
クリーンテック戦略月次レター:廃棄物処理企業が堅調
- 2022年7月11日 (5 分で読めます)
クリーンテック戦略月次レター(2022年6月の振り返り)
廃棄物処理企業が堅調
<<収益の一部が物価連動、需要も安定的に推移、リサイクルでも貢献>>
6月の世界株式市場は、マクロ経済情勢の悪化に対する懸念から大幅な下落となりました。エネルギー価格の高騰とより広範な物価上昇圧力が消費者心理に重くのしかかかり、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のため通常の3倍となる0.75%の利上げを実施しました。市場では7月以降も更なる利上げを織り込んでいます。継続する地政学リスクの緊張に加え、サプライチェーンの混乱、消費者心理の悪化などが株式市場下落の要因となりました。
クリーンテック戦略ポートフォリオの当月のパフォーマンスは、世界株式(MSCI ACWI、米ドルベース)を下回りました。当月は、主として北米や欧州の保有銘柄の株価下落がマイナス寄与となりました。
景気動向に大きく左右されない事業構造
インフレ圧力が市場に幅広く影響を及ぼしていますが、当戦略で保有している廃棄物処理関連の主要企業であるカナダのウェイスト・コネクションズや米国のリパブリック・サービシズは、収益の一部が物価に連動していることから相対的にパフォーマンスは堅調に推移しています。こういった事業の契約では、利用料金が物価変動に応じて調整される場合が多く、収益の下支えとなります。また、廃棄物処理、特に住宅向けを主体とするゴミ回収需要は常に一定水準あり、景気動向に大きく左右されません。廃棄物処理に併せて再生可能資源の回収を行っており、リサイクル事業も拡大しています。
マクロ経済への懸念に関わらず、高まるエネルギー移行の動き
なお、マクロ経済への懸念にも関わらず、エネルギー移行への動きは高まっています。6月下旬にドイツで開催されたG7サミットでは、主要国首脳はパリ協定への関与を再確認し、2050年までの温暖化ガス排出ゼロ実現に向け、クリーンエネルギー移行の加速で合意しました。また、気候変動対策に意欲的な国・地域による「気候クラブ」の年内設立を目指すことでも合意しました。
欧州連合(EU)加盟国の環境相理事会は6月下旬、EUの気候変動対策で合意し、2035年までにガソリン車などの内燃機関車の新車販売を事実上禁止することが固まりました。EUは今後、電気自動車(EV)の普及拡大や充電設備の充実に力を入れていきます。
それでも、6月には、米連邦最高裁が石炭火力発電所などからの温暖化ガス排出を規制する連邦政府の権限を制限する判断を示したり、ドイツがロシアからの天然ガス供給大幅減に備えて石炭火力発電の稼働拡大の緊急措置を発表し、短期的には脱炭素への足踏みとなる可能性があります。しかし、中長期的にはネットゼロが目標であることには変わりなく、特にEUではロシア産化石燃料依存からの自立が急務となっており、再生可能エネルギー発電能力の増強やスマートグリッド、エネルギー貯蔵の拡大が加速する見込みです。
EV生産拡大で重要なリチウムの確保
EV生産の拡大にあたっては、バッテリーの主要原材料であるリチウムの確保が重要ですが、供給不足が深刻になっています。当月、当戦略では、オーストラリアのリチウム生産企業バルカン・エナジー・リソーシズを新規に組み入れました。同社は環境負荷の少ないリチウム生産のパイロット・プロジェクトとしてドイツのライン渓谷上流に採掘権利を有しており、2024年に商業生産を開始する予定です。既に複数の主要EVメーカーやバッテリーサプライヤーとも供給契約を結んでいます。
ポートフォリオの動向
スマートエネルギー関連分野では、エネルギー効率化ソリューション企業のアメレスコがマイナス寄与となりました。同社は前月に良好な四半期決算と業績ガイダンスを受けて堅調なパフォーマンスとなりましたが、当月は反落しました。主要テクノロジー企業シーメンスも、業績に関する短期的な逆風への懸念からマイナス寄与となりました。同社は、特に中国のロックダウンおよびロシア関連資産の減損によりモビリティ事業の四半期利益が影響を受けるとの見通しを示しました。しかしながら、運用チームでは、同事業の中期的な見通しは引き続き強く、スマート・インフラストラクチャーの構築に伴う投資機会も魅力的であると考えています。経営陣も業績ガイダンスに変更はないとしており、中長期的な見通しは引き続き良好です。
廃棄物処理・資源有効利用関連分野では、前述したウェイスト・コネクションズやリパブリック・サービシズなどの銘柄が、堅調なパフォーマンスとなりました。一方、使用済み食用油などからバイオ燃料を製造するダーリン・イングレディエンツは軟調なパフォーマンスとなり、同分野全体のパフォーマンスを押し下げました。
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