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環境

「アースオーバーシュートデー」で資源のギャップを考える:投資家の役割が重要に

  • 2023年6月12日 (7 分で読めます)

キーポイント

  • 研究によれば、今年のアースオーバーシュートデー(地球環境が生み出す1年分の天然資源を、人類が使い切ってしまう日)は8月2日。前年(7月28日)よりは後退しているものの、依然として資源を大幅に使い切ってしまう状況には変わりない

  • しかし私たちは投資家として、より持続可能な未来に移行し、その日をなるべく遅らせるよう、役割を担うことができる

  • サーキュラーエコノミー(循環経済。製品などをなるべく長く使い、廃棄物の発生を最小限化する経済システム)ソリューションは、私たちが地球の資源を使う方法にまつわる問題の一部に対処するだけでなく、炭素排出量削減や生物多様性の保護などにも役立つ

地球の天然資源が再生できる速度を超えて人類がそれを使い果たしていることは、広く立証された事実です。その速度は正確に計算できます。地球の資源に対する私たちの需要が、各年にその12カ月間で再生できる資源の量を超える日、それがアースオーバーシュートデーです。

最新の「国別フットプリント・バイオキャパシティ勘定」によると、今年のアースオーバーシュートデーは8月2日になります。1 昨年は7月28日、2021年は6月30日だったのと比べると、アースオーバーシュートデーが後退しているのは励みになるニュースであり、私たちが地球の資源を使用する方法において進歩があったことを意味します。2 この日は近年、状況の悪化によりじりじりと前進していました。2020年は例外で、新型コロナウイルスによるロックダウンがアースオーバーシュートデーを8月22日までひと月近く後退させました。

ただし、今年のアースオーバーシュートデーが2022年に比べて5日後退したとはいっても、研究機関「グローバル・フットプリント・ネットワーク」によれば、進歩は実際には1日分であり、残りの4日分は新たなデータセットが計算に組み込まれたことに起因します。

各国にそれぞれのオーバーシュートデーがあり、生活水準が高い先進国は、世界的分布において全般的に早い日付に集中しており、途上国は反対側にあります。米国は今年は3月13日に達しました。もし世界中の人口が米国と同じ速度で資源を消費していたなら、この日に資源が枯渇していることを意味します。ドイツ、フランス、日本、英国などは5月中にこの日に達し、カタールは最も早く2月10日でした。逆にジャマイカは12月20日まで達しません。3

このことは、私たちが天然資源を使用している方法が持続不可能であり、政府、企業、投資家は対策を取る必要があることを浮き彫りにしています。

投資家はどのような形でこの日の移動に貢献できるか

グローバル・フットプリント・ネットワークは、生物多様性の保護、エネルギー部門の脱炭素化、食品廃棄物の削減と並行した効率的な食品生産など、天然資源の使用削減に最も適切と考える様々な分野を特定しています。これらはすべて責任投資にとって極めて重要であり、投資家が長期的な運用リターンを目指しながらも、「違い」を生むことができると当社が考える分野です。

世界のGDPの半分以上が高度に機能する生物多様性に依存しており、生態系の劣化は毎年、世界経済に5兆ドル(約695兆円)を超えるコストを生んでいます。野生の授粉、木材の供給、魚類の供給という3つの自然サービスが崩壊しただけで、2030年までに世界GDPの2.3%のコストがかかる可能性があります。4

水処理、精密農業(増える人口を養うためにより収穫率の高い作物を生産するだけでなく、有害な肥料や農薬を削減する)、製紙・包装業界の企業による持続可能な森林管理など、私たちが投資家として生物多様性の保護を支援する方法は多数あります。

化石燃料から再生可能エネルギーに向けたエネルギー移行は、炭素排出量の削減および地球の天然資源の使用削減に向けても極めて重要な一歩です。

そして化石燃料への依存を削減する国がますます増えていることから、再生可能エネルギー企業からセクター向けにテクノロジーやサービスを供給する企業まで、投資のチャンスは無数にあります。

より循環的なアプローチ

それでも、地球の資源の過剰利用の一因は、世界経済が基盤としている「投入・生産・廃棄」アプローチにもあります。その代わりに素材や製品の循環を保ち、廃棄物を排除し、自然を再生させるために、サーキュラーエコノミー(循環経済)モデルの基本概念である「修理・再利用・リサイクル」をより重視すべきです。

「サークルエコノミー」シンクタンクとコンサルティング企業デロイトによる2023年「サーキュラリティ・ギャップ報告書」では、サーキュラーエコノミーモデルへの移行により、人類が現在地球で採取・使用している原材料の70%を使用しただけで社会の需要が満たせること、つまり地球の限界を超えることがないことを示唆しています。しかしながら完璧なサーキュラーエコノミーは遥か彼方であり、報告書は世界経済の循環度を現在わずか7.2%と推算しています。5

それでも、サーキュラーエコノミー推進の機運があります。欧州委員会は2020年にサーキュラーエコノミー行動計画を採択しました。製品をより長持ちさせ、より容易にリサイクルできるよう設計し、製造工程でできる限りリサイクル素材を使用するための措置を含みます。6 2023年3月には、製品を交換するよりも修理する方が容易でコスト効率が良くなる「修理する権利」指令を提案しています。7

循環ソリューションは、私たちが地球の資源を使う方法にまつわる問題の一部に対処できるだけでなく、炭素排出量の削減や生物多様性の保護その他にも役立ちます。8

投資家、そして地球への恩恵

当社は資産運用会社として大規模に投資し、生物多様性、エネルギー移行、食品と農業、サーキュラーエコノミーといった分野の企業と関与しています。さらに、国債発行にかかわることで、政府と関与することもできます。

当社は、移行の最先端にある企業が大きな成長を遂げる可能性があると考えており、一方、遅れを取った企業は自社製品やサービスへの需要が減り資本コストが上昇する確率が高く、税金や関税の増加を含む規制・政策上の変更に巻き込まれる可能性もあると見ています。

このように、企業そして投資家は、気候変動との闘いおよび地球の天然資源の枯渇の軽減に貢献しつつ、リターンを得られると当社は考えています。

(オリジナル記事は6月5日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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