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Investment Institute
マーケット見通し

政治と為替、相対価値


米ドルは今年これまで、多くの通貨に対して下落が続いています。「価値低下」取引と名付ける極端な意見や、「米国売り」とする意見もあります。こうした意見では、金や銀の価格上昇を極端なドル安を正当化するための理由としています。それに関して、AXA IM Core Investments のCIOであるChris Iggoは、以下の見解を示しています。

米ドルの他の通貨に対する下落はおおむね秩序だっており、過去の動きと比較するには、ドルがさらに大幅に下落する必要があるでしょう。市場では米国経済に対して弱気のセンチメント(心理状態)もあるかもしれませんが、企業収益の力強い伸びが株価バリュエーション(投資尺度)の改善に寄与しており、米国経済は好調のようです。しかし、米国政府の政策が何を望んでいるのかは不明であり、短期的な市場のモメンタム(勢い)は低下しています。従って、世界の投資家は、為替変動がリターンにどのような影響を与えるかについて敏感になる必要があると考えます。とはいえ、ドル安と株価収益率の低下がもたらす投資機会は、いずれ検討に値するかもしれません。

  • 主なマクロ経済テーマ – 米国企業の業績が堅調で、経済データには改善が見られるのも関わらず、米ドルは下落を続けるのか?
  • 主な市場テーマ – 企業業績成長が力強いため、株式市場の価格水準は割安方向に動いている。これは米国売りという見解に対して買い向かう機会なのか? 

米ドルの下落

1月16日付のレポートでは、米ドルの価値に対する脅威について論じました。それ以来、米ドルは幅広い通貨バスケットや金、銀、その他のコモディティに対して価値が下落を続けています。米ドル以外の通貨から米国資産に投資する投資家にとって、為替リスクをヘッジしていない場合、米ドルの価値下落は投資のトータルリターンに大きな打撃を与えています。ユーロ建てで見ると、米国の株式市場や債券市場は欧州市場と比べて、リターンが2~3%劣後しています(ポンド建て投資家も同様です)。ドルの短期的なモメンタムはマイナス方向です。米連邦準備制度理事会(FRB)は年内に追加利下げを実施する見込みであり、米国政府のドル政策に関するメッセージは様々です。あらゆる市場の中でも、外国為替市場はモメンタムとトレンドフォロー戦略(相場の流れに乗って行う戦略)に左右されやすく、短期取引はテクニカル分析のシグナルによってしばしば引き起こされています。米ドル相場が、心理的に重要な水準である対ユーロ1.20ドル、対ポンド1.40ドルを突破して下落すると予想する投資家は多くいるでしょう。

多様な原動力

為替市場の分析は簡単ではありません。米ドルをめぐる見解には、政策の不確実性や地政学的関係の変化が反映しています。実際には、投資家がポートフォリオの組入れを変更して、米国資産や米ドル建て資産の投資割合を減らそうとしていることを示唆しています。為替市場の資金の流れを見ると、投機的なポジションをとる為替トレーダー以外の動きがあります。その一つに、貿易に関連した企業の資金フローがあり、また、長期的な資産配分に関連したポートフォリオの資金フローがあります。更に、公的機関が準備資産を調整することにも関連しているでしょう。基本的な理由も作用しています。米国の対外投資は記録的な純赤字になっており、このため、欧州や日本の経済成長に楽観的な見方が強まっている一方で、米国では国内総生産(GDP)の成長には不確実性があるとみています。また、各国との金利差も優位性が薄らいでいます。一方で、為替レートはファンダメンタルズに基づく均衡価格を大きく超えて動く傾向があることも覚えておく意味があるでしょう。米ドルはこれまでの15年間上昇傾向を続けています。米ドルの貿易加重指数の水準は過去10年の最高値から7.4%下回る程度です(国際決済銀行による狭義の米ドル貿易加重実効為替レートを使用)。

日本円は転換点か??

方程式の逆側は日本円があり、日本円の為替レートは変動が大きくなっています。米ドルに対して、日本円は過去5年間のほぼ全期間で下落を続けています。最近の円の下落は、日本政府の債務持続可能性に対する懸念や、国債市場の価格下落を反映しています。経済理論によれば、金融政策が引き締めに向かい、財政政策が拡張的になる場合には債券利回りを押し上げ、通貨は強含むとされています。日本の経常収支は大幅な黒字を続け、外貨準備金も過去5年間に積みあがっています。1月23日の為替市場では、円の一層の下落を阻止するために日銀が介入するのではないかとの思惑が広がりました。(その背景には、円の下落は、日本のインフレを加速し、日本の金利や債券利回りをさらに上昇させるのではないかという懸念があります。)そして、この思惑は、円の下落を見越した取引を行うことへの脅威となっています。

