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マクロ経済リサーチ

新型コロナウイルスのマクロ経済および運用戦略への影響に関するアップデート - 2020年4月9日

  • 2020年4月9日 (3 分で読めます)

当資料は、金融商品取引法で定義されている適格機関投資家を対象としており、一般投資家向けではありません。当資料は、4月9日にアクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサ IM)が開催した新型コロナウイルスの影響に関する顧客向け電話会議の内容を要約したものです。

新型コロナウイルス危機が、引き続き市場に大きなボラティリティをもたらしています。世界経済にとって異例で厳しい状況ですが、政策担当者および中央銀行は、市場の安定とマクロ経済対策で決然とした行動を取っています。当社の専門家が、現状に関する見解および今後の見通しと投資機会を説明します。

アクサ・グループ・チーフ・エコノミスト、ジル・モエック

欧州大陸の多くの国での新型コロナの伝染拡大トレンドは落ち着きつつあり、ロックダウン(都市封鎖)の緩和条件に関して議論している国が増えています。しかし、ワクチンや効果的な抗ウイルス治療法がないため、正常化への進行は、第3四半期に及ぶ2次感染を避けるためには検査能力のいかんによるでしょう。これにより、新型コロナに対する封じ込め政策が緩和され始めた後も、生産活動はかなり低い水準にとどまるとみられます。

当社は、米国については引き続き慎重に見ています。感染拡大の速度は減速していますが、それでもイタリアの感染速度を大きく上回っています。当社の基本シナリオは、米国は第2四半期末までは正常化せず、そのマイナスの影響が世界経済の成長に及ぶ、というものです。

新型コロナの感染拡大抑制に関して、少なくとも欧州では改善報道が増えていますが、GDPへの負荷増大は続くと見込まれます。INSEE(仏国立統計経済研究所)によればフランスの生産活動はロックダウンで30-35%の低下が見込まれ、仏中央銀行はそれに基づき、フランスの第1四半期GDPは前四半期比で6%減少すると予想しています。この予想はおそらくほとんどの先進国に適用できるでしょう。そしてロックダウンが4週間ではなく6-8週間続いた場合、欧州および米国の2020年通年のGDP成長率は前年比で約4%減少すると見込まれます。しかし、財政刺激策により労働者の所得が支えられることもあり、2020年上期のリセッションの深刻度は大きいものの、もはや2次的な問題です。市場は第1、第2四半期の悪化を既に織り込んでおり、第3四半期の反発の可能性に注目が集まっています。 

当社は、景気回復の形については、スポーツブランドのナイキのロゴのような形状(まず大きく落ち込み、その後少しずつ上昇する形)を予想しています。これは、長期化した不況の後で経済のかなり緩やかな再加速を見込んだもので、コロナ感染の影響で貯蓄が選好される可能性があるためです。それでも、当社の基本シナリオは、第3四半期以降のGDPのプラス成長です。一方、当社は、特に政策対応の修正が必要と考えています。米国および英国のクレジット保証スキームの実施に関して依然問題が多く、当社はクレジットの格付け変更に対する中央銀行の対応を懸念しています。

アクサIM 最高投資責任者(コア・インベストメント)、クリス・アイゴー

中央銀行の利下げによる国債利回りの急速な低下にもかかわらず、投資家は今後も国債を軽視すべきではない、と当社は考えています。信用力が最も高い国債は、2月や3月のような時にはリスク資産に対するヘッジとして機能しました。そして、デュレーションに対して幾分エクスポージャーがあるポートフォリオのパフォーマンスは、株式のみのファンドやクレジットのみのファンドを通常は上回ります。債券利回りが低下した場合、債券ポートフォリオのデュレーションは長期化します。このため、ポートフォリオの一部に国債を入れておけば、今後ポートフォリオを下支えしてくれる可能性があります。

クレジットに関しては、3月はトータルリターンで最も悪い月の一つとなりました。ただ、クレジットスプレッドが大きく拡大しており、中央銀行によるクレジットの下支えも行なわれているため、当面はこのような落ち込みは起きないだろうと見込まれます。過去においては、マイナスの月次リターンとなった後、投資適格社債インデックスはその後12カ月間の90%の期間でプラスリターンを上げており、ハイイールド債インデックスでは同80%でプラスリターンとなっています1

短期デュレーション戦略は、キャッシュを保有している投資家にとっては特に魅力的です。3月は、流動性確保の必要から残存期間が短い債券は大きな打撃をうけました。このため、イールドカーブの短期部分が比較的割安になっています。たとえば、残存1-5年の英国適格社債の利回りは2.74%で、一方、残存10-15年の利回りは2.72%です2 。このため投資家は、デュレーションが短く残存期間が短い債券に投資することによって、より残存期間が長い債券と同様の利回りを享受できます。ハイイールド債の利回りはさらに魅力的で、イールドカーブは長短で逆転しています。

当社は、3段階の市場回復を予想しています。フェーズ1はコロナ感染がピークを迎え、新規感染者数や死者数が減少し、公的医療サービスへの圧力が低下するものです。フェーズ2は、ロックダウン解除への道筋が明確になる段階です。そしてフェーズ3に至り、中期的な経済回復に入ります。株式投資家はこれらのフェーズ通過を考慮した後、2020年および2021年の収益予想を立てられるでしょう。しかし、フェーズ1やフェーズ2が長引いたり、フェーズ3の回復が力強さに欠ける場合、株式市場およびクレジット市場は再び弱気市場に陥る可能性があります。

