
メローニ党首は軟化するのか?(続くECBとイタリアの駆け引き)
- 2022年7月25日 (7 分で読めます)
キーポイント:
- ECB(欧州中央銀行)のTPI(伝達保護措置、一部のユーロ圏加盟国を守るための新たな債券買い入れ措置)がイタリアを救うことはないだろう。9月25日に実施されるイタリアの総選挙で勝利する可能性の高い政党が、どのような経済政策を打ち出すかがカギとなる。
- 中央銀行の現在のタカ派的スタンスには勢いがあるが、欧米で景気減速の兆候が蓄積されつつある。これは、夏の終わりにかけての政策論争に影響を与えるかもしれない。
ECBは、6月の理事会で(7月に利上げを)25ベーシスポイントから開始すると いう明確なフォワードガイダンスを出したにもかかわらず、 マイナス金利の「バンドエイドを剥がす」ことを選択し、50ベーシスポイントの利上げ(マイナス金利の解消)を実施しました。ECBが将来、再びフォワードガイダンスを行う決断をした場 合、今回の利上げはECBの信認にとって恒久的な代償となる可能性があります。ECBはおそらく、新たなフラグメンテーション(分断、ユーロ圏の一部の国の国債利回りが不適切に上昇すること)防止手段であるTPIの全会一致の支持を得るために、タカ派に譲歩する価値があると考えたのでしょう。しかし当社は、TPIはイタリアからフラグメンテーションが伝染した場合に他の周辺国を保護する強力な手段になり得ると考えていますが、この新しいツールがイタリアの政治劇そのものに対処する助けになるとは考えていません。TPIの「軽い条件」でさえ、ドラギ連立政権内の緊張の核心であったEUとの既存の「契約」を遵守する必要があるのです。イタリア政界から聞こえてくるのは、今のところ「自分たちのことは自分たちで」ということです。 9月25日の総選挙で勝利する可能性のある政党が、選挙公約をどのように修正するかが、これ以上のスプレッド(ドイツ国債とイタリア国債の利回り差)拡大を抑制する鍵になるでしょう。現在、右派連合内で世論調査をリードしている極右政党「イタリアの同胞」のメローニ党首は、すでに欧州統合に対する懐疑的な姿勢を弱めていますが、税制や構造問題については依然として急進主義的です。
ECBは金融政策正常化の継続を望んでいることは明らかです。それでも、ユーロ圏の多くの経済主体(政府、企業、家計)にとって金融状況はすでに抑制的であり、最新の銀行貸出調査も貸出基準が急速に厳しくなっているこ とを指摘しています。7月の購買担当者景気指数(PMI)速報値は実体経済の急速な悪化を示唆しており、非自発的な在庫発生は現在の価格変動をようやく抑制する可能性があります。こういった動向により、ECBハト派が地歩を徐々に固めることになるかもしれません。それでも、当社は9月のECB理事会においても50ベーシスポイントの利上げを予想しています。
当社は今週、米連邦準備制度理事会(FRB)が75ベーシスポイントの利上げに踏み切ると予想しています。米国でも実体経済に悪影響を及ぼす兆候が蓄積されつつありますが、米国では初期的な経済過熱感が明確であり、FRBは当面、かなりタカ派路線を維持すると思われます。
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