
ロボテック戦略月次レター:自動化関連企業、決算は堅調
- 2022年2月10日 (5 分で読めます)
ロボテック戦略月次レター(2022年1月の振り返り)
自動化関連企業、決算は好調
グロース株からバリュー株へローテーション受け、株価は下落するも良好なファンダメンタルズは変わらず
1月の世界株式市場(MSCI ACWI、米ドルベース)は昨年10-12月期の上昇トレンドから一転し、大幅な下落となりました。
インフレ圧力が強まる中、投資家の関心は、各国中央銀行のこれまでの想定よりも早い利上げ見通しに集中し、市場ではグロース株からバリュー株への急激なローテーションが起こりました。当戦略の投資対象ではないエネルギーセクターなどが市場全体を上回るパフォーマンスとなる一方、ITセクターなどは市場全体を下回るパフォーマンスとなりました。
株式市場では月を通して値動きの荒い展開となり、利益を上げていない企業や株価が割高に評価されている企業などが特に大幅な下落を記録しました。半導体関連銘柄など、直近パフォーマンスのよかった銘柄なども利益確定の売りで大きく株価が下落しました。
当月のロボテック戦略も、市場全体と同様に大幅な下落となりました。米国をはじめ保有銘柄の株価が全般的に下落したことがマイナス寄与となりました。当月は米国のテラダイン、シリコン・ラボラトリーズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセス(AMD)など半導体関連銘柄がマイナス寄与となりました。
なお、当戦略の組入銘柄の大半は、2022年の黒字業績が見込まれており、ファンダメンタルズも引き続き良好であるため、下落局面においては個別銘柄で買い増しを行いました。
決算内容は堅調、市場も徐々に落ち着き
大手テクノロジー企業などが1月後半から2月初めにかけて行った決算発表は堅調な内容となっており、市場も落ち着きを取り戻つつあります。AMDは人口知能(AI)アプリケーションに用いられるハイパフォーマンスコンピューティング向け半導体、シリコン・ラボラトリーズは幅広いエンドユーザーから需要のあるIoT(モノのインターネット)向け半導体、テキサス・インスツルメンツは産業および自動車向けアプリケーション用半導体について、それぞれ旺盛な需要があることを報告しています。
この中では、テラダインの決算は失望を呼ぶものとなりました。半導体試験装置および自動化機器を手掛ける同社は当初、大手スマートフォン・メーカーから2022年の受注を見込んでいましたが、2023年にずれ込む可能性を示唆しました。また、サプライチェーンの問題も続いており、一部の事業でコストが増加していることについても言及しました。これらのコスト増加圧力は年後半にかけて徐々に緩和されるものと期待されます。
日本の自動化関連銘柄は強弱入り混じる決算となりました。キーエンスは1月に株価が下落しましたが、2月初めの決算発表では最高益を記録しました。その他のメーカーはサプライチェーンの問題により一時的な収益圧迫を報告しています。明るいニュースとしては、産業用ロボット最大手のファナックが電気自動車(EV)や電子機器関連産業からの堅調な需要に後押しされ高水準の受注を報告したことが挙げられます。
EV関連で自動化などの設備投資加速へ
なお、EV関連では、世界的に活発なEV向け設備投資により、電池の組み立て工程などでのロボット導入増を受け、サーボモーターの安川電機は直近の四半期受注で過去最高を更新しました。日本電産は、EV用駆動モジュール(モーター、減速機、インバーターなどを一体化した製品)「イーアクスル」を採用したEVの販売台数が昨年11月に2万台を突破し、追加投資をこのほど発表しました。
また、1月上旬に開催された米テクノロジー見本市「CES」では、米ゼネラル・モーターズ(GM)が主力車種のEV化を表明し、ソニーグループもEVへの本格参入の検討を発表しました。さらに、日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の3社連合は、2026年度までに230億ユーロ(約3兆円)におよぶEV関連の設備投資を行うと1月に発表しました。EV関連では、自動化などの設備投資の一段の加速が進むと見ています。
継続する労働力不足や賃金上昇圧力が自動化促進
2022年に入っても、インフレ圧力やサプライチェーンの混乱は引き続き企業の経営に影響を与えており、一部の地域では労働力不足が賃金上昇圧力となっています。多くの業種、中でも製造業や倉庫関連においては、労働力不足を解決する一手として自動化を導入する機会を提供しており、この問題が続く限り自動化の需要を高める原動力となると見ています。この点については、当戦略のポートフォリオ・マネージャーであるトム・ライリーの最近の記事(「自動化関連セクターの力強い成長は持続へ」)をご覧ください。
ポートフォリオの動向
当月は、市場が下落した局面を捉えて半導体のウルフスピード、3Dセンサーを提供するルメンタム・ホールディングスなど、多くの組入銘柄の買い増しを行いました。画像処理半導体を製造するアンバレラの買い増しも行いました。同銘柄については、12月にそれまでの堅調なパフォーマンスを受けて利益確定のため一部売却を行いましたが、今回の下げ相場で魅力的な株価水準で買い戻すことができました。
ヘルスケア・セクターでは、臨床検査薬や診断機器を製造するクイデルおよび関節ロボット手術機器を製造するジンマー・バイオメット・ホールディングスを全額売却した一方、1月に特に株価が下落した歯科矯正器具メーカーのアライン・テクノロジーおよびロボット手術最大手のインテュイティブ・サージカルについては買い増しを行いました。
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