
月次投資見通し: バランス型ポートフォリオ戦略再考、米国のインフレと中国のマクロ経済に対して市場が乖離
主な投資テーマ
よりバランスの取れたアプローチが必要

バリュエーション(投資尺度)と将来のリターンとの歴史的な関係に基づくと、今後、株式市場と債券市場のパフォーマンスが近似した水準になることが示唆されています。これは、ターゲットリタイアメント戦略(退職時期を目標として運用される戦略)のようなバランス型ポートフォリオの構築にとって重要となる可能性があるとみています。こうした戦略は、時間の経過とともに株式への投資比率を減らし、債券比率を増やすことで、投資家が退職時期に近づくにつれてリターンが債券主導になっていく仕組みです。しかし、過去10年間の債券市場のリターンはこのアプローチを損ねており、シミュレーションによると、投資家は株式比率を高めに維持していた方がより高い利益を得られた可能性がありました。ただし、現在の株式市場のバリュエーションは長期的なリターンの低下の可能性を示唆しており、債券市場の利回り上昇は債券市場のリターンの向上の可能性を示しています。将来予測の分析では、米国市場の年間リターンは3%から5%の間と推定され、米国社債市場のリターンは約5%となっています。欧州については、分析は株式市場を債券市場よりもやや有利とする見解を示しています。過去10年間、世界的に株式市場のリターンは債券市場を上回ってきましたが、よりバランスのとれた配分は、今後の長期投資家にとってより良い選択肢となる可能性があるとみています。
今年末にかけてインフレは加速

米国のインフレは今後数ヶ月で加速する可能性が高いとみています。多くの米国企業は、関税の導入に備えて輸入を先行させており、また中国の輸出政策についても不確実性がありますが、インフレの粘着性を軽視することはできません。アトランタ連邦準備銀行のデータによると、基調インフレ(価格上昇の長期的かつ持続的なトレンド)は3%を超えたまま留まっており、4月以降約0.4ポイント加速しています。関税は一時的な要因ながら、モノのインフレを加速させるかもしれません。さらに、ベース効果(基準点が異なることにより生じる効果)により、月次の物価変動パターンが過去3ヶ月と同じであれば、年末に向けて総合インフレとコアインフレの両方にわずかながら好ましい影響をもたらす可能性があるとみています(物価月次平均変動率は+0.3%)。金融市場は、年末までのCPI予想値が示す通り、インフレの加速にそれほど懸念を抱いていないようです。つまるところ、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策担当者にとって重要なことは中期的な見通しですが、市場が新たな情報にどのように迅速に対応するかは常に議論の余地があるとみています。
中国の経済と市場が乖離した動き

マクロ経済の低迷にもかかわらず、中国の株式市場のリターンは年初来で二桁の上昇を達成しました。市場はマクロ経済動向から乖離することがありますが、中国の場合、シナリオが変化しているとみています。特に、人工知能(AI)分野の躍進に牽引された情報技術やバイオテクノロジー、市場の反内巻*的な取り組みが企業の利益回復を促し、重要な成長機会を提供しています。また、利用可能な流動性も市場の再評価に貢献しています。2023年6月時点で、家計には約24兆ドルの貯蓄がある一方で、配当利回りは預金金利に比較して高くなっています。一方で、債券市場のリターンは低下し、ボラティリティ(変動性)は増加しています。加えて、不動産市場が依然として脆弱であるため、投資家は代替となる投資の道を模索しています。現在の株式市場の上昇により、市場のバリュエーションは長期平均並みになっています。相対的に高いパフォーマンスを上げている銘柄には、利益や売上高について市場において大幅な上方修正があり、また、株価収益率(PER)が高水準といった属性が共通の特徴となっています。今後の展望としては、デフレ圧力にもかかわらず、十分な利益と配当増加を遂げる企業が増え、株式市場への資金流入が増加し、市場の回復を維持できるかどうかが重要なポイントとみています。
*:内巻:社会学用語で、内側に向かう発展。中国では、内向きの過当競争を示す
出所:ブルームバーグ、アクサIMグループ、2025年9月末現在
資産クラス別概要
表明された見解は、資産クラスのリターンおよびリスクに関する CIO チームの予想を反映しています。各色は長期的に観測される動向と比較した今後3~6か月のリターンの見通しを示しています。

データの出所: ブルームバーグ
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