アクサIM 欧州ハイイールド債ヘッド、ジェームズ・グレッドヒル

新型コロナ危機に陥った際、ハイイールド債発行体の状況はまずまずでした。過去数年間の低金利環境を利用して、短期の借り入れから長期の借り入れに切り替えていたハイイールド債企業は特にそうです。また、金融機関から明示的な貸出枠であるリボルビング・クレジット・ファシリティ(RCF)の形で、ある程度資金繰りの柔軟性を持っています。このため、2020年から2021年にかけてリファイナンスの必要がある企業は比較的少なく、借り入れの返済は集中していません。

しかし、コロナ危機に伴う経済へのブレーキは極めて急激なものです。ハイイールド債の発行体に関しては、エネルギーセクター(特に米石油会社)への打撃が特に大きく、輸送、レジャー、小売も影響を受けています。リファイナンスの必要がある負債を持たない場合でも、一部の企業はRCFを超える現金を必要としています。

バランスシート上の流動性は当社のクレジット分析における中心的な要素の一つですが、現状ではその重要性はさらに増しています。基本シナリオおよびストレスシナリオ(ロックダウンの長期化)において、各企業がコロナ危機を乗り越えられるかどうかを決定する鍵となります。当社では、シナリオの如何にかかわらず、各企業における短期流動性需要への対応に注目しています。

本稿執筆時点(4月8日)では、欧州ハイイールド債のスプレッドは733ベーシスポイント(bps)、米ハイイールド債は886bps、グローバル債は905bpsとなっています。この水準は、3月のピーク時からは約200bps縮小していますが、それでも年初からは500bpsほど高い水準です。

現在のスプレッドは2002年のハイテクバブル崩壊のピーク時に近いものです。現在よりもスプレッドが拡大していたのは、唯一2009年の金融危機の際で、スプレッドは一時的に2000bpsにも達しました。当社の基本シナリオでは、健全な金融機関の財務体質と金融システムが維持される下で、迅速かつ規模の大きな金融・財政政策の実行により、以前のような金融市場の崩壊は回避されると考えています。

企業の債務不履行(デフォルト)は2段階で増加する可能性があります。第1段階は差し迫ったデフォルトで、第2段階は2021年にかけての追加的なデフォルトです。当社では、デフォルトは一部のセクター(特に石油)に集中すると考えており、これはすでにクレジット市場に十分織り込まれているとみられます。

当社では、過去数年かけてハイイールド債のリスクを減らしており、特に米石油企業に対しては慎重なスタンスを取っています。今後数カ月間はボラティリティが高い状況が続くと考えられるものの、当社は今後、よりストレスの高い状況でも対応できるようリスクをコントロールしつつ、適切な範囲でポートフォリオのデュレーションおよびポジションを拡大する方針です。歴史が示唆するように、現在のようなスプレッド拡大局面でハイイールド債市場に参入すれば、一年後に振り返った時には極めて大きなリターンに繋がっている可能性が高いでしょう。

アクサIM グローバルテクノロジーおよびデジタルエコノミー戦略ファンド・ポートフォリオ・マネージャー、ジェレミー・グリーソン

投資家がコロナウイルス感染拡大の影響と期間を探ろうとする中、株式市場は過去数週間にわたりボラティリティが高く困難な状況となっています。しかし、テクノロジーセクターは株式市場全般より持ちこたえており、幾つかの要因がそれをけん引していると当社は考えています。

たとえば現在、在宅勤務の必要性が高まったことで多くの人々はリモートアクセス技術が効果的なことを理解したため、長期的にはリモートアクセスが日常的な働き方の一部となる可能性があります。一部のソフトウェアプロバイダーやクラウドベースのセキュリティ企業も在宅勤務拡大の恩恵を受けており、それらの企業の株価が最近上昇しています。

さらに、小売セクターの全業態へのコロナ感染拡大の影響を完全に把握するには時期尚早ですが、それでも強力なオンライン戦略を展開している企業は、現在の状況にうまく対処しているとみられます。

政府が人々に長期的な外出規制を要請する前例のない状況下、ネットフリックスなどのコミュニケーションサービス・セクター企業やビデオゲーム企業のサービス需要が拡大しています。同様に、ソーシャルメディアやYouTubeなどのビデオプラットフォームに人々が費やす時間が増えると予想しています。

当社の長期投資対象銘柄の多くは現在、かなり魅力的なバリュエーションで取引されていますが、それら銘柄の予想売上高および予想利益は、全般的にほぼ減少すると当社は認識しています。株式市場の高いボラティリティは当面続く可能性があることに注意すべきでしょう。それでも、当社は事業機会が浮上している保有銘柄に対して買い増しを進めています。

結局、現在の状況はブラックスワンであり、その長期化や影響の幅を予想することは困難です。それでもなお、当社の運用方針は引き続き長期的な事業機会を有する企業への投資です。そして、当社の運用戦略における長期テーマのポテンシャルは依然有効であり、コロナ収束後にはさらに強固になる可能性がある、と当社は強く考えています。

以上

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新型コロナウイルスのマクロ経済および運用戦略への影響に関するアップデート - 2020年4月9日
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