債券四半期見通し – 2022年7月
債券四半期見通し(2022年7月)のビデオ(英文字幕)では、債券グローバルヘッドのマリオン・ルモレデックが、債券市場の主要動向を解説しています。主なポイントは以下の通りです。
- 年初来、特にこの3カ月間は債券市場にとって最も厳しい時期となり、さまざまな債券資産クラスが軒並みマイナスのパフォーマンスとなった。4~6月期には、欧米の金利が再び大きく上昇し、金融市場はインフレ高騰と中央銀行の行動の影響を大きく受けた。
- インフレは投資家の主要な懸念事項の一つとなっているが、インフレのピークがいつ到来するかを予想するのは非常に困難である。インフレを加速させる要因として、サプライチェーン問題、中国の低成長とその世界経済への影響、そして特に賃金上昇圧力となるインフレの2次的効果がある。
- このようなインフレ状況を踏まえ、中央銀行は世界中でよりタカ派的な利上げを行っている。なお、10年物国債金利は4~6月期を通じて上昇を続けたが、ここ数週間で変曲点が見え始めている。
- イタリアとドイツの10年物国債利回りスプレッドは一時240bpsまで急速に拡大したため、欧州中央銀行(ECB)の緊急会合が開かれ、この種の状況を回避するための分断化防止ツールが発表された。
- インフレ見通しが依然大きなけん引要因となっているこれらの市場において、引き続き金利戦略を選好する。
- 当社では、ポートフォリオのデュレーションを引き続き積極的に注視している。ユーロ圏においては、依然として短期デュレーションバイアスではあるものの、過去1カ月間に数度、戦略を中立化させている。
- 当社では、ドイツ10年物国債利回りが7~9月期には1.5%に達する可能性があると考えており、金利上昇の下支えにより2年-10年のフラット化戦略を導入した。
- 短期インフレ連動債は、高いインフレ率による追加キャリーの恩恵があり、引き続き魅力的である。ブレークイーブン・インフレ率については、4~6月期に大幅に低下したことから市況改善の恩恵を受けるとみられ、よりタクティカルなアプローチを取っている。
- クレジットスプレッドに関しては、投資適格債とハイイールド債の両方で拡大している。バリュエーションには景気後退リスクがすでに織り込まれているとみられるため、当社はクレジットリスクを追加している。
- セクター配分については、当社は主に3つの確信を持っている。第一に、銀行セクターは、インフレに対して十分に保護されており、自己資本比率も良好である。第二に、不動産は景気循環に強いセクターであるが、現在、バリュエーションはそれほど高いわけではなく、特に、投資適格発行体についてはそうである。そして、第三に、ハイイールド債ではBB格のような質の高い発行体を選好する。
- もちろん、インフレは引き続き最重要課題であり、特に外生的なショックとその展開に注意が必要であろう。それでも、市場参加者の関心は、成長見通しと景気後退リスク、特に個人消費の減速に集まっている。
- 債券市場のテクニカル要因は改善しつつある。これは、中央銀行が市場のボラティリティ低下よりもインフレ抑制に注意を払っているためであり、また、中央銀行のバランスシート縮小が社債発行の大幅な減少と相まっているためである。
- 結論としては、すべての債券資産クラスのバリュエーションは大きく魅力的になってきており、7~9月期の債券市場の見通し改善に貢献している。
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