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もみ殻から麦を選り分ける:全面的な生物多様性インパクトリサーチが不可欠な理由

  • 2023年8月8日 (3 分で読めます)

キーポイント

  • 生物多様性の投資ユニバースには、多様なマルチセクターの機会が存在する

  • 丹念な分析は、投資家の資金がポジティブな実際のインパクトを達成する確率を向上するのに役立つ

  • 生物多様性の損失を緩和するための最も革新的で必要なソリューションの一部は、農業など大規模な土地利用が多い産業で見出されています         

生物多様性の重要性、その損失の規模、そして地球の未来を守るのに必要な対策に関する認識が高まっています。政府、規制当局、企業と並んで、世界中でますます多くの投資家が、将来の持続可能な成長を保全するにあたり、生物多様性の損失をくい止め緩和するための取り組みが、気候変動への対処と同様にどれだけ不可欠であるかを認識しつつあります。この認識の高まりは、資本の流れをサステナブル投資に導くために必要であり、またポジティブなものですが、最も効率的でインパクトの大きい資産の利用法を達成しようとするなら、投資家は賢明に選択を行うこともまた重要です。

選別するために全体を見る

アクサ IM のように、先進的なリサーチ能力を利用し丹念なファンダメンタルズ・リサーチを実施するアクティブ運用マネージャーは、投資家の資産配分の可能性を最大限に引き出すことができます。当社は、測定可能で持続可能な実際のインパクトが、イノベーションを通して達成可能な企業や産業を特定することを目指しています。この一環には、土地利用など生物多様性の損失を引き起こしている最も重大な要因を特定し、こういった活動によって歴史的に引き起こされてきた問題への投資可能なソリューションを探します。増大する世界人口に農業を介した食糧の必要性により引き起こされた影響のように、本質的に大規模で、必要な土地利用の影響を緩和するポテンシャルをもった企業に投資することで、私たちは食料生産へのこの大規模な需要が地球に及ぼす影響を最小限にするのに必要な効率性、イノベーション、ベストプラクティスをもたらせます。

一見、生物多様性にポジティブに見える投資機会もありますが、当社独自のインパクト分析、環境・社会・ガバナンス(ESG)調査、社内外のデータ・プロバイダーからのデータを用いてよく調べた上で、サプライチェーン、事業活動、関連する環境要因を含むあらゆる点を検証すると、当初興味を惹いていたこれらの企業が実際にはインパクト・ポートフォリオに加わるのに必要な、本当にポジティブな水準の対策を提供していないことが判明することがあります。

特に、企業が達成できる実際のポジティブなインパクトを定量化する上で、より多くのニュアンスや慎重さが必要であることは、当社が調査した英国の水道事業の一例が示しています。ネットワークへの再投資やインフラ改善という面で、業界内で多くの優れた取り組みが行われてきたことは認識しますが、これら企業のサステナブル・プロファイルは、生物種の健康および個体数に有害な、下水の河川への根深い流出問題に関して特に、今なお課題があります。これは人間の健康にも悪影響を及ぼし、水浴びをする者に潜在的な汚染を引き起こすだけでなく、飲料水や農業用水を汚染するリスクがあり、食物連鎖全体に汚染物質をもたらす可能性があります。汚染に関する英国の水道事業の実績には賛否両論があります。その理由のひとつはインフラがかなり老朽化していることと、老朽化した施設を思うように早く改修できない物流面や財政面での制約があることです。さらに、気候変動により降雨がますます激しくなり、老朽化したインフラを圧迫する可能性があります。生物多様性のインパクト投資家から見た場合、これらの企業は環境との関係という面で問題を抱えているため、当社は現時点では完全に魅力的な企業ではないと考えますが、今後も状況を注視していきます。

更に大きな魚は常に存在

一見、農業によって引き起こされる大規模な土地利用およびそれに伴う生物種の損失により、一部の投資家は生物多様性を推進しようとする際に、アグリテック領域内に見られるような関連企業への投資に懐疑的になる可能性があります。

しかし有数の農畜産技術プロバイダーであるディア(Deere)のような企業が先駆けた、洗練された精密農畜産技術は、世界の食料安全保障にプラスの貢献を行いつつ、世界的なカロリー需要が環境に引き起こす影響を大幅に削減するのに役立つ可能性があります。肥料や農薬の使用を最小限にする技術は食品生産の効率を改善する一方、不要な汚染物質が環境や地下水面に浸出するのを大幅に削減もします。

当社の見解では、地球規模の重大なインパクトへのポテンシャルは、モウイ(MOWI)のように従来の養殖方法に代わる、より持続可能な代替手段として称賛される水産養殖会社の環境認証も引けを取りません。世界有数の水産会社である同社は、ワールド・ベンチマーキング・アライアンス(国際NGOで、企業のSDGs達成状況を評価するためのベンチマークを開発)より全般に好意的な評価を受けており、水産物管理指標の中で第2位にランクされています。それでもなお、水産養殖に固有の問題もあり、同社はまだ多くのリスクに対処する必要があります。生物多様性プロファイルの面では、同社は環境フットプリントを詳細に報告する点で見事な透明性を示している反面、改善には「かなりの余地」が残っています。同様に、養殖場の囲いから生きた魚が逃れる比率が従来から高く、地域の生態系に持ち込まれた侵襲的外来種の異種交配や優勢による影響が憂慮され、利益よりも害の方が大きいリスクがあります。それでも、水産養殖は、生物多様性の損失を引き起こす農業の土地利用への圧力を緩和する可能性を秘めており、持続可能な水産養殖のポテンシャルを強調すべきでしょう。

結論

生物多様性にプラスの貢献をしている企業に投資家が投資する際には、企業の事業活動およびサプライチェーンを通してすべてのリスクと機会を批判的に検証するために最大限の努力を行うことが極めて重要です。アクサ IM では、洗練されたインパクト評価、包括的なファンダメンタルズ・リサーチ、積極的なエンゲージメントを行うとともに、社外データ・プロバイダーを利用しています。これにより当社は有望な投資機会に焦点を絞り、投資家としての立場を利用してポジティブな変化を促し、自然資本の保全に最も大きいプラスの効果をもたらす可能性が高い企業を支援する一方で、もちろん、お客様の投資リターンや長期的な投資目標へも貢献いたします。


記載の企業は2023年7月6日付の例証のみを目的としています。本書は金融商品取引に関する投資調査や財務分析ではありません。本資料はまた、いかなる投資、商品、サービスの購入や売却へのオファーでもなく、勧誘、投資、法務または税務上のアドバイス、投資戦略の推奨、証券の購入や売却への推薦とみなされるべきものではありません。

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(オリジナル記事は7月11日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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