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トランプ関税により改めて期待される新興国の成長ポテンシャル


新興国小型株へのいざない(2025年5月)

トランプ関税により改めて期待される新興国の成長ポテンシャル

-新興国の内需成長とインフラ投資の恩恵を受ける新興国小型企業-

  • トランプ政権の相互関税が不透明感を与えるも、新興国の中間所得層拡大トレンドは不変
  • 主要新興国ではインフラ投資が継続、経済成長を下支え
  • 新興国株式市場は米国株式市場と異なる展開に

米国の第2次トランプ政権による相互関税が世界貿易に大きな影響を与え、世界経済の成長鈍化が懸念されています。そのような中、新興国の国内需要が世界経済の成長エンジンとしてあらためて金融市場の注目を集めています。従来、多くの新興国の経済成長は輸出に大きく牽引されてきましたが、近年では、中間所得層の拡大やインフラ投資の加速、技術革新などにより、内需が大きく拡大しています。トランプ政権の相互関税が新興国の輸出にも打撃を与える可能性は高まっているものの、内需が強い新興国およびそこで台頭しつつある新興国小型企業に金融市場が着目する可能性が高まっていると見ています。

新興国の内需拡大の背景

1. 中間所得層の拡大

新興国の中間所得層拡大は長年にわたり予測されていました。新興国の都市化が、農村部から都市部への人口の移動と集中を促進させるとともに産業構造の高度化が実現し、それによって所得水準が向上するというシナリオでの中間所得層の拡大期待です。OECD(経済開発協力機構)が公表した世界の中間層予測において、世界の中間層人口は2030年に48億人を超えると予測しています1 。これは2009年時点の2.6倍、2020年時点予測の1.5倍です。加えてOECDはこの成長のほぼすべて(85%程度)はアジア新興国によってもたらされるとも予測しています。これらは消費額にも当然波及することになり、2030年におけるアジア・中南米・アフリカなどの新興国を含む地域の中間層消費シェアは70%にも達する見込みです2 (下グラフ参照)。

このような予測がなされた後、国際情勢は欧州債務危機、チャイナショック(2015年の中国株大暴落)、コロナショック、ロシア・ウクライナ戦争など度重なる危機的状況を迎えますが、この中間層拡大予測の骨格は現状も大きく変わっていないと見ています。新興国の中間層拡大が、国際情勢の影響を受けにくい不変のトレンドと言えるのではないでしょうか。

また、新興国では若年層の割合が高く、彼らの旺盛な消費意欲が経済成長を牽引する重要な要素となっています。この背景には、新興国を中心とする中所得国(2023年末時点で1人当たり国民総所得が1,136ドルから1万3,845ドルの国)の人口拡大があります。世界銀行によれば、1960年から2023年にかけての中所得国の人口の伸びは、高所得国(一人当たり1万3846ドル以上の国)や中国を大きく上回っており、この傾向は続くとみられます(下のグラフ参照)3

新興国の若年層を中心とする消費の拡大は、衣食住関連だけでなくサービス全般に及んでいます。そして、電子商取引やSNS等を活用したデジタルマーケティングなどデジタル技術の普及と、若年層によるそういった技術の積極的活用は先進国と同様に起きており、それらにより新興国の消費はさらに押し上げられています。

 

 

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2.インフラ投資

新興国では都市の拡大に伴い、交通網や上下水道といった都市機能を支えるインフラ整備が不可欠となり経済成長の原動力となっています。インフラ投資は、直接的・間接的に雇用を創出し、所得の増加を通じて内需を刺激しています。新興国のインフラ投資で近年注目されるのは、世界最大の約14億6,000万人の人口を誇るインドと、人口約2億8,000万人のインドネシアです4 。両国ともに若年層を基盤とした豊富な労働力を有しており、生産年齢人口(15歳から64歳)はインドが約9億8,000万人、インドネシアは約1億9,000万人です(日本は約7,000万人)5
 

■インドの道路・鉄道整備

インド政府は現在、大規模な道路建設プロジェクト「バーラトマラ」を進めています。このプロジェクトでは、全国に高速道路や幹線道路を建設し、地方と都市をつなぐインフラ強化を目指しています。フェーズ1だけでも総延長約3万4,800キロメートル、総事業費は約7兆ルピー(約13兆円)の巨大プロジェクトです6

また、鉄道ネットワークの改善にも力を入れており、「専用貨物回廊」として知られるプロジェクトでは、鉄道の貨物輸送能力を強化し、物流の効率化を図っています。プロジェクトの総延長は約3,300キロメートル、総事業費は約8,000億ルピー(約1.5兆円)です7

■インドネシアの新首都プロジェクト

インドネシア政府は現在、首都をジャカルタからカリマンタン(ボルネオ)島に移転するプロジェクトを進めています。新首都「ヌサンタラ」の建設では、道路、港湾、空港、住宅、公共施設などのインフラが整備され、スマートシティとしての機能も取り入れられる予定です。

これは、人口密度が高く、洪水や地盤沈下のリスクがあるジャカルタから移転することで、インドネシアの持続可能な発展を目指すものです。

首都移転にかかるコストは466兆ルピア(約4.7兆円)と試算されており、インドネシア独立100周年の年である2045年までの完了を目指しています。新首都は約200万人規模の都市になる見込みです8

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内需が強い新興国の小型企業に特に注目

一般に、国内需要を収益の中核とする傾向の強い中小企業は、大企業のように貿易動向や国際動向の影響を大きく受けることはありません。先に述べた通り、新興国ではトランプ関税の動向とは異なる動きとして個人消費が拡大し、政府主導の投資が進もうとしています。これらは米国のトランプ新政権が与える不確実性の影響を受けにくいトレンドであり、新興国の小型企業はこのような自国内の需要拡大やインフラ投資の恩恵を受ける可能性が高いと考えています。

株式市場においても、着実に利益成長を遂げる期待のある新興国小型銘柄が評価される局面が来る、と期待されます。実際、2025年の株価パフォーマンスにおいて、米国・超大型株式中心の先進国株式と新興国小型株式を比較してみると、トランプ新政権の政策期待から当初は先進国株式が優位な展開だったものの、その後は先進国株式が軟調な展開となり、足元はほとんど乖離がない状態です。これは、関税政策やバイデン前政権が策定した産業振興策の撤回懸念など様々な動向によって市場に強い不透明感が蔓延した結果、米国株式市場からの逃避が一定程度あった一方で、新興国の小型銘柄が国際動向に左右されにくい収益構造であることに加え、足元のバリュエーション9 [1]が再評価される形で株価が回復したことが要因であると見ています(下グラフ参照)。

ここまで見たように、トランプ関税によって市場の不透明感が高まっている今だからこそ、国際動向に左右されにくい新興国小型株戦略をポートフォリオに組み込む価値があるのではないか、と当社では考えています。

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過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

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