【新興国小型株戦略】運用チームCIOは新興国小型株におけるクオンツ運用の優位性を強調
新興国小型株へのいざない(2025年10月)
運用チームCIOは新興国小型株におけるクオンツ運用の優位性を強調
アクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)新興国小型株戦略のCIO(最高投資責任者)であるラム・ラサラトナムがこのほど来日し、新興国小型株戦略の魅力や直近の動向、今後の見通しを語りました。本レターでは新興国小型株戦略の魅力と、新興国小型株市場におけるアクサIMのクオンツ運用の優位性をお伝えします。
特に、当戦略の好調なパフォーマンスの背景には、新興国小型株式市場特有の“構造的な非効率性”と、“アクサIMが築き上げてきたデータ運用技術”という2つの基盤があります。データ活用という点においては、最近では生成AIの急速な性能向上や資産運用における活用が大きな話題となっています。しかし、ラム・ラサラトナムによれば、40年以上の歴史があるアクサIMのクオンツ運用では、2010年代からNLP(自然言語処理)、ML(機械学習)やAIを既に活用しています。そして、そのノウハウを活用しながら、さらに最近の進化した生成AIも積極的に取り入れています。
■好調なパフォーマンス
アクサIMの新興国小型株式戦略は近年、好調なパフォーマンスを維持しています(右図参照)。直近5年の累積リターンでは、MSCI新興国小型株式指数を上回っており、その乖離はさらに広がりつつあります。こうした安定的な超過収益は、個別銘柄選択を中心とした一貫した運用アプローチが、市場環境の変化に左右されずに機能してきたことを示していると考えています。
■なぜ今、新興国市場に注目すべきか
①有利な人口構成、成長構造
新興国市場が堅調な背景には、世界人口の86%を新興国が占め、かつ平均年齢が若く労働人口が豊富という有利な人口構成があります。そして新興国市場は世界のGDPの約60%を創出しています。
②クオリティの高い企業が増加
新興国企業で特筆すべき点は、国内需要の拡大を背景に、産業構造そのものが高度化・多様化していることです。以前は素材・エネルギーなどのコモディティ関連企業の比重が大きい市場でしたが、近年は知的財産(IP)を強化した付加価値の高い新興国発の企業が増加しています。その結果、新興国は「資源と国有企業の市場」から、「消費・IT・知財・人材を軸とした高品質な成長企業が集まる市場」へと進化しています。さらにガバナンス改革の進展や金融セクターの民間化が追い風となり、民間金融の拡大は市場全体のクオリティ向上と、健全な競争を促進しています。つまりこうした構造変化は、新興国経済が民間競争による持続的な高成長市場へと変化しつつある証拠とも言え、投資対象としての良好な機会を一段と増やしているとみています。
③良好なバリュエーション
新興国市場のバリュエーションは現在、先進国市場比で割安な水準にあります。一方で、利益成長率は相対的に高いことから、新興国市場は割安かつ高成長の市場として、非常に良好な状況にあるとみています。
- 新興国¹PER(12か月先予想)は先進国²と比べ大幅にディスカウント
- PEG(PER/利益成長率)でみると、割安度は更に顕著
- 一方で先進国より高い利益成長
(12か月利益成長率:18.7%(新興国)vs 15.1%(ワールド)
1:MSCI新興国指数 2:MSCIワールド指数 出所:アクサIMグループ、MSCI、2025年10月31日現在
④対先進国および新興国間で分散効果
新興国市場は先進国市場との相関が低く、分散効果があると考えられます。また、先進国間の相関の高さに比べると、新興国は国ごとのリターン特性を持ち、それぞれ独自の成長ストーリーを有しているため、新興国間においてもリターンが分散しやすくなっています。
■なぜ新興国市場でも小型株式市場に注目すべきか?
