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環境

グリーンボンドの新たな多様性が投資機会を提供

  • 2022年6月21日 (5 分で読めます)

グリーンボンド・セクターは変わりつつあります。長年にわたる力強い成長により、債券の主要セクターの一つとなっただけでなく、投資家に対してより豊かで多様なユニバースを提供しています。エネルギー移行およびネットゼロへの道を支える資金を世界が求める中、グリーンボンドの多様化が発展していき、投資機会拡大に伴うしわ寄せを見抜くノウハウが投資家には必要であると当社は考えています。

グリーンボンドは、環境改善に取り組むプロジェクトや事業に対して資金を供給する仕組みとして登場しました。当初は、当然のことながら、多くのグリーンボンド発行は政府関連でした。2015年にアクサIMが独自のグリーンボンド戦略を開始したとき、市場は準ソブリン債発行が中心で、その規模は約500億ドルでした。2022年の市場動向は大きく異なります。

現在では1兆ドル規模の市場となっており、ソブリン関連と企業発行体の比率がほぼ半々となっています。この7年間で、多くの新しい企業がこの分野に参入し、現在では発行体の数は600社に迫る勢いです。銀行が今までも、そしてこれからも重要な役割を果たしていく一方で、不動産、通信、自動車、化学、消費財など多くの企業セクターでも大きな貢献があります。より多くのセクターが移行への投資に意義を見出しており、気候変動へのエクスポージャーを減らすための資金や、移行期の経済が需要に与える影響に適応するための資金を求めています。

一方、以前から市場を支えてきた政府機関はグリーンボンド発行を継続しており、毎年新しい国が参入しています。2021年の英国、イタリア、スペインに続き、デンマーク、カナダ、オーストリアが最近加わり、ネットゼロへの持続的な動向が、政府機関や企業セクターの投資促進に貢献しています。

市場の幅の拡大

グリーンボンドのユニバースが広がることで、提供されるリスクプロファイルの幅も拡大しています。質の高い発行体は依然として市場の中核をなしていますが、クレジットでは劣後債の発行が増加しており、銀行や企業による(バーゼルIII)Tier 2適格債やハイブリッド債を発行しています。

また、純粋なハイイールド債発行体もグリーンボンド市場に参入してきています。これは当初、難しいことでした。ハイイールド債発行体は小規模な発行傾向があり、グリーンボンドの初回発行の際には追加コストの影響が増幅します。それでもこれは着実な動きとなっており、グリーンボンド・ユニバースにおけるハイイールド債(純粋なハイイールド債およびハイイールド債と格付けされた投資適格発行体の劣後債を含む)は、現在ユニバース全体の約10%を占めています。

ここ数年におけるもう一つの重要な変化は、新興国におけるグリーンボンドへの意欲の高まりです。中国の発行は大きな話題となっており、2022年の発行額は1,000億ドル(約13兆5,000億円)の大台に乗ると推定されています。このような傾向を受け、アクサIMなどのアセットマネージャーは、時として複雑になる発行状況を注視するようになっています。中国はネットゼロ経済への移行において重要な役割を担っており、当社の見解では、主要投資家はグローバルなグリーンボンド基準の統一を段階的に推進すべきである一方で、個々の債券の長所を綿密に分析することも重要です。

中国での発行の多くはオンショア市場であり、外国人投資家は購入を思いとどまることになるかもしれませんが、ドルおよびユーロでの発行も依然として多い状況です。中国で発行されるすべてのグリーンボンドが私たちの枠組みにおいて適格であるわけではありませんが、投資家が支援できる信頼できる投資対象やイニシアティブも存在します。

新興国における投資機会の拡大

また、新興国の話は中国のみではありません。インド、インドネシア、チリなどが参入し、政府機関レベルおよび企業レベルの両方でグリーンボンドの発行が見られるようになりました。この勢いが今後も増していくことを強く期待します。また、新興国におけるグリーンボンド発行は、環境戦略に取り組むすべての人々にとって潜在的な投資機会である、と当社は考えています。低炭素プロジェクトや企業への融資を、先進国よりも大きな影響を与える可能性がある場所へと拡大し、遅れをとっている市場での移行促進をサポートできます。

移行期の実用的な利点は別として、新興国全体に資本配分することは、ポートフォリオ構築に分散メリットを確実にもたらすことでしょう。これは、リスクプロファイルや、欧州における同格付け発行体債券と比較した場合の潜在的な利回り向上の面でも同様で、グリーンボンドにおけるダイナミック戦略、すなわちニッチではあるが市場で拡大しつつある機会をとらえる戦略の追求を裏付けるものです。

中国の例は、すべての債券が同じではないというグリーンボンド投資家への良い警告であり、広く応用することができます。中国のグリーンボンド市場には、他では見えないリスクが存在します。プロジェクトは実際に環境にやさしいのか。プロジェクトは、企業の環境目標と積極的に連動し幅広い企業戦略の一部を形成しているのか。調達資金のうち、どの程度が「他」の目的に使用される可能性があるのか、といったことです。

市場が拡大し、新境地を切り開いていく中で、当社は戦略の整合性を維持する責任があると考えています。注意が必要です。すべての新規銘柄が純粋に検証可能な「グリーン」である保証はありません。保有候補銘柄を慎重に検討することが、真に責任あるアクティブ運用投資家の役割の一つといえます。

投資家は入念な検討が必要

グリーンボンドの普及は健全な発展であり、エネルギー移行推進をサポートするイニシアティブに資金が回るようになる一方で、企業や国が許容範囲ぎりぎりの(あるいは許容範囲を超えた)提案を市場に出ようとする可能性も出てきます。

当社は、独自のグリーンボンドの枠組みを厳格に適用してポートフォリオを構築していますが、このユニバースにおいて保有資産を分散させていくと同時に、当社の基準を満たさない発行の割合増加が顕著になっていることに気づかされます。また、それはクレジット発行体に限ったことではありません。私たちは、最近発行された複数のソブリン債への投資を断念しましたが、これは、融資を受ける予定のプロジェクトが化石燃料ゼロではないと判断したためです。グリーンボンド資産の選定に細心の注意を払わない投資家には、明確かつ重大な風評リスク、場合によっては金銭的リスクがあります。環境、社会、ガバナンス (ESG) 関連の論争に直面した発行体のグリーンボンドは、通常の同等銘柄よりも低迷する傾向があると見ています。

グリーンボンドが多様化すればするほど、入念な検討が必要になってきます。グリーンボンドは、私たちが持続可能な未来の構築を目指す中で、投資の世界に到来した1兆ドル規模の市場です。この市場が真に広大な投資ユニバースへと発展することは、地球に対しても、そして新たな市場を理解し舵取りする能力を備えたアクティブ運用責任投資家に対しても、大きな恩恵をもたらすでしょう。

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