【重要なお知らせ】 アクサ・インベストメント・マネジャーズ(AXA IM)やその役職員を装った不審な勧誘にご注意ください。 詳細はこちら

市場の不透明感があるなか、欧州クレジット市場に引き続き投資機会はあるのか?

主なポイント

リスク資産は不透明性を嫌うため、アクサ・インベストメント・マネージャーズ・グループ(以下、アクサIMといいます)は、今後金融引き締めが実施されることは予想していない
今年第1四半期の業績はまちまちだったものの、企業は引き続き底堅さを保っている
欧州クレジット戦略は、市場の不透明感が続く中でも短期デュレーションや柔軟なアプローチをとる手法が、投資機会を模索する投資家にとって注目すべき戦略となる可能性があると見ている

不透明なマクロ環境にもかかわらず、インカム指向が依然として優位

アクサIMの年初時点の予想は、債券市場のパフォーマンスはインカム主導になるというものでした。最近のボラティリティ(変動)と継続的な不確実性を考慮したうえでも、アクサIMはこの予想を維持しています。その理由の1つは、投資家にとって絶対利回りが過去10年の多くの期間で見られた水準を依然として上回っていることです。

ただ、アクサIMは、スプレッドが大幅に縮小することはないと予想しています。この数週間で市場のセンチメントは大きく変化し、リスク資産の価格に上昇が見られましたが、不確実性は依然として高いままです。ユーロ圏の投資適格債市場のクレジットスプレッド(発行体の信用格差による利回り差)は5月末までに10ベーシスポイント(bp)縮小して87bpとなり、トランプ氏の「解放記念日」後に見られたスプレッドの拡大は縮小に向かいました。 しかし、スプレッドは2月中旬の最低水準である76bpよりも11bp拡大した水準で推移しており、回復がまだ完全ではないことを示しています。1  この状況は、米国の関税発表後の4月にスプレッドが拡大したことに見られるように、リスク資産が不確実性から悪影響を受けるために起こっていると理解できます。

こうした状況を考えると、解放記念日以前に見られた水準に近づいているとはいえ、中国や欧州連合(EU)との協議に目立った進展がなければ、今後縮小がさらに進むとは考えにくいと見ています。

  • 5Ye65omA77yaMjAyNeW5tDXmnIgzMOaXpeePvuWcqOOAgeOCouOCr+OCtUlN44CB44OW44Or44O844Og44OQ44O844Kw

企業は引き続き底堅さを見せている

多くの企業は、強固なバランスシートと全般的に良好なファンダメンタルズを有しながら、この不安定な時期に入っています。今年第1四半期の業績は好不調が混在していましたが、いくつか明るい材料も見られました。銀行は堅調な投資銀行部門の業績、リスク引当金の抑制、非資金純利益の改善に支えられた一方で、世界的には収益性と資産の健全性が引き続き堅調に推移しています。公益事業や通信といったディフェンシブセクター(景気動向に左右されにくいセクター)も、第1四半期は引き続き妥当な業績を報告しています。

しかし、その他の分野、特に自動車業界は、厳しい見通しや中国で業績にかかる圧力の高まり、関税による収益性への悪影響の可能性に直面しており、状況はもっと複雑になっています。さらに、消費セクターでは、ケリング、LVMH、カールスバーグなどの企業業績が振るわず、市場予想を下回る数字が報告されています。

アクサIMは、金融債市場について現在のバリュエーションでは一般事業債市場をアウトパフォームする余地は限られているものの、相対的には前向きな見方を維持しています。また、アクサIMの社債戦略では引き続き、良好なリスク・リターン特性を提供するハイブリッド社債(自己資本に近い性質を持つ社債、劣後特約付社債)、特にコール(早期償還)日が5年未満のものを選好します。

全体として、欧州の発行体の信用の質は良好であり、景気減速が起こったとしても耐えることができると考えています。

受給要因がパフォーマンスをけん引する可能性があると見ている

予想通り、不安定な環境下で4月の供給額は450億ユーロと限定的でしたが、その多くを社債が占めており、米国の発行体は総発行額の38%でした。2  発行額水準の低下は、特に金融債を中心に需給面ではスプレッドには支援材料となりました。