それでは新興国市場において特に小型株式市場に注目すべき理由は何でしょうか。それは、新興国小型株式戦略において投資リターンを大きく左右する “市場の非効率性”にあります。
- 新興国市場はそもそも情報が不足している : 企業の開示レベルは先進国に比べて低く、統計データなどの整備も不十分。IR活動や英語情報が乏しい企業も多い。
- 小型株式市場ではこの非効率性がさらに増幅 : 新興国小型株式市場はその中でも、特に情報が少なく、アナリストによるカバレッジが弱いことが挙げられる。新興国小型株式市場においては約90%はアナリストが平均的に5名以下、23%がセルサイドのカバレッジがゼロの状態*。
*出所:MSCI、アクサIM、2025年1月現在
つまり、企業の実力が株価に反映されるまでの時間が長く、ミスプライシングが慢性的に発生しやすい市場となっています。
■ビッグデータ運用のようなデータ駆動型の銘柄選択が最も効く市場
市場参加者が少なく、情報のばらつきが大きいため、深いデータ分析が出来る運用者が圧倒的に有利になると考えられる市場が新興国小型株式市場です。そこで、同市場に関して詳細なファンダメンタル分析を長年行ってきたアクサIMの株式クオンツ投資(EQI)アプローチが有効になります。
- EQIチームは40年以上のモデル運用の歴史があり、長年にわたる一貫したシステマティック投資の強みを持つ
- 世界2万社をカバーし、250億以上の標準化されたデータポイントを保有
- 新興国小型株式市場において、通常の指数では約2,000社のカバレッジに対し、EQIチームではその2倍の約4,000社をカバー
新興国小型株式市場では情報不足が大きく、バリュエーションやパフォーマンスのばらつきも大きいため、EQIの銘柄選択プロセスを通じたアルファ創出余地が大きくなっています。そして、こうした運用技術を生かし、市場のゆがみを早期に発見して投資することで相対的に安定したパフォーマンスを実現しています。
■パフォーマンスの再現性:ファクター投資が奏功
EQIの運用アプローチは市場環境に左右されない一貫性を備えており、特に非効率性が大きい新興国小型株市場でその強みが最大限に発揮されています。さらに当運用チームが磨き上げてきたファクター投資は、こうした市場構造のゆがみを捉えやすく、継続的リターンの創出に大きく貢献しています。まずシンプルファクターにおいては、新興国、さらに小型株へ対象を移すほどファクター効果が強まる傾向が確認されています。特にバリューとモメンタムの優位性が顕著で、新興国小型株式市場ではこれらのリターン差が大きく拡大しています。
加えて、EQIではファンダメンタル分析及びテクノロジー活用により、通常の市場ファクターよりも強い「EQIファクター」のリスク・リターンが実現しています(右図参照)。直近ではEQIモメンタムのパフォーマンスが際立ち、力強い成長、適正なバリュエーション、良好な利益成長がパフォーマンスに反映されています。
- 市場が急変したとしても銘柄選択がアルファの源泉
小型株式市場での高いばらつきに加えてEQIの一貫したモデル運用がミスプライシングを捉えることで、市場環境にかかわらず持続的な超過収益を安定して提供(上記左グラフ参照)
- モメンタムの強さが構造的に発現
新興国小型株式市場では銘柄に関する情報遅延が比較的大きいため、良いニュースに対する株価反応が遅い傾向がある。EQIモメンタムは、この遅れを捉え続け、直近では90%を超えるアクティブリターンを実現(上記右グラフ参照)
通常、新興国投資では、各国のマクロ経済動向や通貨変動がパフォーマンスに大きく影響する場合がありますが、EQIの新興国小型株式戦略は広範な国分散により、1国のパフォーマンスによる影響を受けにくくなっています。その結果、堅調で安定的なパフォーマンスを生み出しています。
■AIの活用について
大きなブームともなっているAIですが、ラム・ラサラトナムは慎重な活用の必要性を強調しています。通常の個別銘柄関連データにはノイズが多いため、そのまま使うと有効性の低い分析になってしまうためです。このため、データの整備や慎重な利用が重要です。なお、EQIでは、2010年代からNLPを運用に導入しており、2020年代からAIおよびMLを活用しています。現在では生成AIも活用して約2万銘柄のファンダメンタル分析を行っています。
■新興国小型株市場の今後の見通しについて
新興国小型株戦略は、2025年4月にトランプ関税の「解放の日」で大きく下落した後は堅調なパフォーマンスを維持しています。今後、新興国のインフラ関連がさらに整備され、新興国企業の成熟化が進むことで、事業や利益の更なる成長をもたらすことが期待されます。アクサIM新興国小型株式戦略では、クオンツ運用の優位性を活用し、小型株式企業の投資機会や成長性、分散投資を追求し、引き続き優れたリターン創出を目指します。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
本資料で使用している指数について
MSCI新興国指数及び新興国小型株式指数:MSCI社が公表している新興国の株式市場及び新興国の小型株式市場の値動きを示す時価総額加重平均型指数です。
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