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米国ハイイールド債市場アップデート

  • 2023年7月7日 (5 分で読めます)

米国ハイイールド債トレーディングコメント(データは2023年6月20日時点)

  • 6月は全般的に好調な決算発表が続き、予想を上回る経済指標と共にインフレ期待修正を背景として、リスク資産が幅広く上昇した(ハイイールド債指数+1.54%、S&P500指数+5.1%、ラッセル2000指数+6.8%)。

  • 米議会が5月下旬に債務上限問題に対する建設的な解決策を見出したことで、30億ドル以上がハイイールド債市場に流入し、資金フローは6月にプラスに転じた。

  • ここ2~3週間の主なテーマは、市場のハイクオリティ部分と低クオリティ部分の間の強力なスプレッド圧縮だった。BB/CCCのスプレッドはおよそ700bpsで、年初来で最も引き締まった状態である。

  • 直近のハイイールド債市場においては、オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)が6月初旬に正式に投資適格債指数に採用されたように、引き続き格上げによるテクニカルな恩恵を受けている。OXYにより、ライジングスター(発行体の信用格付け改善により、投資適格債になる潜在性をもったハイイールド債)の年初来取引高が590億ドルに伸び、年初来のフォールンエンジェル(発行体の信用格付け低下により、投資適格債であったのがハイイールド債に分類されるようになった債券)の14億ドルを大きく超えている。

  • 全般的な取引高は前年比で減少しているが、市場の弱気局面では買い手が台頭し続けているため、市場の流動性は依然として健全である。

  • ハイイールド債のプライマリー市場は年初来で額面約870億ドルに上っており、前年同期比で30%増になり、発行銘柄の大半が借り換えに充てられている。昨年からハイイールド債ディーラーのバランスシートに滞留していた案件の大半も解消され、ディーラーは資金調達を支援しやすい状況にある。 以前言及したとおり、ネット(正味)の新規発行が限定されている状況は、ハイイールド債にとって引き続き強い追い風になっている。

  • 米連邦準備制度理事会(FRB)の政策会合と金利決定が、クレジット市場にとって引き続き主な焦点であり、インフレ傾向や雇用データに結び付いた経済指標も同様である。

米国ハイイールド債リサーチコメント

  • ハイイールド債市場全般では、比較的堅固なバランスシートおよび企業ファンダメンタルズが引き続き見られ、市場の全般的なレバレッジは2022年1~3月期に3.9倍に低下した。その後の四半期決算では、ハイイールド債のトレンドの分散が継続して見られる。

  • ハイイールド債市場の全般的なカバレッジレシオ(支払利息などの金融費用に対する事業利益の比率)の平均値は、予想どおり下がり始めている。このカバレッジレシオは金利の上昇とキャッシュフローの軟化とともに低下すると予想されるが、米国レバレッジファイナンスの他の市場であったような劇的な下落を当社は予想していない。

  • ちなみに、ハイイールド債のカバレッジレシオは過去6四半期の各々で5倍以上を維持したが、これは少なくとも2008年以来見られなかったことである(直近6四半期を除く長期平均は4.35倍)。

  • さらに、大半のハイイールド債発行体は、かなり時間をかけて現在の高金利環境に順応している。しかし、レバレッジドローンのような他のクレジット市場では、金利コスト上昇が発行体に直接的な影響を及ぼしており、逼迫した状況を引き起こしている。

  • 高クーポンの受け取りは投資家にとって喜ばしいことである一方、投資家は、どの発行体が金利上昇局面をコントロールできるかの分析について慎重になることが必要である。投資家はさらに、コール・プロテクションの少ない変動金利債市場の現在の高いインカムを選ぶか(プライベートデット/ローン)、より良いコール・プロテクションまたはコンベクシティ(金利変化に対する債券価格の変化を推定する指標)をそなえたドル建て価格の低い債券(ハイイールド債/投資適格債)で利回りを固定するかの決断に際し、比較を行う必要がある。

  • 特にハイイールド債市場に関して、当社は資本構成にローン(つまり変動金利)のエクスポージャー比率が大きい企業については依然として慎重な姿勢を取っている。ハイイールド債市場では、ローンエクスポージャーを持つ企業は全体の約3分の1に限られており、ハイイールド債発行体のカバレッジレシオが高い水準を維持している理由と合致している。

  • 現在、クレジット市場の至る所に多数の優れた投資機会が浮上している。結局、これらのクレジット市場投資での成功のカギは、金利上昇を吸収できる高いキャッシュフロー創出力のある企業に注目することと当社は考える。

企業およびセクターへの参照は例証のみを目的としており、投資推奨と見なすべきではありません。

(オリジナル記事は6月27日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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