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2023年を振り返って:テクノロジー株式戦略・アップデート

  • 2024年1月10日 (5 分で読めます)

主なポイント

  • テクノロジーは、一連の様々な長期的成長機会を引き続き生み出していると思われます
  • 株式投資におけるアクティブ運用の知見が、重要なトレンドを正しいタイミングで見極める為に役立つと考えてます
  • デジタル経済、ロボテック、メタバースという株式投資テーマが、投資家にとって投資機会の選択肢を幅広く提供していると見ています 

2023年の株式市場は、連続的に行われた利上げサイクル、地政学的な難局、気候変動の危機により大きく変動しました。投資家から見ると、こうした変動は薄暗い厳寒期のように感じられたかも知れません。しかし、今後の数カ月は企業がまだ逆風に直面するとしても、世界の株式は新年を迎えるにあたり、明るさを取り戻したように見受けられます。重要なことは、長期的な成長の展望をもつ投資家が、従来すでにある動きであれ、これから起こる動きであれ、テクノロジー部門全体にわたるテーマおよびメガトレンド(地球規模での変革をもたらす可能性を持った大きな社会的経済的変動)によって現れる魅力ある投資の可能性を引き続き追求できるということです。 


テクノロジーが10~12月期に株式市場の回復を主導

昨年は米国のインフレ率が継続して低下したことを受けて、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、政策金利がピークに達した可能性を示唆しました(しかし同時に、さらなる利上げの必要性を完全には打ち消していません)。市場では、これ以上の政策金利の引き上げはないという見方が強まってきており、現在では2024年に予想される利下げの可能性に注目が移っています。この見方によって、昨年末に向けての数週間で債券利回りが比較的大きく低下しましたが、この利回り低下は、株式市場、特に成長株に対する投資家心理にとって強いプラスの働きをし、それまでの利回り上昇によって最も強く圧力を受けていたセクターが他セクターと比べて大きなプラスの反応を示しました。

世界の株式市場は上昇し、MSCIオールカントリー指数内の全セクターが11月にはプラスのリターンを上げた中で、テクノロジー・セクターが当初の精彩を欠いた決算シーズンから徐々に改善したことから、他セクターと比べて高いリターンを上げました。

現在の市場のセンチメントという要因が、当社グループの株式戦略の中核となる3つのテーマ別株式戦略の最新の見通しに、どのように織り込まれているかを、以下に説明いたします。


デジタル経済株式戦略

米国で政策金利がピークに達した可能性がある一方で、2024年5月にも最初の利下げがあるかも知れないとする予想は、サブテーマ「データとイネーブラー」に関連する株式にとって特にプラスに作用したと思われます。

こうした企業は通常、従来のビジネスがデジタルを活用するビジネスに移行し、新規のビジネスがデジタルファースト(デジタル化を業務に取り入れる方針)を採用することを可能にするツールや専門の知見を提供しているテクノロジー企業です。ワークデイ、セールスフォース、サービスナウなど、企業向けソフトウェア企業の幾つかは予想を上回る決算を報告し、株価は比較的良好なパフォーマンスを上げています。この3社はいずれも、自社製品への人工知能(AI)の導入から現在恩恵を受けていると述べています。

当社グループは、引き続き市場が困難な環境にあることを認識する反面、こうした企業の経営陣が厳しい経済環境の中で順調に舵取りを行っているため、良好な業績を上げていることを高く評価できると考えています。また、コスト削減のために行われた意思決定が、企業でのキャッシュの創出および収益成長の下支えとなっていると見ています。


ロボテック株式戦略

経済の不確実性が長引く中、労働市場には軟化の兆しが現れ始めていますが、 それでも過去の状況と比べると依然として非常に堅調であり、企業にとって重大な問題となっている労働力不足が続いています。たとえば製造業や倉庫業の分野では、職種と給与の性格から、この種の仕事に意欲のある労働者、特に若年層が減少しています。その結果、賃金増と労働力不足に直面している企業は、労働力の効率と生産性を向上させるために、作業工程にテクノロジーと自動化の導入を進めています。簡潔に言えば、労働力不足と賃金上昇が今後数年で自動化に対する需要の実質的な引き金になると、当社グループは予測しています。人件費が上昇するにつれ自動化の導入後の資金回収期間が短くなるという関係性は、自動化を検討する分野が増える後押しになると考えられます。

