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米国ハイイールド債市場アップデート

  • 2023年3月10日 (5 分で読めます)

米国ハイイールド債市場アップデート1

  • 2月はすべての資産クラスでリプライシング(価格水準の調整)があり、ハイイールド債はアウトパフォームした。

  • ハイイールド債の2月の資金フローは94億ドルの純流出で、そのうち約60億ドルは2月の最後の2週間に発生したものだった。このフローの大半はETFとパッシブ運用戦略によるものだった。 ETFは時として大きな取引量を牽引するものの、運用資産(AUM)全体に占める割合は小さく、マーケットメイクへの影響も小さいため、流通市場取引の流動性への影響はごくわずかだった。

  • ハイイールド債の全体的な取引量は前年同期比でわずかに増加しており、主に新規発行とETFのリバランスを中心とした取引が展開されている。割安と判断された場合には、伝統的なハイイールド債券投資家の間で大きな買い需要が発生することが続いている。

  • プライマリー市場では、年初来では額面約340億ドルが発行され、発行体は市場の強い地合いを活用し、リファイナンスニーズを満たしている。 また、M&A 融資や、以前は銀行のバランスシートに組み込まれていた債務の売却に関するシンジケーションが奏功している。 新規発行が限定的であることが、ハイイールド債にとって強い追い風となっている。

  • ハイイールド債は、クオリティの低いクレジットが大きく買われたため、2022年に顕著だったディコンプレッショントレード(利回りの高い、つまり格付けが低い債券ほどパフォーマンスが低迷する状況)の逆転に直面した。明確な短期的デフォルトリスクのないCCC格クレジットに対する需要は旺盛である。 

  • ハイイールド債発行体の業績は市場予想並みで推移しており、クレジット関連の大きな動きは、外生的なマクロ環境の変化に対する発行体特有のリスクによるものだった。

  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)会合とそれに伴う金利決定発表は、インフレ動向や雇用統計に関連する経済指標と同様に、クレジット市場にとって引き続き重要な焦点となっている。

以下は、投資家が考慮すべき3つの主要な注目点です。

1) 利回り向上と為替ヘッジコスト低減によるエントリーポイントの改善

2月に米国ハイイールド債を含むいくつかの市場が弱含みとなったため、投資家にとってハイイールド債資産クラスのエクスポージャーを増やす機会を提供しました。米国ハイイールド債市場の最低利回りは8.65%となり、1月中旬につけた直近の水準(7.98%)を上回る水準で2月を終えました。 最近の利回り上昇は、米国経済の健全性、インフレ期待、FRBの政策予想を投資家が再考した結果、リスクフリーレートが上昇したことが主因です。 スプレッドは400bps台前半でとどまっており、これは米国経済の見通し改善が一因と考えられます。

米国ハイイールド債市場の最低利回りは、2022年10月の高水準の9.61%にまでは戻っていませんが、一部の投資家にとっては、ヘッジコストを考慮すると、現在の方がリターン見通しが良好になっています。 例えば、欧州投資家のヘッジコストは過去3カ月間で100bps以上低下しています。 利回りは将来の期待リターンの一要素に過ぎないため、投資家は相対的な投資配分を決定する際には、期待リターンを全般的に考慮する必要があります。現在の米国ハイイールド債の最低利回りと年率換算ヘッジコストを考慮すると、欧州投資家のリターン見通しが改善しており、米国外投資家に対する米国ハイイールド債市場のレラティブバリューが向上しているとみられます。  

2)低格付け証券に対するセンチメントの変化 

2022年10~12月期と比較した場合、2023年のセンチメントに顕著な変化が生じています。 複数の市場参加者が、ハイイールド債市場の中で高利回りかつ低格付けセグメントの魅力的なレラティブバリューを強調し始めましたが、注意すべきでしょう。これは、2022年に作成された多くの2023年見通しでは、高い信用格付けのクレジットがアウトパフォームするとされていたのとは異なるものです。 市場では「ベア・コンプレッション(2月のように、CCC格クレジットがアウトパフォームする一方で、金利水準変化により市場は下落)」と呼んでおり、「パフォーミングCCC」、「CCC(除くディストレスト債)」、「ハイクオリティCCC」などの名称で呼ばれる市場の一角の魅力がよく取り上げられます。当社では、「ハイクオリティCCC」とは、事業上では堅調な業績を上げているが、格付け会社から見た場合にレバレッジが高い可能性がある企業と定義しています。当社は、CCC格証券への選別的かつ集中的なアプローチにより、大きな信用リスクを排除しつつ、利回りの優位性を享受できると考えています。

3) インフレと経済全般の見通しが市場の主要材料であることに変わりはないが、業界特有の業績不振を注視すべき

2022年同様、今後12カ月間は穏やかな景気後退を想定して投資判断を行っていきます。 ただし、個々の発行体については、懸念すべき経済シナリオは、穏やかな景気後退だけではないと考えています。また、経済全体は好調であっても、キャッシュフローに関して景気後退の逆風に直面している特定のセクターや発行体があるような経済環境に対しては慎重です。 このような環境下では、経済全体の健全性から金利が高止まりする可能性があり、弱いセクターで変動金利の金利エクスポージャーを持つレバレッジの高い発行体は、キャッシュフロー/インタレスト・カバレッジ・レシオが急速に低下するため、デフォルトリスクが高まります。 当社は、このような状況をデフォルト率予想を決定する上で注視しています。

特に、低格付けセクターで大きな分散の継続が必要とする当社の見解は、上述の2点目と3点目で裏付けられています。 このような環境下においては、米国ハイイールド債市場に投資する際には、慎重な銘柄選択とアクティブ運用が肝要であると当社は考えています。

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