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クリーンテック戦略月次レター:再生可能原料を基にしたバイオ素材の利用拡大に注目

  • 2023年1月13日 (5 分で読めます)

クリーンテック戦略月次レター(2022年12月の振り返り)

再生可能原料を基にしたバイオ素材の利用拡大に注目

COP15、森林や農水産物の持続可能な利用を促す

グローバル株式市場は、10~11月にかけて大きく上昇した後、12月は市場参加者の関心が2023年に世界経済が景気後退入りする可能性とそれが企業業績に与える影響にシフトしたことから下落に転じました。地域別では、ゼロコロナ政策の緩和に踏み切った中国でセンチメントが改善し上昇した一方、その他の多くの地域は下落となりました。セクター別では公益セクターが相対的に堅調だった一方、多くのセクターが下落し、中でも情報技術および一般消費財セクターが下落を主導した結果、これらのセクターに多いグロース関連銘柄がバリュー関連銘柄を下回るパフォーマンスとなりました

当月のクリーンテック戦略は、電気自動車(EV)需要の減速懸念がEVのバリューチェーン全体にのしかかり「低炭素輸送」関連銘柄に影響を与えたため、世界株式(MSCI ACWI、米ドルベース)のパフォーマンスを下回りました。「持続可能な食糧供給」と「スマートエネルギー」がやや改善したものの、「廃棄物処理・資源有効利用」もパフォーマンスの足を引っ張りました。

「持続可能な食糧供給」関連分野では、再生可能な原料から製造される高機能バイオ素材メーカーであるコルビオンの株価が上昇しプラス寄与となりました。同社製品は、製パンや肉類の食品保存・天然香料から医薬品・医療機器、包装や自動車向けなどのバイオプラスチック製造まで幅広い分野で用いられています。同社は最近の投資家向け説明会で2025年の成長目標を上方修正し、また医療用バイオポリマーや藻類事業の拡大により収益力強化を図る方針を示しました。

「持続可能な食糧供給」関連分野において、再生可能原料を基にした高機能バイオ素材に市場の注目が集まっており、今後も成長が予想されています。

COP15、世界の陸地と海の30%の保護・回復で合意

なお、12月にカナダのモントリオールで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年までに世界の陸地と海の少なくとも30%の保護と回復に取り込むことで合意しました。また、2030年までのその他の世界目標として、食料廃棄を半減し過剰消費の削減などが盛り込まれました。森林や農水産物といった生物資源を持続可能な形でかつ効率的に利用していくことが世界的に求められます。こういった流れは、長期的には当戦略で注目している「持続可能な食糧供給」や「廃棄物処理・資源有効活用」への追い風になるとみられます。

COP15で注目された生物多様性と森林破壊に関する目標設定は、依然として困難な課題ですが、経済的に適応可能なツールやアプローチが台頭しています。詳しくは当社の分析記事「COP15:生物多様性と森林破壊に関する目標設定の通説を覆す」をご覧ください。

欧州の温暖な冬にもかかわらず、エネルギー不足の懸念残る

ロシアからの天然ガス供給減が引き続き天然ガス価格に重くのしかかっているものの、液化天然ガスの購入と産業向けの需要低下に加え、予想されたよりも温暖な冬の気候の影響もあって天然ガス貯蔵率は改善し、その結果、過去数ヵ月にわたって天然ガス価格は低下しました。こうした状況にもかかわらず、ウクライナ紛争に解決が見られなければエネルギー不足が長期化するとのおそれは依然として残っています。エネルギー価格高騰に対処すべく、欧州の複数の国において、エネルギー企業などに対する超過利潤税や特別支援策などを通じて消費者を守る措置が講じられました。こうした全般的なマクロ経済に対する懸念はあるものの、エネルギー移行に向けた勢いは各国で継続しており、スマートエネルギー分野の投資が拡大しています。

ポートフォリオの動向

低炭素輸送関連分野では、電気自動車(EV)メーカー大手のテスラがマイナス寄与となりました。同社はサプライチェーンや物流の混乱に引き続き苦戦しており、最近では景気の悪化に伴うEVの需要減速に対する懸念も加わって株価が低迷しています。しかしながら、同社は他社とは差別化されたビジネスモデル、強力な製品ラインアップ、他社をリードする先端技術などを強みとして将来的に増加するEV需要を取り込む上で優位な立場にあることに変わりありません。その他、EVバリューチェーンの川上に位置するリチウムメーカーのアルベマール、バッテリーリサイクル企業Li-Cycleなどもパフォーマンスにマイナス寄与となりました。

廃棄物処理・資源有効利用関連分野では、米環境保護庁が提案した再生可能燃料混合基準量(製油業者に対してバイオ燃料のガソリンやディーゼル燃料への混合を一定量義務付ける基準)が事前に予想されたよりも低かったため、バイオ燃料製造業者のダーリン・イングレディエンツの株価が下落しました。同社は食肉加工副産物や使用済み食用油を回収し、持続可能な原料として幅広く再利用しています。また事業拡大中の再生可能ディーゼル燃料部門からの高水準のフリーキャッシュフローは中核事業への更なる投資を可能としています。

スマートエネルギー分野では、風力発電機器メーカーのヴェスタス・ウィンド・システムズが堅調なパフォーマンスを続けました。同業界は過去において弱い価格支配力や経営不振などに悩まされてきましたが、それらの問題から脱却しつつあることが示されました。風力発電の需要が改善している一方、平均販売価格は原材料コストを上回るペースで上昇しており、2023年の見通しが改善しています。

クリーンテック戦略月次レター:再生可能原料を基にしたバイオ素材の利用拡大に注目
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