イノベーションの最前線:投資家にとっての特許データの重要性
主なポイント
企業の成長と変革を推進する重要な要因の中で、一般的に他の何よりも際立っているとみられている要因として、イノベーションがあります。そしてイノベーションは、あらゆる部門、ビジネスモデル、地域、顧客基盤に浸透しているとみています。
企業がどのようにイノベーションを起こすかは、将来の業績に関する深い洞察をもたらし、投資家は企業の潜在能力をより正確に評価することに役立つと考えています。企業がイノベーションを起こし発明を行うと、そのアイデアに対する法的権利を保護するために多くの場合特許を申請します。特許に関するデータセットは、企業のイノベーション活動に関する包括的な情報を提供し、様々な業界や市場における将来の成功を予測する貴重な指標となります。
BNPパリバ・アセットマネジメント・グループ(以下、弊社グループ)が使用する特許のデータセットは、これまでに扱った中で最大規模であり、3700万件以上の企業を網羅し、各特許につき平均50ページとなる総計数百万ページに及ぶ詳細な出願情報を含んでいます。このような膨大で複雑なテキストデータを処理するには、情報処理上で大きな課題が生じ、また、効率的に読み取り、分析、有意義な知見を抽出するには、近年飛躍的に向上している計算能力を活用する必要があります。大規模言語モデル(LLM)の登場によって、企業のイノベーション水準を競合他社と比較して解釈・評価することが可能になり、従来であれば不可能と思われていたデータ処理作業が、投資判断に役立つ実現可能な分析プロセスへと変革しています。
ここでは、時間と地域を跨いだ特許出願件数をマクロ的な視点から考察し、豊富な情報の活用可能性を簡略ながら見ていきましょう。
米国を追い抜く中国
下記図表1は、特許出願件数について各年の新興市場と先進市場の割合を示しています。この図表の力強いメッセージとして、イノベーションの成長は新興国市場へと大きく移行しており、この傾向は2000年代半ばに加速しました。
下記図表2は、米国と中国の特許出願件数の合計に占めるそれぞれの割合を示しています。2000年代前半は米国が圧倒的に優勢でしたが、2010年代に入ると中国が積極的に出願するようになりました。現在では、中国は両国合計出願件数の約80%を占めており、イノベーションを取り巻く環境の大きな変化を写し出しています。
図表2から、特許出願において米国だけでは中国に大きく後れを取っています。そこで下記図表3では、米国と日本、そして欧州諸国が特許出願件数で中国を超えることができるかどうかを検討します。
下記図表4は、各年の特許出願件数について、総出願件数に対する各国(地域)の割合を示しています。この図から、いくつかの重要な洞察が得られます。特に中国は、技術進歩を通じて特許環境を大きく変革し、現在では毎年の新規出願件数で圧倒的な割合を占めています。一方、日本では、出願件数が急速に減少していますが、これは国内市場が成熟してきたことと企業の研究開発投資が変化してきたことによるものと考えられます。米国はイノベーション活動の水準を維持しているものの、やや後退の傾向が見られる一方、ドイツとフランスは停滞の兆しを示しています。
投資への影響
投資家にとって最も重要な点は、中国をはじめとする新興国がイノベーションの推進においてさらに重要性を増していることです。この傾向は、中国発の画期的な開発の可能性を浮き彫りにし、この地域で良好なリターンを得る機会を創出しているとみています。
中国は特許出願件数において欧米諸国に追いつき、それを上回っている一方、インドは様々な要因により遅れをとっています。これらの要因には、特許処理に必要な人材の不足、民間部門の研究開発費の少なさ、経済の主体がサービス経済であること、そしてインドの特許法における特許取得の要件が欧米諸国よりも厳しいことなど、様々な要因が挙げられます。これは特に製薬業界とソフトウェア業界で顕著であり、いわゆる「エバーグリーニング」(ジェネリック医薬品の競争を遅らせる可能性のある慣行)を防ぎ、公共の利益を守るためです。各国が開発途上のイノベーションを商業化に向けて支援を続ける中で、新興国市場経済においては、さらに大きなリターンが得られる可能性があるとみています。
特許出願件数を評価することは、イノベーションの有用な指標となりますが、競合他社と比較してその独自性や質を検証することもできます。弊社グループは、LLMとグラフ理論(点と線を用いて物事の関係性を示す手法)を組み合わせた独自のモデルを用いて、マーケットリーダーになる可能性を秘めた、大きな成長が見込まれる革新的な企業を特定することを目指しています。投資家にとっては、弊社グループのアプローチは、潜在的な投資機会を浮き彫りにし、市場全体にわたる資産配分の決定に役立つ貴重な洞察を提供することができるとみています。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
(オリジナル記事は2月23日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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