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Investment Institute
マーケット見通し

政治と投資:大統領選挙の不確実性にもかかわらず、投資家が米国を避けない理由、避けるべきでないと考える理由

主なポイント
米国の市場と経済は、投資家の予想を上回るパフォーマンスを続けています
米国には、多様な事業分野で世界をリードする革新的な企業がいくつもあります
11月の大統領選挙の結果にかかわらず、米国には魅力的な長期的投資の機会が数多くあると見ています

米国は市場、経済、企業のどれをとっても他国と比べて大規模です。さらに、米国は投資家の予想を超えたパフォーマンスを続けています。市場では多くの人が2023年に米国は景気後退に陥ると予想しましたが、そうなりませんでした。むしろ、米財務省によると、「生産の伸び、底堅い労働市場、インフレの鈍化」1 により、過去12か月間の経済成長率は過去の平均を上回っています。

予想以上に堅調な環境の下で、2023年の株式市場は、よく知られるようになった生成AI(人工知能)の台頭によって好リターンを達成し、年初来では、S&P500指数が26%上昇、ダウ工業株30種平均指数が17%上昇、ハイテク株中心のナスダック総合指数が45%の大幅上昇となりました。この勢いは2024年に入っても続き、これらの指数はいずれも過去最高値を更新しました。2

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経済大国

選挙前、及び、おそらく選挙後も、市場がある程度動揺する可能性があります。しかし、大統領選が世界的に重要な意味を持つとしても、米国は投資家が無視できないほど巨大であると長い間考えられてきました。その理由はわかりやすいものと思います。つまり、米国は、2位以下をかなり引き離した世界第1位の経済大国であり(19世紀終盤から一貫してこの地位を保っています)、その結果として最も強力な、したがって最も影響力のある国だからです。3

米国で生産される財とサービスを合わせた国内総生産、すなわちGDPは28兆米ドル近くに上ります。これを他と比べるならば、世界第2位の経済大国である中国のGDPは18.6兆ドルであり、米国の3分の2程度です。4

加えて、米ドルは世界で最も使用されている通貨であるため、中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)による米金融政策の変更は世界の金融情勢に大きな影響を与える可能性があります。

さらに米国は、特定の専門性の高いサービス(例えば、経理やコンサルティング、法務など)や製造業、農業からヘルスケア、不動産、金融サービス、そしてもちろんテクノロジー(最近の株式市場におけるリターンの主な原動力)に至るまで多様な事業分野で世界をリードしている企業の本拠地でもあります。 

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市場の原動力とバリュエーション

市場シェアで見ると、米国は世界の株式市場の約60%を占め、5 , その時価総額は50兆8,000億ドルです。6  アルファベット(グーグル)、アマゾン、アップル、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)、マイクロソフト、エヌビディア(すべて時価総額が1兆ドル以上)など世界の巨大テック企業の多くを含む世界の時価総額上位10社の大半が米国に本拠を構えています。また、ウォーレン・バフェット氏の投資グループであるバークシャー・ハサウェイと製薬会社のイーライリリーも世界トップ10に入っています。7

世界の債券市場の規模も米国が約51兆3,000億ドルと他市場を凌ぐシェアを占めており、世界第2位の債券市場は中国ですが、規模は米国の半分以下の20兆9,000億ドルです。8  また、米国の債券市場と株式市場がともに好調であるため、バリュエーションは上昇を続けています。米国の株価収益率(企業の1株当たり利益に対する株価)は2年ぶりの高水準で推移しています。9

株式投資戦略にせよ債券投資戦略にせよ、割安と見られる銘柄はあまり多くありません。これは、現在のバリュエーションには考慮すべきリスクがあることを意味します。しかし、当社グループの見るところ、米国市場の好パフォーマンスは好調な経済、健全なバランスシート、企業の収益力を原動力としています。米国のGDP成長率が事前の市場予想を上回っているため、2024年も企業業績は向上すると見ています。さらに、政策金利は今後どこかの時点で下がると見ています。それがインフレ率の低下によるものであれば、政策金利の低下は株式や債券にとってプラスに働く可能性があります。当面は、市場が反落しても「押し目買い」が入る可能性が高いと見ています。

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結論

もちろん、どの市場もそうですが、米国市場は直線的に動くわけではなく、上にも下にも変動する可能性があり、変動をしながら動くと考えています。利下げが行われ、また、世界経済がインフレとバランスをうまくとりながら成長することは市場にとってプラスに働くと思いますが、その他、株式市場のパフォーマンスの長期的な原動力は引き続き、自動化やデジタル化、グリーン・トランジション(移行)であると見ています。もっとも、情報技術セクターだけでなく資本財・サービスと金融の各セクターも、今年はこれまでのところ堅調なリターンを上げています。10

確かに、最近の堅調なパフォーマンスが今後も途切れることなく続くことは、必ずしも確かなことではないと思います。最近の上昇相場が主として情報技術セクターによるものだっただけに、米国の株式市場が調整局面入ったとしても決して不思議なことではないと思われます。しかし、長期的に見て、セクターの多様性や提供されるイノベーションの厚さを考慮するならば、米国市場は無視できないと考えます。11月に迫った選挙でも米国の長期的な魅力を曇らせることはないと見ています。FRBのジェローム・パウエル議長でさえ、11月の連邦公開市場委員会(FOMC)は選挙の翌日に開催されるが、選挙は金利の決定に影響しないと断言しています。11

11月に誰が勝つかによって政策の結果が違ってくる可能性を軽視するわけではありません。このテーマについては、今年中にまた論じる予定です。しかし、米国企業は比較的強靭で好調を保っており、米国経済は相対的に力強い状態で選挙期間を迎えると見ています。これが不確実な政治の季節を通じて投資家のリターンを支えるのではないかと、考えています。

11月に誰が勝つかによって政策の結果が違ってくる可能性を軽視するわけではありません。このテーマについては、今年中にまた論じる予定です。しかし、米国企業は比較的強靭で好調を保っており、米国経済は相対的に力強い状態で選挙期間を迎えると見ています。これが不確実な政治の季節を通じて投資家のリターンを支えるのではないかと、考えています。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。

(オリジナル記事は4月22日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

 

本資料で使用している指数について

ダウ・ジョーンズ工業株価平均指数:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する米国の優良企業30社の値動きの平均を示す株価平均型株価指数です。

S&P500指数:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する米国の500社の値動きの平均を示す時価総額加重平均型株価指数です。

ナスダック総合指数:米国NASDAQに上場している全銘柄の値動きの平均を示す時価総額加重平均型株価指数です。

※本資料中の指数等の著作権、知的財産権、その他一切の権利はその発行者に帰属します。

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