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COP27:エネルギー危機の中で開催される気候変動会議へのささやかな期待

  • 2022年10月28日 (5 分で読めます)

  • エジプトで開催されるCOP27では、さらに大規模かつ迅速で一段と協調的な気候変動対策と、温暖化を+1.5℃に抑制するための新たな緊急措置を促進する必要がある。

  • 経済状況により、先進国から新興国への資金供与を推進する取り組みが後退する可能性がある。

  • 困難な進展とIPCCの警告を反映し、ミティゲーション(温室効果ガス排出量を削減し、気温上昇効果レベルを安定させること)への取り組みに加えて、アダプテーション(進行中の気候変動に適応すること)への取り組みも注目される。

第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)は、非常に困難な状況下で開催されることになりました。COP27 は 11 月 6 日に開幕しますが、現在、エネルギー安全保障とエネルギー価格を巡る問題が、炭素排出削減の推進と 衝突しています。このため、COP27で予想される成果が小さくなるかもしれませんが、投資家は、世界のネットゼロへの道筋に興味深い調整が見られる可能性があります。

エジプトのシャルムエルシェイクで開催されるCOP27での議論は、ウクライナ戦争の波紋に終始するものではありません。英グラスゴーで開催されたCOP26の論争の的となった結論の影響は、依然として長引いています。そして、最近の深刻な気象現象や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今年発表した2つの報告書の厳しい警告にも直面しています。1

全般的には、当社は、COP27がコミットメントの限定的な変更の場になると予想しています。世界的な協力姿勢は、わずか1年前と比べてより困難になっているようです。重要なことは、世界経済の脆弱性が、途上国での気候変動対策を推進するための富裕国から新興国への大規模な資金移転に向けた前進を妨げる可能性があることです。

目標の進捗状況は

確実に対処しなければならない要素としては、各目標に関する立場の不一致や緊張関係です。地球温暖化に関するパリ協定目標2 、国別貢献(NDC)のコミットメント(+2.5℃以上)に基づく現在の道筋3 、および様々なNGOやアクサIMがメンバーであるネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアチブ(NZAMI)などのイニシアチブが推進する+1.5℃のみの立場などです。要するに、何かが必要なのです。

メディアでは、「1.5℃目標を維持すべき」とよく言われます。これは、私たちが世界的に十分な行動を取っていないこと、つまり気候変動対策の加速の必要性を認めるものであり、時間不足を指摘しているIPCCの警告を反映したものです。したがって、COP27の参加者は、より厳しい排出削減目標を求める声に直面し、また、人間的および社会的課題に対する意識の高まりと、持続的な財政的および技術的ハードルを考慮する必要があります。

このような動きの中で、排出量目標の更新に関する新たなコミットメントを目にすることになるかもしれません。オーストラリア4 やアラブ首長国連邦5 のように、すでにこれを公表している国もありますが、グラスゴーでのインドのように、ポジティブであれネガティブであれ、驚くべき発表がなされる可能性があります。

また、コミットメントと行動の間にある現在の不一致についても、何らかのコメントがなされるはずです。結局のところ、世界の排出量は増え続け、2021年には石炭消費量が過去最高となりました。NDCに見られる2030年目標および2050年ネットゼロのコミットメントに向けた脱炭素化の中間目標を設定するよう圧力がかかるでしょう。これは、当社のエンゲージメント活動において企業に推奨している行動を反映しており、歓迎します。

新たな課題

既に述べたように、当社は、先進国から新興国への資金供与の欠如が、特にCOP27がアフリカで開催されることから広範囲にわたる問題点になると考えています。2009年にコペンハーゲンで開催されたCOP15では、最富裕国は2020年までに最貧困国に年間1,000億ドル資金供与を約束しましたが、これは実現していません。推計によれば、2020年において約200億ドル不足しており、さらにOxfamなどのNGOは、(援助ではなく)融資が資金供与の大きな部分を占めていることを批判しています。6 新興国は、我々が気候変動問題を引き起こしたのではなく、そして気候変動から最も苦しんでいるという非常に正当な主張をしています。IPCCの最新報告書によれば、気候変動はさらに悪化しつつあり、貧しい国々がその犠牲となることが明らかです。

このような気候変動の影響拡大を念頭に置けば、(依然として重要なミティゲーションおよび予防に加えて)気候変動へのアダプテーションが参加者の間でより緊急性の高いテーマとなる可能性があります。7 例えば、温暖化が進んでも住み続けられるように都市を変えるなど、すでに動き出している影響から人々を守ることが重要になります。

当社は、COP27が、ESG(環境、社会、ガバナンス)のSに関する社会的影響を慎重に検討する機会になると考えています。究極の目標は、気候危機の最前線にいるコミュニティや個人、そして新しいエネルギー時代へ移行する際にマイナスの影響を受ける可能性のある世界中の人々に十分配慮した、真に「公正な移行」を実現することでしょう。

COP27は、会議を取り巻く厄介な状況から完全に逃れることはできませんが、ほとんどすべてのCOP会議が示しているように、地球規模の気候目標に向け段階的に前進する機会があります。

また、ウクライナ戦争とエネルギー危機は、混乱をもたらすだけでなく、動機づけにもなるという議論もあります。国際エネルギー機関(IEA)は、発表したばかりの「世界エネルギー展望2022」において、「よりクリーンで、より安価で、より安全なエネルギーシステムに向けた歴史的かつ決定的な転換点」について言及しています。9 エネルギー安全保障と低コスト電力が政治的な要請となっている現在、長期的には、こういった課題が地球規模の気候変動目標に向けた前進とうまく連動する可能性があるでしょう。

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