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パリ協定から10年が経過、この間グリーンボンド市場は需要が拡大

主なポイント

グリーンボンドへの投資戦略は、サステナビリティ(持続可能性)目標の達成を目指しつつ、債券投資を多様化する可能性がある良好な機会を投資家に提供すると見ている
透明性と信頼性の向上により、この資産クラスへの需要が高まっている
グリーンボンド市場は欧州が引き続き発行額の大半を占め、新たな投資やインフラ・プロジェクトが市場を拡大させると見込まれる

グリーンボンド市場の勢いは衰えを見せておらず、グリーンボンドは標準化が進み、透明性と信頼性も向上しています。その結果、この資産クラスに対する需要が増え続けています。

2015年に196の国が採択し締結したパリ協定は、世界の気温上昇幅を産業革命以前と比べて2°Cを十分に下回る水準、できればそれよりもはるかに低い水準に抑えることを目標としており、このグリーンボンド市場には追い風となってきた可能性が高いと見ています。

世界第2位の経済大国である中国は、高い環境目標を支援するために国際資本を誘致しようと、今年4月に同国初のグリーン・ソブリン債を発行しました。ロンドン証券取引所に上場されたこの人民元建て債券は、60億元を集めました。1

これは、近年著しく拡大しているこの市場における最新の重要な進展と見ています。2024年のグリーンボンド市場の発行額は過去最高の4,470億ドルとなりました2 。一方、より広範なグリーン、ソーシャル、サステナビリティ債券市場残高は、ユーロ建て投資適格債市場の約3兆ユーロに匹敵します。3

さらに、グリーンボンド(調達資金の用途を環境に優しいプロジェクトに限定)市場の2024年のパフォーマンスは従来型債券市場を上回り、過去8年間のうち6年間でこの傾向が見られています。4

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欧州を超えて拡大

欧州は、サステナビリティへのコミットメントもあってグリーンボンドの発行で高いシェアを占めています。欧州委員会は新型コロナ禍後の経済復興基金「次世代EU」の最大30%をグリーンボンドで資金調達しており、世界最大のグリーンボンド発行体となる予定です。5

一方、ドイツの財政計画もグリーンボンド市場に恩恵をもたらす可能性があると見ています。この世界第3位の経済大国は最近、5,000億ユーロのインフラ・防衛支出政策案を承認しました。これには、炭素排出量の削減と持続可能なインフラの構築を目的とした気候・エネルギー移行プロジェクトに充当される1,000億ユーロが含まれています6 。この取り組みは、欧州のグリーンボンド市場の成長をさらに後押しすると見ています。

欧州以外に目を向けると、アジアや新興国のソブリン・グリーンボンドの発行もますます注目を集めています。中国政府の最近のこの分野への進出が、伝統的にユーロ建てとドル建ての発行が支配的だった市場において投資家に新たな投資機会を生み出しました。

米国では最近、環境・社会・ガバナンス問題に対する反発が起きています。特に米新政権からの反発を考えると、今年の米国でのグリーンボンド発行は減少すると予想されます。実際、ブルームバーグによると、米国では企業のグリーンボンドの発行ペースが過去10年間で最も遅くなっています。ただし、地方自治体のグリーンボンド発行は依然として歴史的にも高水準です7

透明性と信頼性の向上

グリーンボンド規制は、市場の進化と成長に伴って発展し続けています。2024年12月から適用されている新たな欧州グリーンボンド基準は、この資産クラスの発行体のベスト・プラクティス(業界標準)を定めています。

それによれば、発行体は、債券の純調達額の85%以上をEUタクソノミーで「グリーン」と定義される活動に割り当てる必要があります8 。このラベルを使用するか否かは任意ですが、発行体がこの基準を採用すれば、投資家により大きな透明性と確実性を与え、グリーンボンド市場の信頼性を高めることになると見ています。

国際決済銀行(BIS)の最近の研究9 は、企業のグリーンボンドの発行に関し、多くの場合発行体による炭素排出量の減少を伴うことを明らかにしました。また、より厳しい排出目標を掲げる国でグリーンボンド市場が最も拡大していることも示しました。これらの調査結果によれば、グローバル企業が環境パフォーマンスの向上に向けた高い目標とコミットメントを共有していることは明らかで、ネットゼロへの移行を支援する手段としてのグリーンボンドの信頼性をさらに高めているとしています。

広範な投資機会の可能性

グリーンボンドは成熟度を増し、地域、セクター、発行体の多様化が進んでいます。これには、ソブリン債や準ソブリン債のように流動性が高く、一般的にディフェンシブな市場部分のほか、投資適格社債のように利回りが相対的に高い傾向にあるが依然として相対的に良好と見られる市場部分、ハイイールド債やエマージング債のようにリスクは高いがリターンも高くなる可能性がある市場部分が含まれています。

「グリーニアム」(グリーンボンドが従来型債券に比べて歴史的に付けてきた割高な価格)はもはや見られません。市場の拡大と多様化に伴い需給の不均衡が解消し、資産クラスとしてのグリーンボンドは、投資家にプラスのインパクトを及ぼす機会を提供しつつも、同等の従来型債券に対して一般的に割高ではなくなりました。

債券市場の利回りは、2022年に根強いインフレ圧力を背景に急上昇し、その後、欧米の中央銀行がこの1年間で利下げしたにもかかわらず歴史的な高水準でとどまっています(下図参照)。このように、投資家はグリーンボンド投資戦略を通じて、債券のすべてのパフォーマンス要因を備えた良好な債券市場に投資する機会を獲得できると、アクサIMグループは考えています。

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出所:ブルームバーグ、2025年3月31日現在

その一方で、近年、特に貿易戦争や政策の不確実性、その他の地政学的懸念を背景とした現在の不確かな状況の下で、ボラティリティ(変動)は大幅に上昇しています。

この不確かな状況は、資産配分や地域配分、デュレーション管理の面で投資機会を捉えるために、投資家は機敏に動かなければならないと見ています。

先行きの不透明感がリスクを選好する意欲を圧迫している一方で、特に現在の信用スプレッド(発行体の信用格差による利回り格差)が歴史的にタイトな(縮小した)水準にあることから、今後スプレッドは拡大する可能性があると見ています。このため、投資家にとって分散型アプローチをとるメリットがあるとみられ、グリーンボンド市場の幅や範囲を踏まえれば、この資産クラスの戦略に資金を配分する検討を行う理由があると考えられます。

ネットゼロ移行の手段

グリーンボンド市場は過去10年間、力強い成長と高いパフォーマンスを見せており、将来を楽観視する理由はたくさんあると見ています。低炭素経済に移行するには膨大な投資を行う必要性があり、既にグリーンボンドはこの取り組みにおいて発行体を支援する効果的なツールとなっています。

グリーンボンド投資戦略は、重要なプラスのインパクトを及ぼす一方、上述した構造的なサポートとこの資産クラスの成長性、流動性、多様性を踏まえれば、柔軟な投資戦略と組み合わせれば、リターンの見通しを高める可能性があり、分散を効かせて投資することを通じて、投資の選択肢を広げながら債券市場に投資を行うことができる良好な手段であると考えています。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

オリジナル記事は5月6日に掲載されました。こちらをご覧ください。

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