5月には状況が好転し、供給額が急増しました。祝日が複数日あったにもかかわらず、新規発行額は1,070億ユーロ近くとなり、欧州市場の月間最高額を記録しました。3  また、以前ほどではありませんが、米国の発行体がユーロ市場での資金調達を続けていることにも後押しされています。

受給面も旺盛な需要に押し上げられ、供給に対して平均3.5倍の需要超過となりました。3

このため、マクロ環境のリスクがあるにもかかわらず受給面は堅調で、多額の発行がある中でもクレジット市場の底堅さが支えられています。

  • 5Ye65omA77yaMjAyNeW5tDTmnIgzMOaXpeePvuWcqOOAgeOCouOCr+OCtUlN44CB44OW44Or44O844Og44OQ44O844Kw
  • 5Ye65omA77yaMjAyNeW5tDXmnIgzMOaXpeePvuWcqOOAgeOCouOCr+OCtUlN44CB44OW44Or44O844Og44OQ44O844Kw

市場にアクセスするための異なる方法

マクロの不確実性とキャリー取引(低金利の通貨を売って高金利の通貨を買う取引)、堅調なファンダメンタルズの組み合わせは、欧州のクレジット市場が投資家の関心を引き続き引き付ける分野である理由を示しています。

しかし、それを最大限に活用するためには、適切な投資戦略を選択することが重要と見ています。アクサIMでは、特に3つの異なる投資戦略には良好な機会があると考えています。

短期デュレーション・クレジット戦略

投資適格債とハイイールド債は、この不透明な世界で依然として相対的に良好な投資対象です。短期デュレーションは、一般的に金利リスクへのエクスポージャーが少ないため、投資家はイールドカーブの長期部分でみられるほどのボラティリティを経験することなく定期的なインカムを得る可能性があると考えられます。

フレキシブル戦略

ベンチマークにとらわれないアクティブで柔軟な運用手法は、資産配分を調整でき、機敏にデュレーションを管理できるため、さまざまな市場で良好なリスク調整後リターンを獲得するのに役立つと考えます。

スプレッドは2月の低水準から拡大した状況が続いていますが、今後縮小が進むことについては慎重な見方をしています。バリュエーション面では割安さが薄れており、短期的には限られた幅の中で取引されることが予想され、どちらの方向に大幅に動くにしてもその材料は限定的と見ています。今後数か月で考えられる材料としては、実体経済のデータ発表、金利の変動、今年第2四半期の決算シーズンなどが挙げられます。

こうした環境下では、欧州のクレジット市場について、不確実性の予兆が見られる世の中を乗り切るために、短期デュレーション戦略や柔軟なアプローチによる戦略が、投資家にさまざまな選択肢を提供する可能性があると見ています。

企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

(オリジナル記事は6月17日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

    ご留意事項

    本ページは情報提供のみを目的としており、特定の有価証券やアクサ・インベストメント・マネージャーズ・グループ(アクサIM)またはその関連会社による投資、商品またはサービスを購入または売却するオファーを構成するものではなく、またこれらは勧誘、投資、法的または税務アドバイスとして考慮すべきではありません。本資料で説明された戦略は、管轄区域または特定のタイプの投資家によってはご利用できない可能性があります。本資料で提示された意見、推計および予測は掲載時の主観的なものであり、予告なしに変更される可能性があります。予測が現実になるという保証はありません。本資料に記載されている情報に依拠するか否かについては、読者の独自の判断に委ねられています。本資料には投資判断に必要な十分な情報は含まれていません。

    投資リスクおよび費用について
    当社が提供する戦略は、主に有価証券への投資を行いますが、当該有価証券の価格の下落により、投資元本を割り込むおそれがあります。また、外貨建資産に投資する場合には、為替の変動によっては投資元本を割り込むおそれがあります。したがって、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益および損失はすべてお客様に帰属します。
    また、当社の投資運用業務に係る報酬額およびその他費用は、お客様の運用資産の額や運用戦略(方針)等によって異なりますので、その合計額を表示することはできません。また、運用資産において行う有価証券等の取引に伴う売買手数料等はお客様の負担となります。

    アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
    金融商品取引業者 登録番号: 関東財務局長(金商) 第16号
    加入協会: 一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、日本証券業協会

    お問い合わせ先:TOKYOMARKETING@axa-im.com

    ページトップへ