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年間見通し

2022年の見通し: パンデミックの影響は後退し、引き締め政策始動へ

  • 2021年12月1日 (7 分で読めます)

新型コロナウイルス発生から2周年を迎えようとしていますが、投資家にとって、新型コロナは依然として重要な懸念材料です。ワクチン接種率を高めている国がある一方で、新たな感染者発生が続いている国もあります。そして11月下旬には、新たに「オミクロン型」が出現しました。

それでも、主要国ではパンデミック後の回復が続くと当社は予想しています。2022年のGDP成長率は、2021年の反動で低下する可能性が高いですが、依然として堅調な経済成長を見込んでいます。

予期せぬショックが発生した場合、世界経済の回復ペースの維持が難しくなる可能性があります。2022年はインフレが引き続き懸念材料となり、中央銀行による金融引き締め政策により、多くの主要市場で金利が上昇し始めるとみられます。

アクサグループのエコノミスト兼アクサIMリサーチヘッドであるジル・モエックは、次のように述べています。「2021年は急速な『復元』の年となり、経済の再開に伴い需要が急速に立ち上がり、供給に大きな圧力がかかり、消費者物価の数十年ぶりの上昇を引き起こしました。2022年は、パンデミックのショックを緩やかに吸収する年になると考えています。多くの繰り延べ需要のキャッチアップが過ぎつつあるため、GDPの数字は堅調ではあるものの、目を見張るものではなくなり、供給状況が正常化してインフレ率が鈍化するとみられます。このため、中央銀行は政策正常化のペースに関して慎重な姿勢を保つことができるでしょう」

「気候変動との戦いの影響を抜きにして、マクロ経済見通しを考えることは不可能になっています。このプロセスに不可欠なのは、ネットゼロ経済に移行しようとしているセクターや事業に資本を再配分することです。ネットゼロ経済に移行するために必要な投資は膨大なものになりますが、すでに目に見える形になってきており、この見通しの予想投資期間において既に経済成長にプラスの貢献をもたらすと考えています」

以下で、2022年から2023年にかけての主要国・地域の見通しをまとめました。なお、アウトルックレポートの全文(日本語版)は当ページよりダウンロードできます。英語版はこちらからご覧ください。
また、今後1年間に投資家が直面するであろう主要テーマ、投資機会、リスクをまとめたビデオはこちらからご覧ください。

米国

2021年の景気回復は、深刻なサプライチェーンのボトルネックを引き起こしましたが、新型コロナ感染拡大が抑制されれば、こうした圧力は緩和されるでしょう。供給不足はインフレに大きな影響を与えており、インフレ率は40年ぶりの高水準に向かっていますが、2021年末にピークを迎え、2022年4~6月期以降は大幅に低下すると予想しています。GDP成長率は堅調に推移すると思われますが、2021年には5.5%、2022年には3.5%、2023年には2.7%と減速していくと予想しています。米連邦準備制度理事会(FRB)は、2022年末には実際に引き締めサイクルを開始すると見られますが、長期的なインフレ動向に対応するため、より早期の引き締め開始の可能性もあります。

ユーロ圏

好調な夏が過ぎ、ユーロ圏の短期的な見通しは、新型コロナの再拡大、インフレの上昇、供給不足、中国の景気減速によって脅かされています。しかし、労働市場の緩やかな改善、2022年にかけての物価上昇の緩和、政府や中央銀行による継続的な支援など、いくつかの追い風がユーロ圏の経済活動を支えるでしょう。全体として、当社ではユーロ圏の成長見通しに関しては楽観的で、2022年のGDP成長率は3.9%、2023年は2.1%と予想しています。インフレ率は2022年に軟化し、2022年の平均インフレ率は2%、2023年は1.6%になると予想しています。ユーロ圏の政治情勢の見通しは明るいと思われますが、2022年にイタリアとフランスで選挙が予定されており、若干の不透明感があります。