市場での少数派意見として、日本の海外への投資家が自国に回帰する動きによって円が強含むとする見方があり、また、市場が見込むほどには日本の利回りは上昇しないとする見方があります。もちろん、日本にも政策の不確実性があります。しかし、日銀の債券市場に対する10年以上にわたる介入の後、債券利回りはようやく経済の中期的傾向を反映するようになりました。以前も述べたことがありますが、長期国債の利回りは、名目GDP成長率の長期的傾向に追随する傾向があります。日本ではインフレ率や実質GDP成長率が上昇しているので、2.25~2.75%の幅にある10年国債利回りはファンダメンタルズに基づく均衡水準なのかもしれません。もしそうだとすれば、今後を考えると、日本国債は割安の領域に入りつつあるでしょう。日本円にヘッジすると、米ドルないしユーロの利回りは日本の均衡利回りよりも低くなります。


米国株式市場の持続的強さが、ある程度米ドルの支えとなっている

短期的には、為替や債券市場の価格動向は市場のセンチメントを広く反映するでしょう。FRBは短期的なマクロ経済見通しでは相対的に中立の姿勢にあり、政策金利変更の前に様子見の姿勢をとるとしています。他方、地政学的な事態がドルに対してマイナスに働くかもしれない一方で、株式市場は米ドルにとって支援要因となっているとみています。昨年第四四半期の企業決算では、発表企業の売上が平均8.9%増加したことを背景に、19%の増益となっています。堅調な業績がテクノロジーセクターで広く報告されているため、人工知能(AI)バブルが崩壊することを示唆するものは無いとみています。

グローバルでの配分変更に関連する可能性がある相対的な市場動向に関する初期の市場コメントを考慮すると、米国市場のバリュエーションはやや低下しています(市場指数の水準はそれほど変わっていない一方で、企業業績は市場予想を超えています)。S&P500指数の12ヶ月予想株価収益率は6か月前の水準を2%(ナスダック総合指数では7%)下回っている一方、欧州では増加(ストックス欧州指数で5.8%)上昇し、日本でも(MSCI日本指数で15.5%)上昇しています。もし、米マクロ経済データが市場予想よりも強く、株式市場のリターンがテクノロジーブームにけん引されて上昇を続ける場合には、米ドルが最近の下落傾向から反転する可能性はいつでもありうるとみています。市場の一般的な見方では、ドル安を見ているようですが、ユーロ高が続くとの見方も強くありません。「米国買い」取引は、ある時点で逆張り取引として成功する可能性がありますが、もし政治的動向が米ドル安の原因とすれば、米ドルの上昇への本格的な反転は、今年11月の米国連邦議会の中間選挙よりも前に起こらないだろうとみています。

クレジットリターンは最高に達したのか?

クレジット市場にも考察を行いましょう。投資適格債市場及びハイイールド債市場ともに利回りが狭い幅で推移しています。国債とのクレジットスプレッド(信用格差による利回り差)は主要市場の多くで、2008年の世界金融危機以降の最低水準に達しています。ファンダメンタルズはクレジット市場にとって依然支援的な状況にあるものの、クレジット市場の利回りは、中央銀行が債券市場に介入を行っていた2010年から2022年の期間の最高値を少し上回る水準になっています。2010年初旬には、米社債市場の利回りは4.6%でしたが、現在(執筆時)の利回りは4.8%です。ユーロ圏の投資適格社債市場の利回りは2010年初旬は3.7%でしたが、現在は3.1%、英国では5.6%に対し5.1%になっています。クレジットスプレッドが縮小しており、基準となる国債利回りがさらに低下する可能性はあまりないとみているため、クレジット市場でのキャピタルゲインの可能性は限定的とみています。社債市場はインカムの観点では投資機会があるとみており、というのも、社債市場の利回りは株式市場の配当利回り(特に米国)やキャッシュ金利を上回っています。筆者の予想としては、今年のクレジット市場のトータルリターンは過去3年よりも低くなるとみていますが、依然として潤沢なインカムフローを供給するとみています。ただし、景気後退時には国債利回りの低下により社債債市場の利回りが低下する可能性があるという点には、注意が必要でしょう。そうしたシナリオの中での問題点は、クレジットスプレッドが再び拡大して、クレジット市場のリターンが相対的に劣る可能性があるということです。

パフォーマンス等のデータの出所:LSEGワークスペース・データストリーム、ICEデータサービス、ブルームバーグ、BNPパリバ・アセットマネジメント。特に記載がない限り、2026年1月29日現在。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。また、記載内容は、2026年1月29日現在の資本市場を説明したものであり、特定の金融商品への勧誘や推奨を意図したものではありません。

(オリジナル記事は1月30日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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※S&P500指数:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する米国の500社の値動きの平均を示す時価総額加重平均型株価指数です。

※ナスダック総合指数:米国NASDAQに上場している全銘柄の値動きの平均を示す時価総額加重平均型株価指数です。

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