月次投資見通し:債券市場投資機会の拡大、欧州投資家の楽観的な投資姿勢、中国の新5か年計画
主な投資テーマ
債券市場での投資機会が拡大
債券市場の見通しは引き続き良好で、2026年には欧米において金融追加緩和が予想されてい ます。キャリー(市場状況が一定の時に得られるインカム)に基づくパッシブ戦略も選択肢の一つ ですが、イールドカーブ(金利曲線)が変化する可能性、市場間スプレッド(市場間の利回り 差)、クレジットプレミアム(信用リスクに対して求める追加的リターン)を考えれば、アクティブ戦 略の選択肢も多くあるとみています。短期国債市場の利回りは金融政策に対する市場の期待を 反映しますが、様々なリスクが長期国債市場にボラティリティ(変動)をもたらすことがあります。財 政政策と多額の国債発行を考えれば、イールドカーブがスティープ(急勾配)化し、さらに傾斜が 進む可能性があるとみています。興味深い点として、2025年では、デュレーションの長い債券市場 分野は市場全体よりもパフォーマンスが良く、4年続いた低パフォーマンスから抜け出そうとしていま す。デュレーションをアクティブに管理し、利回り差を利用することが、良好なパフォーマンスを実現す るカギになるでしょう。イールドカーブがスティープ化すればするほど、デュレーションの延長戦略は有 効になるでしょう。ドル、ポンド、ユーロの金利差が縮小すれば、債券市場のリターンを押し上げるも う一つの機会となるとみています。クレジットスプレッド(信用格差による利回り差)は依然としてタ イトな(縮小した)水準ですが、信用状況の動向に対する懸念が広がっていくと、市場のボラティ リティが高まる可能性があるとみています。マクロ経済の不確実性が高まる時期には、アクティブな 投資戦略により、信用リスクへの投資を現在よりも良好な水準で増やすことができると考えます。
楽観的な欧州投資家
欧州の投資家は安定して株式市場への投資を続けており、市場のデータによると、今年初から8 月までに株式ファンドに流入した資金は1,640億ユーロに達し、2024年の1,440億ユーロを上回り ました。注目すべき点として、欧州投資家のリスク選好性がトランプ米大統領の解放の日¹の影響 を受けなかったことです。今年4月には株式資金流入が150億ユーロを超えた一方で、債券ファンド からの資金流出は210億ユーロ近くに上りました。しかし、債券ファンドへの資金流入は2024年の 2,760億ユーロに匹敵する勢いを見せている中、国債市場から社債などクレジット市場への資金 移動が進んでいる模様です。そのために、ICE BofA ユーロ社債指数のリターンはユーロ国債指数 を200ベーシスポイント(bp)近く上回る水準にあります。さらに、マルチアセット戦略ファンドは2年 連続の資金流出後、400億ユーロ近い資金流入となっています。資金を欧州ポートフォリオに傾斜 配分してリスクを取りリターンを追求する戦略によって相対的に良好なリターンを得ています。ストッ クス欧州600指数と国債市場による標準的な60/40戦略²の年初来トータル・リターンは約7.4% でした。これと比較して、同じ配分の戦略による2024年通年でのリターンは4.6%でした。
1:トランプ大統領が貿易相手国に相互関税を課すと発表した4月2日
2:株式を60%、債券を40%組み入れる伝統的運用手法
中国:効果的な分野に傾斜
中国共産党の第20期中央委員会第4回総会(4中総会)は10月23日に閉幕し、コミュニケ (公式声明)では第15次5カ年計画の初期指針が示されました。政策立案者たちは2035年目 標を設定する上で、継続的な構造的不均衡、経済循環的逆風、不透明な地政学的状況に直 面しています。民間部門と消費者信頼感の低迷は、需給の不均衡とともに、ますます大きな課題 となっています。長期的な成長を持続するには内需の回復がカギとなりますが、中国の国内消費を 増加させるには時間がかかるとみています。当面の戦略は、投資と貿易主導の成長に依存し、近 代的産業システムの発展と技術的自給自足を重視することです。この取組みは戦略的であり、ま た実際的でもあり、つまり、投資が新たな雇用を創出し、所得の伸びを促進し、ひいては需要を押 し上げるという考えに根ざしています。しかし、中国が国内産品の消費を増す必要があることを特に 考慮すると、今後のマクロ経済と地政学的動向は、政策の実施とともに極めて重要となるでしょう。 過剰生産能力から来る生産者物価の低迷は輸出物価に影響を及ぼし、輸出デフレのリスクを高 め、結果的に他の製造国の経済成長を困難にする可能性があるとみています。
※本資料で使用している指数について
ICE BofA ユーロ社債指数、ICE BofA ユーロ国債指数:ICEデータ・インデックス社が公表しているユーロ圏の投資適格社債、及びユーロ圏の国債の値動き をそれぞれ示す指数です。
ストックス欧州600指数:STOXX社が算出・公表している欧州先進国における株式市場の600社の値動きの平均を示す時価総額加重平均型株価指数 です。
※本資料中の指数等の著作権、知的財産権、その他一切の権利はその発行者に帰属します。
出所:ブルームバーグ、アクサIMグループ、2025年10月末現在
資産クラス別概要
表明された見解は、資産クラスのリターンおよびリスクに関する CIO チームの予想を反映しています。各色は長期的に観測される動向と比較した今後3~6か月のリターンの見通しを示しています。
データの出所:ブルームバーグ
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