中国

中国は、パンデミックからの回復軌道をたどりましたが、2021年後半には経済が一段と軟化しました。この背景にある多くの要因(問題山積の不動産市場、輸出見通し、新型コロナ)は、2022年から2023年にかけても影響を及ぼし続けると予想しています。中国政府はマクロ経済政策と金融政策の再調整を余儀なくされ、モメンタムが改善すると見ています。2022年通年のGDP成長率は5%、2023年には5.3%を予想しています。しかし、政策上の困難な綱渡り的状況に注目しており、予測に関する下振れリスクが大きくなっています。

新興国

パンデミックに対する緊急の政策対応が、新興国の2021年の経済回復を支えました。しかし、2022年には政策対応は弱まり、回復はより国内の牽引要因に依存することになるとみられます。アジアでは、2021年のデルタ変異株に起因する混乱の後、2022年には消費者志向の経済が恩恵を受けて回復すると予想しています。ラテンアメリカの成長は軟化すると見られ、新型コロナ危機以前の低めの水準に戻ると予想しています。中欧も、2021年の過熱状態から、2022年には潜在的な経済力に向けソフトランディングすると考えます。インフレ率が上昇しており、中央銀行の目標を超えていることが多いため、ラテンアメリカと中欧では前倒しの利上げが行われています。2022年には、アジアも緩やかな利上げで追随する可能性があります。新興国全般のGDP成長率は、2021年には6.2%に回復し、2022年には4.4%で回復を続けると予想されます。

日本

2021年は低成長となった日本は、緊急事態宣言が解除されたことが2022年には追い風になると予想されます。新たな経済対策が、デジタル化の促進、気候変動対策、自動車セクターのサプライチェーン問題の改善などを後押しするとみられます。当社では、2022年の平均GDP成長率は3.5%、2023年は1.6%と、市場コンセンサス(それぞれ3%、1.3%)を上回ると予想しています。インフレ率は上昇するとみられますが、日銀が目標とする2%にはまだ遠いため、少なくとも2024年までは緩和的な金融政策が維持されると予想しています。

英国

英国の欧州連合(EU)離脱とパンデミックの複合的な影響を考慮すると、英国経済の回復がどこまで進むかは不確実性に包まれています。さらに、政治的な不透明要因もあります。サプライチェーンの圧力とエネルギー価格が現在のインフレの急上昇をもたらしており、インフレ率は2022年4~6月期に5%に達した後、年後半には低下すると予想しています。GDP成長率は、2021年に6.9%、2022年に5.2%、2023年に2.3%と当社は予想しています。労働市場の逼迫とインフレ率上昇の兆しがあることから、イングランド銀行は2022年末までに0.75%、2023年末までに1%の利上げを行うと予想しています。

2022年の市場見通し

2022年の市場見通しに関して、アクサIMコア最高投資責任者のクリス・アイゴーは次のように述べています。「新型コロナが引き続き必然的に市場の関心事になるでしょう。しかし、インフレ率の上昇も懸念されます。現在、金利上昇局面に入ろうとしており、これを投資見通しに織り込む必要があります。しかし、市場は金融引き締め政策をおおむね織り込み済みとみられ、実際の金利上昇が予想通りになれば、債券市場の損失はそれほど大きくならないと見ています」

「同様に、企業収益が成長を続ける限り、株式市場は小幅な金利上昇に対応できるとみられます。しかし、2021年に経験した力強い企業収益は、経済活動の正常化に伴い、2022年には減速すると予想されます」

「投資家にとってのより大きなリスクは、インフレによって中央銀行がより積極的な政策対応を迫られることです。これは債券利回りの上昇を意味し、クレジットや株式のリスクプレミアムが拡大する可能性があります。同時に、持続可能性への関心の高まりは、民間資本をより多くのグリーン投資に向かわせることとなり、インフレや小幅な金利上昇への現在の懸念をはるかに超えて、ESG関連投資にとって大きな追い風となるでしょう」

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