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視点:CIO

不確実な旅(アジア訪問を振り返って)

  • 2023年7月10日 (3 分で読めます)

2023年前半は、大きなリターンをもたらすはずではなかった資産クラスから強いリターンがもたらされました。また、欧州と中国が好調になると期待されていた中で、米国経済が力強い成長を遂げました。このようなテーマから外れた投資家たちは、それでも幸運にも近年では最高のキャッシュリターンを得ることができました。最近私はアジアを訪れ、投資家の方々とも話し合いましたが、短期的には資金配分方法に大きな変化はないようです。ピーク金利、コアインフレ率、景気後退の確率は、依然として投資に関する会話で支配的なテーマです。コンセンサス(あるいは賢明な見解)ではないかもしれませんが、特に経済指標が現在のように強弱入り混じるままであれば、ハイイールド債やグロース株からの堅実なリターンという「ペイントレード(選択肢が限られ、やむを得ない取引)」が続く可能性は否定できないでしょう。

東洋にて

私は6月後半をオーストラリアとアジアへの出張に費やし、各地の投資家にお会いしました。一般的に、見通しについては多くの投資家が同じ見方をしていました。先進国経済は1年間の金融引き締めの後、さほど大きくない景気後退リスクに直面するとの予想、あるいは少なくとも懸念があります。これは投資家の投資スタンスにも反映されています。株式のオーバーウエート・ポジションについての議論はなかったと思います。債券は金利のピークが見えているため、より好意的に見られています。クレジットについては、プライベートクレジットのような分野で利回りを追求する必要がなくなった機関投資家にとって、現在のリターンは魅力的であり、慎重ながらもポジティブな見方をしていました。キャッシュが適度なリターンを提供し、クレジット市場や株式市場が特に割安と見なされていない状況では、資産配分に関する大きな決定はないだろうという見解を持って帰国しました。

驚きの株式市場

株式市場のパフォーマンスについて、アジアの投資家と幅広く議論しました。特に、マクロ的な見方では景気後退が視野に入っている(あるいはその可能性がある)というのが既定路線である中で、投資家の多くは株式リターンの好調さに驚いているようです。もちろん、米国市場のパフォーマンスは主にテクノロジー株と人工知能(AI)をめぐる熱狂に牽引されてきたという理解があります。その点では、投資家は寛容なようです。テクノロジーの専門家でない投資家は、当然のことながら、AIがもたらす潜在的な利益とリスクをすべて把握しているわけではありませんが、AIのサプライチェーンに直接関わる企業や、AIを活用して生産性と収益性を高めることができる企業には、非線形的な成長をもたらす可能性があるという見方には共感しているようです。同時に、多くのマクロ指標が短期的な株式リターンにとってネガティブである今、AIの熱狂をひたすら今追いかけたいと考える投資家はほとんどいません。

オージーボンド

私のアジア訪問はオーストラリアから始まりましたが、私の年齢を考えると驚くかもしれませんが、これが初めての訪問でした。偶然にも「アッシュズ・テストマッチ(クリケットのオーストラリア代表とイングランド代表の国際試合)」の第1戦と重なりました。イングランドは負けましたが、そのおかげで地元の人たちとは少し友好的な談笑ができました。英国の人間にとって、オーストラリアは馴染み深い国です。言葉はもちろんのこと、クリケットへの情熱、同じ国家元首を戴いていることなど。経済面でも似たようなことがあります。オーストラリア準備銀行(RBA)は2022年5月以来利上げを続け、政策金利キャッシュレートの目標は、ゼロに近い水準から現在の4.10%まで引き上げてきました。市場の予想では、RBAは年末までに金利を4.5~5%程度まで引き上げるとみられます。オーストラリアの総合消費者物価上昇率は2022年12月に8.4%に達しました。その後低下し、5月には5.6%まで低下しました。コンセンサス予想では、2024年には3.0%まで低下し、米国や欧州の水準予想と一致します。ベンチマーク10年債利回りは現在4.12%で、2022年6月に記録した最高値まであとわずかとなっています。インフレ率が低下しつつある今、この10年来の高い利回りは、当地の年金や保険ファンドにとって非常に魅力的です。

