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2023年はグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの年に

  • 2023年3月30日 (7 分で読めます)

キーポイント

  • ネットゼロへの移行は大規模な投資を必要とするため、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの投資家に新たなチャンスをもたらす

  • これらの債券は改善しつつある経済環境、魅力的なバリュエーション、膨らむ投資家の投資意欲から恩恵を受けると当社は考える

  • 常に債券を選別し、信頼度の高い発行体の有意義なプロジェクトに投資することが重要である

2022年は債券市場にとって厳しい年でしたが、サステナブルボンド(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの総称)も例外ではありませんでした。それでもこのアセットクラスについて、楽観を保つだけの理由があります。グリーンボンド市場は底堅さを示し、その魅力的な投資機会は、高い変動性にもかかわらず投資家の投資意欲をそそり続けました。2023年は債券市場の復興の年かもしれません。1 不確実性は未だに高い水準にありますが、総合インフレ率が勢いを弱めており、経済成長は予想よりも好調に推移し、中央銀行の引き締めサイクルが終わりに近づきつつある兆しが増大しています。こういった背景は、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド市場にとって特に好条件と考えられます。

サステナブル投資に関する規制が導入され監視の目が厳しくなるにつれて、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドは、その透明性からさらに恩恵を受けるでしょう。グリーンボンドを見ると、融資対象プロジェクトの炭素集約度が平均して、債券発行企業の半分以下であることが、当社の調査で明らかになりました。2 したがってグリーンボンドは、環境にポジティブな影響のあるプロジェクトに融資しつつ、投資家に流動性のある市場の提供も行う3 という第一の役割を果たしており、その潜在性は大きな取引量に達するまでに成長しています。

当社では、2023年にグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドを楽観視できる3つの理由を特定しました。

非常にダイナミックな市場

グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドは変動する2022年の経済状況の中で6,060億ドル(約79兆円)の新規発行額を記録しました4 が、これは主としてグリーンボンドによるもので、その発行額はほぼ4,000億ドルに上ります。グリーンボンド市場は2022年、発行額の面で2021年の記録に引けを取らない勢いで推移し、新たに115の発行体が参入しました。

不動産、自動車、消費財、通信などセクターの分散が進んだこともあり、3年連続で社債がグリーンボンド発行総額の50%を超えました。他方、ソブリン債の発行も拡大し、オーストリアやカナダといった国が初のグリーンボンドを発行しました。

これは、ネットゼロへの移行にあたって融資ニーズを支援する際のグリーンボンドの信頼性だけでなく、あらゆるセクターが徐々に移行に投資しつつあることも反映しています。将来的には、セクターの分散と共に地域の分散も拡大すると考えられます。特に、米国のインフレ抑制法を背景として米国での社債発行額が増えるという予想されます。一方で、新興国への著しい投資なしでは世界的な移行が達成できないことから、新興国での発行額が上昇を続けると考えられます。

ソーシャルボンドおよびサステナビリティボンド市場の進展は、やや微妙でした。それでも、最初のソーシャルボンド発行体が不動産会社であったことは強調する価値があります。同セクターにおけるソーシャルボンド発行を促す下地作りになる可能性があるからです。他方、サステナビリティボンドの進展を分析してみると、グリーンボンドやソーシャルボンドが未だにユーロ建て発行が大半を占めているのに対し、米ドル建て発行が大きく伸びていることに注目すべきでしょう。これらの動向は、セクターおよび地理的観点の双方から、幅広く分散された潜在的な投資機会をもたらし続けています。

魅力的なバリュエーション

2022年の終盤に訪れた利回り水準の反発により、バリュエーションがますます魅力的になっています。市場環境は短期的には依然として不透明です。中央銀行は総合インフレ率およびコアインフレ率の双方を下げる目的で、引き締めサイクルを続行しており、債券供給の見通しは1~3月期にかけて重苦しい状態です。しかし長期の展望は債券市場にとってますます魅力を増しているとみられ、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドのユニバースは、その信用リスクと金利感応度ゆえ、特に恩恵を受けると考えられます。

まさに、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドが、従来型債券に比べて2022年にパフォーマンス不振であった理由のうちいくつかが、2023年には逆転すると当社では見ています。このユニバースの利回りは現在、従来型債券に比べて魅力的な上昇を示しており、利回り低下やクレジットスプレッドの縮小から恩恵を受けるのに好位置にあります。

膨らむ投資家の投資意欲

サステナブル戦略はここ数年間、膨らむ投資家の投資意欲から恩恵を受けてきました。規制が高まるにつれ、これら戦略の信頼性を継続して証明できるかが非常に重要です。グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドは、融資対象プロジェクトの透明性および測定可能性を組み合わせた、非常に適切なツールを提供します。これはアセットクラスにとって特に有益であり、新たな投資家と新たな発行体の双方を惹きつける可能性があると当社は考えます。

ネットゼロへの移行は、今後何年にもわたって大規模な投資を必要とします。たとえば最近の調査 5 では、2050年のネットゼロ目標達成にはエネルギーおよび土地利用のための物的資産に対してさらに年間3.5兆ドルの資本支出が必要なことが判明しています。欧州連合(EU)のRePowerEU(EUにおけるエネルギー移行を加速する計画) や米国のインフレ抑制法(気候変動関連投資を促進)などのイニシアチブは、これらの投資を後押しすると見られ、アセットクラスに有益となると考えられます。

社会面では、ストライキや生活費関連の問題により、人々の間の不平等が広がっています。これに加え、気候変動による災害およびネットゼロへの移行の双方に対する費用の担い手として最前線に来るのが、先進国および途上国の低所得層です。このことを考慮すれば、2023年には社会面への注目が高まり、ソーシャルボンド発行が加速する可能性があります。

市場展望がポジティブだとしても、投資家はサステナブルボンド投資において慎重な姿勢を保つべきです。重要なのは、アセットマネージャーが堅牢な分析を通して、信頼度の高い発行体の有意義なプロジェクトに投資する能力です。アセットマネージャーの能力がカギとなるため、当社ではこの市場で極めて選別的スタンスを取れるよう、強力なフレームワークを開発しました。

さらに当社では、今後予定されているグリーンボンドおよびソーシャルボンドのタクソノミー(分類法)に関連する規制、EUのサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)および地域での同様の規制の進展を密接にフォローし、議論に参加していきます。私たちの誰もが適応する必要があることは明らかであり、グリーンで公正な移行への貢献という目標を妨げることはないはずです。

(オリジナル記事は3月16日に掲載されました。こちらからご覧ください。)

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