2022年版「生きている地球レポート」では、1970年以来、世界の野生生物集団が平均69%減少したことを指摘しました。自然の損失を逆転させるためには、緊急対策が必要です。3

農地がますます増大していることが、森林破壊およびそれに続く生物多様性の損失の牽引役になっています。漁業では、捕獲される生物種の約3分の2が、乱獲されているかフルに搾取されていることがわかっています。4 私たちが消費習慣を変えなければ、生物多様性に関する目標を達成できないでしょう。

気候変動および生物多様性の損失は絡み合っており、両方が人類の活動の結果です。これらは逆に、森林破壊、汚染、水資源の枯渇だけでなく農作物の収穫や土地の品質の低下を通して、人類の存続への脅威となっています。

調査では、野心的な対策がなければ気候関連の災害により、人道支援が必要な人々の数は2倍になり、2050年までに毎年2億人を上回る可能性があることが示されています。5

しかしこういったデータは今、実業界の反響を呼んでいます。企業は問題を特定し、自社のインパクトに関して報告する能力を養い、投資家とエンゲージメントを展開しています。生物多様性に関する問題は、明確な目標(炭素強度)に適した気候変動ほど明らかではありませんが、「自然関連財務情報開示タスクフォース」のようなイニシアチブが、生物多様性へのインパクトに関する報告に向けて類似の枠組みを提供するはずです。

昨年12月に開催されたCOP15会議は、森林破壊、土地利用フットプリント、淡水生態系に対する目標に焦点を置きました。農業セクターに大きな注目が集まっていますが、これは同セクターが、温室効果ガス排出量の最大セクターに属し、バリューチェーンのあらゆる段階で土地利用や天然資源の枯渇に影響を与えているからです。私たちは生物多様性および自然の保護と復元に役立つマクロデータを入手しており、これは状況を覆すゲームチェンジャーとなります。しかし課題は、このデータをどのように使用するのが最善かということです。つまり、データをセクターや企業にどのように反映させるかです。

投資家としての課題は、バリューチェーンのあらゆる段階におけるベストプラクティスを特定し、生物多様性目標の達成に役立つテクノロジーやイノベーション(代替タンパク質、農薬の代替物、グリーンエネルギーと輸送、持続可能な包装)を支援することです。

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