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厳しい状況であればこそESGはその真価を発揮

  • 2023年4月6日 (3 分で読めます)

2022年は、インフレ、地政学、市場のボラティリティが相まって、極めて困難な年となりました。これに対して企業は、喫緊の課題に取り組む一方で、環境・社会・ガバナンス(ESG)の取り組みを単純に棚上げすることもできたはずです。しかし、幸いなことに、多くの企業はそのようなことに気を取られませんでした。

実際、2022年には多くの点でネットゼロへの移行が加速しました。エネルギー安定化の必要性が再生可能エネルギーへの投資を後押しする一方で、新たな規制や12月のCOP15(国連生物多様性条約第15回締約国会議)で合意された生物多様性グローバル枠組みのような野心的な世界的イニシアチブが導入されました。

企業への圧力は弱まる兆しを見せていません。 特に欧州では、企業は、規制が金融業界を超えて実体経済に影響を与え始めつつあることを理解しています。 企業の顧客やその他の利害関係者は、すでに二酸化炭素排出量を精査し始めており、性別や民族のダイバーシティなどの分野では既に実績があります。 彼らはガイダンスを必要とするため、責任ある投資家と積極的に関わり、その結果、多くの重要な ESG 問題に関して企業による真の進歩が見られるようになってきています。 エンゲージメントは機能しており、アクサIM の最新のスチュワードシップ・ レポートでは、こういった経緯を説明しています。

勢いを維持

大きな進歩を遂げつつある一方で、企業が適切な道筋を歩み続けることが重要です。ここでは、楽観視できる理由があります。欧州のロシア産化石燃料への依存度を下げ、欧州連合(EU)におけるグリーン移行の加速を目的としたREPowerEU計画や、世界最大の炭素市場であるEU排出権取引制度における新たな改革などのイニシアチブが、企業にネットゼロを目指すよう圧力を強めています。

米国は、気候変動対策として過去最大の連邦法であるインフレ抑制法(IRA)を成立させたため、環境後進国がリーダーへと変貌を遂げました。3,700億ドル(約48兆円)の巨額パッケージであるIRAは、特に輸送産業を中心とした米国の低炭素ソリューション開発を加速させ、再生可能エネルギー投資を急増させるものです。IRAによってもたらされた競争上の緊張は、欧州の多くの人々を動揺させましたが、この画期的な法律は、気候危機への取り組みが、米国ではビジネスを意味することを示しています。これは、米国の一部の関係者における「ESGに対する反発」の影響をはるかに上回る意味が、投資家にとってあると思われます。

昨年は、ESGにおける「S」の注目度が上昇したことも歓迎すべきことでした。例えば、新型コロナパンデミック(感染拡大)がもたらした労働のトランスフォーメーションは、今や恒久的なものであることが明らかになり、社会政策に課題を投げかけています。在宅勤務は、労働条件の評価にどのような変化をもたらすのでしょうか。長年、企業における労働災害の発生件数などの統計は、社会問題で企業を評価しようとする投資家にとって重要業績評価指標(KPI)でした。在宅勤務の台頭により、私たちの働き方が大きく変わったかもしれませんが、事故がなくなるわけではありません。

状況の変化

投資家としての視点は、政策が新しい現実に確実に適応するのと同様に、変化しなければなりません。同様に、企業も慣れない方法で人材獲得競争を展開しています。パンデミックは、私たちの経験の中では、失業率が低下した初めての危機です。労働市場は依然としてどこも逼迫しています。これにより、投資の観点から「S」がさらに重要になります。なぜなら、進歩的な社会政策を展開できる企業は、労働力を維持し、競争上の優位性を享受できるため、それがポートフォリオのパフォーマンスに反映される可能性があるからです。賃金が軒並み上昇する中、労働者、特に若い世代は雇用主のパーパスや価値観にますます左右されるようになってきています。

ESG要素に真剣に取り組む投資家は、エンゲージメントや議決権行使から投資除外やダイベストメント(投資撤退)に至るまで、様々なツールを利用できます。その中には、化石燃料企業に対して、野心的でありながら達成可能な排出削減目標や再生可能エネルギーへの投資を促すことも含まれます。

当社は、積極的かつ集中的なスチュワードシップの力が企業に変化をもたらすと考えており、石油・ガス業界をはじめ、当社がエンゲージメントを展開しているその他の企業において、それを実感しています。企業は自社の評判が危機に瀕していることを理解しており、有意義な対話に応じる姿勢を強めています。規制によって非財務情報の開示が進み、投資家が大きな影響力を行使できるようになった今、当社は、より持続可能な世界を目指す集団的な動きが続くことを確信しており、そして希望を抱いています。

(オリジナル記事は4月4日に掲載されました。こちらからご覧ください。)

スチュワードシップ・レポート
PDFダウンロード (4.68 MB)

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