米国では、インフラ支出および資本的支出(CAPEX)を通して国内製造業の再活性化を図っています。このことは、雇用および知的財産を米国内に保持することから、地政学的に重要です。また、新型コロナウイルス後に起こった混乱の教訓から、在庫を国内に保持する意味で、サプライチェーン(供給網)にとっても重要です。米中間の貿易戦争で関税を課したトランプ政権であれ、近年のバイデンの政策や米国内の半導体製造など米国技術の強化と国内回帰のために署名されたCHIPS法であれ、政府支援は過去数年で発展してきました。バイデン米大統領はまた、主要テクノロジーに焦点を置き、米国内での製造の拡大を図り多額の資金を割り当てたインフレ抑制法(IRA)も可決させました。関税、補助金、サプライチェーン問題のリスク軽減の結果、企業は再び米国に投資する動きを強めています - そしてこれはテクノロジーの高度化、ロボットの活用、自動化をもたらすものと思われます。


メタバース株式戦略

最近、AIに関連するテーマで目覚ましい進展が起こっています。当社グループは生成AIがこの主要な加速要因であると見ています。より広範にメタバース戦略について言えば、メタバース業界のかなり多くの企業がすでに、製品やサービスの中でAIを使用しています。投資の関心を惹きつけるのは、メタバースにおける体験を高めるために、処理能力の増強、より強力なAI、興味深いアプリケーションを提供できるような将来の方向性であると見ています。

米国連邦通信委員会は2023年10月、拡張現実・仮想現実ヘッドセットなどのウェアラブルデバイス向けに6GHz帯のセグメントを開放することに応じました1 。これにより、Wi-Fiネットワークを必要とせずにお互いのデバイスが直接接続できるようになる可能性があります。これはウェアラブルデバイス向けの新しいアプリケーションを可能にする上での大きな変化だと当社グループは見ています。これはまた、将来を形作るために規制当局と産業間で行われている積極的な協力を示した良い例でもあります。

Bain&Companyが公表した最近の研究は、メタバースの将来について楽観視し続けるのに十分な理由があることを示しており、この研究によれば、メタバースはすでに私たちの生活と共にあり、ゲーム、医療、製造など様々な業界で広く使用されているとしています。同報告書では、メタバースの市場規模は2030年までに7,000億~9,000億ドルに達する可能性があり、仮想体験、コンテンツ作成ツール、アプリストアおよびオペレーティングシステム、デバイス、コンピューティング、インフラなど広範にわたり重要な機会があると予想しています2 。 私たちは今、生活のほぼあらゆる側面に投資機会が広がる長期的トレンドの初期段階にあり、イノベーションが急速度で続くと、当社グループは考えます。当社グループは、株式市場が比較的高い変動を続ける可能性がある一方、メタバースが創出する長期的な機会は損なわれていないと見ており、メタバース関連の製品やサービスを提供する企業の数は増えていくだろうと考えています。

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今後の見通し

コネクテッド・コンシューマー(デジタル消費者、各種デジタル機器でネット接続している消費者のこと)および自動化の未来が、魅力的で長期的な成長の機会をもたらすと考えています。金利サイクルなどのマクロ経済の要因が株式市場にある程度の影響を及ぼし、そのため、短期的には市場の変動を乗り切る必要があると見ていますが、トランプ大統領の当選後の2017年、2018年の米国/中国間貿易戦争時など、以前の市場変動発生時に見られたように、これは新しいことではないと考えられます。さらに最近では、新型コロナのパンデミックがテクノロジー部門の長期的な成長軌道に多くの点で促進材料をもたらしました。市場は変動性の高い状態を続ける可能性がありますが、長期的なテーマおよびこれらのテーマから恩恵を受けると考えられる企業を特定しようとする当社グループの投資哲学は、短期的な困難にもかかわらず、依然として有効であると信じています。この哲学により、短期的な市場の変動を見通しながら、一方で、社会や経済の在り方を根底から覆すような魅力あるテクノロジーのトレンドに投資する自由が得られると考えています。

 

企業への参照は例証のみを目的としており、投資の推奨と見なされるものではありません。

※MSCIオールカントリー指数:MSCI社が公表している先進国や新興国を含む世界の株式市場の値動きを示す指数です。

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(オリジナル記事は12月21日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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