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テクノロジー

技術変革が形成するアジアの未来

  • 2023年7月18日 (7 分で読めます)

キーポイント

  • 技術変革(テクノロジー・トランスフォーメーション)が東南アジア全域の産業に影響を与えており、投資家にとって潜在的な投資機会を生んでいる

  • データ、コネクティビティ(接続性)、ロボットが製造業の成長を促しており、フィンテックおよびデジタル医療も躍進している

  • 長期的な人口動態の変化に支えられたEコマースは、アジアでパンデミックにより加速した

人工知能(AI)における最新の躍進から、仮想体験に革命を起こしメタバースの主流となる可能性を一部で呼び起こしている アップル のヘッドセットまで、先端技術をめぐる過熱気味の報道は頂点に達しています。これらを将来と結び付けることは興味を湧き立てますが、一方で、技術変革はすでに多くの「実際の」産業の操業に影響を及ぼしており、その過程で投資機会を生んでいることに注目すべきです。

アジアの技術インフラおよび自動化は、欧米に比べて歴史的に開発が遅れていましたが、高速インターネット接続やさらに豊かになり都市に集中する人口動態などの様々な要因が、アジアで技術と自動化をより速いペースで採用させる推進力となっています。

製造業におけるデジタル化の次の局面

インダストリー4.0テクノロジー(第4次産業革命または4IRとも呼ばれる)は、製造業のデジタル化における次の局面です。それは、データおよびコネクティビティの台頭、アナリティクス、人間と機械の相互作用、ロボットの改善など、破壊的なトレンドにより推し進められています。中国は製造業における効率性と生産性を図り、ロボット・自動化技術に大規模投資を行っています1 。日本ではファナックなどの企業が、人間と共業できる産業用ロボットの開発において業界をリードしています2  。

新型コロナウイルスは、物理的距離の確保と消費者需要の変化により、企業がデジタル化や非接触型業務の採用を余儀なくされたことから、4IRへの移行を加速させました。スマート技術は今後も、アジア製造業にあるポテンシャルを解き放つでしょう。特に新興の東南アジア製造業圏(マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム)は市場シェアの拡大を続けており、世界の製造業生産高の7%を占めるに至っています。世界銀行のデータによれば、3%を占めるインドもシェア拡大を続けていますが、30%の中国と16%の米国が依然として最大のシェアを占めています3

フィンテックおよびデジタル医療の躍進

アジア全体での社会経済的な変化やコネクティビティの向上により、フィンテックやデジタル医療システムに有望な機会が生まれています。アジアの大人一人当たり商業銀行支店数は米国の半数未満であり、大人一人当たりのクレジットカード数はほぼ10分の1です4

従来の物理的な銀行支店やクレジットカードなどの銀行サービスへのアクセスが限定された、アジアの非銀行利用層は、支払いや資産管理のソリューションを直接フィンテックに求めました。これがデジタル/モバイルウォレット取引を含むモバイル決済の成長を促すことになり、今やモバイル決済はEコマースと物理的店舗の双方で、欧米市場よりも大きなシェアを占めています。

アジアではまた、人口の高齢化、健康意識に対する注目度の上昇、医療リソースの不均等な配分が推進要因となり、デジタル医療エコシステム開発の最前線に浮上しつつあります。アジアにおける一人当たりの医者数および病床数は、世界平均よりも約39%、40%低くなっています5 。対人医療の実現能力が限られているアジアでは、遠隔医療やデジタル医療サービスが急速に普及しました。デジタル医療は、新興の医療プラットフォーム全体に登録されたユーザー数で言えば、アジアで約15億人に及んでおり、そのベースは拡大を続けています6 。 アジアにおけるデジタル医療の収入は2022年に合計738億ドル(約10兆3,000億円)に上り、世界合計の50%強を占める上、2022~2027年の複合年間成長率は14%の勢いで推移する(世界全体では12%)と予想されています7

人口動態の変容がデジタル経済を推進

富が継続して増大すると、商品やサービスへの需要が上昇します。この人口動態の変容はまた、Eコマースおよび広範なデジタル経済を中心として、アクティブな投資環境を生みました。アジアの強力なデジタル化はスマートフォンの利用率の高さとソーシャルメディアの浸透度ですでに顕著で、Eコマースもすでに健在でしたが、このセクターは新型コロナウイルス・パンデミック中に急成長し、全く異なるペースで加速しました。人々が安全に自宅にいる間にEコマースは奔放に成長し、中国と米国が世界の市場シェアの67%をほぼ折半する形で席巻し、中国を除くアジアはおよそ13%を占めています8

特に東南アジアではEコマースの普及率が18%と、中国の31%、韓国の36%、米国の23%と比べて相対的に低いことから、依然として成長が最も速い地域となっています。アジアの普及率は2027年までに23%に上昇すると見られています9 。フィリピンとマレーシアがEコマースで世界最大の成長を遂げており、毎年各々約25%と23%のペースで拡大しています10  。

この著しい成長は既存のインフラを圧迫し、革新的なソリューションに対してさらに大きな需要を生み続けることで、物流のバリューチェーン全体からデジタル決済サービスおよび製造まで、デジタル・エコシステムの至る所で投資機会の波を見出せるでしょう。

アジアの発展途上のデジタルインフラおよび関連したスキルベースにまつわる課題はありますが、ポテンシャルは明白であると当社は考えています。

(オリジナル記事は7月4日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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