オーストラリアでの大きな話題は、住宅市場の行方です。オーストラリアの住宅ローン市場は英国と似ており、2~3年の固定金利でローンが組まれる傾向にあります。英国と同様、今後は住宅ローンの借り換えが相次ぎ、当初借り入れ時よりもはるかに高い金利が適用されます。これは家計のキャッシュフローと住宅市場に打撃を与えるでしょう。住宅価格は2022年初頭にピークを迎え、その後約10%~15%下落しています。住宅金融環境が厳しくなるにつれ、さらに価格が下落するリスクがあるのは明らかです。それは景気後退を引き起こすのに十分でしょうか?2024年のGDP成長率のコンセンサス予想はわずか0.7%であり、小幅な景気後退は十分に考えられます。中国については後述しますが、もし中国経済が強まれば、予想される2024年の世界的な金融緩和と同様、オーストラリアをある程度下支えすることになるでしょう。市場規模は小さいですが、オーストラリアの社債利回りは6%を超えています。そのため、他の国々と同様、短期的には債券投資が有利となります。

中国

中国は今回の旅の最後の訪問地でした。北京と上海で最もよく聞かれた質問は、外国人投資家が中国資産へのエクスポージャーを増やしたいと思うかどうか、また地政学的な懸念が主な制約になっているかどうかということでした。中国においてこのような話をするのは容易ではなく、まさにそれば、中国株への熱狂が見られない理由のひとつでしょう。もうひとつの理由は、新型コロナウイルス後の経済再開がこれまでのところ期待外れになっており、それが中国株のパフォーマンスに反映されていることです。

弱い回復

欧米の投資家は中国の回復トレードを見誤りました。私が中国の方々と話した印象では、ロックダウン(都市閉鎖)は中国の信頼感に長く深い傷を残しました。多くの欧米経済の状況とは対照的に、ロックダウンは長期化し、政府の財政的寛大さも欧米と同レベルではありませんでした。その結果、家計と企業は、キャッシュフローとバランスシートにストレスを抱えることになりました。不動産セクターは依然として問題を抱えていますが、民間部門に対する政府の(個別セクター対応をしない)全般的なスタンスから、企業は投資に迷っています。多くの人々が政府に景気回復策を期待していますが、これまでのところ、金融面でのささやかな緩和にとどまっています。人口動態、債務水準、雇用創出など、構造的な問題も存在します。いずれも、当面は外国人投資家の姿勢を変えることはならないでしょう。おそらく7月の中国共産党政治局会議で、投資と成長を促進するためのさらなる政策が発表されるとみられます。長期的には、中国のグリーン移行や、米国の技術輸出規制に対する中国の対応の必要性という点で、興味深いことが起こっています。これらは中国株に潜在的な投資機会をもたらすでしょうが、目先のマクロ見通しと不透明な地政学的見通しが、中国への資金流入の大きな障害となるでしょう。

低い確信度

中国の投資家の方々と海外の見通しについて議論した際、テーマは同じでした。米国の景気後退の可能性、金利の行方、インフレは長期的に高いままか、などでした。確信度は極めて低い状況です。今年前半の市場パフォーマンスを見た場合、レバレッジド・ローン、ハイイールド債全般、ナスダック、日本株などの好調なパフォーマンスの継続について投資家心理を断念させることは困難です。それでもなお、そういったペイントレードは今後も続くかもしれません。特に、景気減速がソフトランディングとなり、来年の金利がある程度緩和される見通しであれば、こうした傾向が続かない理由はありません。

インカムの獲得

投資家の慎重な姿勢はしばらく続くでしょう。市場センチメントにおいては、債券は長期デュレーションが、クレジットと株式はよりディフェンシブな配分が選好されています。6月の米ISM製造業景況感指数は46に低下し、世界経済が膠着状態にあった2020年5月以来の低水準となりました。これは景気後退を示す水準です。しかし同時に、米国の失業率は過去18カ月間3.5%前後と低水準を維持しており、非農業部門雇用者数の月平均増加数は今年上半期で約26万人でした。雇用は収入を意味し、消費は支出を意味します。米国経済の行方をより明確にするためには、失業率が上昇に転じるか、それによって広範な景気減速が確認され、来年の金利低下の可能性が高まるか、より循環的な景気指標が再び改善し始める必要があります。当社はデータウォッチに余念がありません。そして今のところ、キャッシュリターンの確実性は、投資家が軽々しく手放すものではないということです。

(パフォーマンスデータ/データソース:Refinitiv Datastream、Bloomberg)。過去の実績は将来のリターンの指針となるものではありません。)

(オリジナル記事は7月7日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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