中国で続くデフレが中国経済を阻害している一方で、AIインフラが世界の株式市場をけん引
主なポイント
他の地域のマクロ経済の動きからは乖離傾向
昨年12月に開かれた中国の中央経済工作会議では、主要な政策担当者からいわゆる「反内巻2」政策への注力が改めて確認されました。この反内巻政策は、電気自動車やフードデリバリーなど各セクターにわたり利益率を侵食するような破壊的な価格競争を根絶することを目指しています。しかし、政府が失業拡大の可能性や経済成長鈍化を恐れて積極的な政策行動を控えているため、政策の進展はまだ限定的になっています。
このマクロ経済の逆風にもかかわらず、中国の2025年の株式市場は2桁のプラスリターンとなりました。大きなマクロ経済動向とは異なるこの動きは、生成AIの躍進によって引き起こされた情報技術等のセクターやバイオテクノロジーセクター、反内巻政策から恩恵を受けるセクターなどの強いパフォーマンスが寄与しています。
加えて、株式の配当利回りが預金金利よりも高いために、貯蓄が株式市場に還流してきており、こうした流動性の改善が市場の再評価を促しています。一方、債券市場のリターンは低下しており、ボラティリティ(変動)が高まっていて、不動産市場は変わらず脆弱なため、それらに代わる別の投資が模索されています。
2026年を迎えて、民間部門の業況感は軟調、消費者心理も停滞、また、受給が不均衡になっており、デフレ脱却には状況が難しくなってきており、ひいては、企業業績に厳しさが増しています。内需の回復が持続的な長期的成長の要ですが、中国の内需拡大には時間がかかるとみています。現状(執筆時)では、政策は投資主導、貿易主導の成長に焦点を当てたままであり、現代の産業システムやテクノロジーの自給率の向上を重視しています。このように、投資家は政策やテクノロジーのイノベーションに支えられた分野に注目を続ける方が良いと考えます。
- 内巻きとは、国内の過剰生産や過当競争によって値下げなどの消耗戦が続き国内経済が低迷する状況を示す言葉です
現状では、AIインフラがすべて
世界の主要な株式市場は2026年を好調なパフォーマンスでスタートし、昨年からの上昇相場を続けています。この上昇相場は主に、人工知能(AI)の成長の勢いによって促進されています。市場の予想では、AI技術を導入する企業が増えるために、AI関連支出が2025年の水準を越えると見られています。いくつかの試算では、ハイパースケーラー(クラウドサービスを大規模に構築・運用する企業)のAI関連向け支出が、2025年の約4700億ドルから2026年に約6000億ドル支出するとしています。
最近の相場上昇は、明らかにAIの中核技術を開発する企業よりも、そうした企業に‘道具’を提供する企業がけん引しています。この分野の企業は、AIを支える必須のインフラや機器を供給する企業です。こうした企業には、半導体製造会社やハードウェア供給企業、クラウドコンピューティング(ネットワーク上のサーバーにあるコンピューター機能を活用する仕組み)のプラットフォーム(基盤)提供会社などが含まれ、こうした企業はすべて、AI開発に関連する設備投資の拡大によって恩恵を受けると見込まれています。
現在(執筆時)、投資家の注目はAIのエコシステムに必要となるコンピューターに関連するインフラを提供する企業に集まっています。対して、AI関連ソフトウェアやアクセレレーター(学習処理および推論処理の高速化を実現する専用回路)に関連する企業分野では、株価水準の再調整が穏やかながら進んでいますが、この調整の原因は、こうした企業のアプリケーション(実務用に設計されたソフトウェア)がまだ商業化の初期段階にすぎず、成長するか否かまだ不確実性が高いためです。
このような複雑なインフラを構築し続ける場合には、様々な障害に直面すると可能性があるとみています。その障害とは、コンピューティング用電力不足やデータセンターの許容量の限界、低コストで信頼性の高い電源の必要性などが含まれます。
開発のこの段階では、深刻な需給不均衡の恩恵を受けているのはコンピューティング能力であり、関連製品の価格上昇を招いています。例えば、台湾の調査会社トレンドフォースの推計によると、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)の平均価格が2025年第4四半期に50%から55%上昇し、2026年の受注が既に供給能力を超えているとしています。DRAMは、コンピューターの高速ワーキングメモリとして機能し、アクティブな処理に必要なデータへの迅速なアクセスを可能にするため、非常に重要な部品です。
加えて、AI データセンターは膨大な量の電力を消費しますが、開発中の新しい DRAM モデルはデータ移動中のエネルギー消費を 40% ~ 70% 削減します。これは、既存の電力網内で AI「スーパーファクトリー(分散するデータセンターを統合する大規模なインフラ)」を拡張するために不可欠です。
新しいコンピューター製造工場の建設には2~3年かかるため、市場では、ハードウェア不足は少なくとも2027年まで続くという予想も見られます。この長期にわたる供給面の制約は、他のテクノロジーセクターよりも半導体セクターに、米国だけでなく世界的に利益をもたらす可能性が高いとみており、特に、サプライチェーンの多くは依然としてアジアにあります。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
(オリジナル記事は1月14日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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※CSI300指数:中証指数有限公司が算出・公表している、上海証券取引所および深セン証券取引所に上場されている全A株のうち時価総額および流動性の高い300銘柄で構成される浮動株時価総額加重平均指数です。
※フィラデルフィア半導体株指数:NASDAQ OMX PHLX(旧フィラデルフィア証券取引所)が算出、公表する米国の証券取引所に上場されている半導体関連企業30社で構成される株価指数であり、時価総額加重平均型株価指数です。
※S&P500ソフトウェア指数:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する米国の500社で構成されるS&P500 指数の採用銘柄のうちソフトウェアセクターの値動きを示す指数であり、時価総額加重平均型株価指数です。
※MSCIワールド半導体&半導体製造装置指数、MSCIワールドソフトウェア指数:MSCI社が公表している先進国の半導体や半導体製造装置セクターの値動きを示す指数、また、先進国のソフトセクターの値動きを示す指数であり、両指数とも時価総額加重平均型指数です。
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