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Investment Institute
マーケット見通し

市場アップデート: 米国経済は失速しているのか?

主なポイント

米国の雇用統計の弱さは、消費者心理と支出に影響を与えると考える
市場は米国の新たな関税の影響を察知し、景気後退リスクが高まっているとみている
米国の短期的な経済・金融政策への期待が変化しているとみている

先週は米国の経済と市場にとって転換点となったのでしょうか?労働市場指標が予想外に弱かったことを考えると、転換点となった可能性はあります。この指標発表は、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切るとの期待を市場に再び呼び起こしました。

さらに市場では、米国の景気後退(リセッション)への懸念も高まっています。市場心理(センチメント)に影響を与えた出来事は、全体として4つあります。それは、予想を下回った雇用統計、2025年4~6月期の国内総生産(GDP)データ、8月7日発効の追加関税発表、そして米労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー長官の解任です。


予想を下回る雇用データ

過去3ヶ月分の雇用者数推計の大幅な下方修正を考慮すると、今回の雇用統計は市場にとって衝撃的でした。この更新データは、2025年の雇用者数がほとんど増加していないことを示しています。もしこれが正確であれば、消費者心理と支出に影響を及ぼすとみています。労働市場統計に関する報道の増加も消費者心理に影響を与えるでしょう。関税による消費者物価上昇の証拠が増えていることと相まって、消費者の消費意欲の減退リスクが高まっているとみています。8月1日の米国株式市場では、一般消費財セクターが最も大きな打撃を受け同日に3.5%下落し、他セクターと比べて年初来で最も低調なパフォーマンスとなりました。

データはセンチメントにとって重要である一方、ドナルド・トランプ大統領によるBLS長官解任決定は、今後の経済データの独立性に疑問を投げかけることになると考えます。FRBを政治利用しようとするトランプ大統領の野望は、市場にとって既に懸念材料となっています。経済データにも信頼性の問題が生じれば、市場はFRBのマクロ経済主導による戦略に対して信頼を失ってしまうとみています。これはドル安を再燃させる可能性があるでしょう。

雇用統計は、7月までの3ヶ月間で連邦政府の雇用が大幅に減少したことを示しています。米国政府効率化局(DOGE)の取り組みは、予想以上に成果を上げていたのかもしれません。トランプ大統領就任後の目玉政策の一つが大きな原因となっている可能性があるにもかかわらず、大統領自身が雇用統計に憤慨しているとは皮肉な状況とみています。


駆け込みによる経済成長

2025年4~6月期のGDPデータは、季節調整済み前期比年率換算値で3.0%の成長を示し、2025年1~3月期の0.5%減から上昇しました。一見すると力強い数字ですが、このデータは関税に関連した貿易状況が大きく変動した影響を受けており、国内需要の伸びは鈍化しています。

8月1日に関税が発表された後、イェール大学予算研究所は実効輸入関税率を18.3%と推計しており、これは1934年以来の最高水準です1 。第2四半期決算シーズン中、企業収益への影響については企業から多くの言及がありました。インフレ指標は4月以降、いずれも上昇傾向にあります。関税は米国企業と消費者への負担であり、一方で製造業の雇用は減少し続けています。

私(筆者)は、米国経済の短期的な見通しに対する市場の期待が変化したと感じています。景気後退リスクが高まっています。市場は現在(執筆時)で、9月の利下げ確率を81%、年末までに2回以上の利下げを織り込んでいます。しかし、インフレを背景に、FRBは厳しい状況に置かれています。FRBが利下げに動くには労働市場の弱さを示す証拠がさらに必要ですが、市場はおそらく労働市場の軟化方向に予想を強めるとみています。その影響として、米国の金利曲線(イールドカーブ)がスティープ(急勾配)化するとみています。しかし、株式市場では、今年第2四半期の堅調な業績発表に反した投資戦略を行うことは難しいでしょう。そのため、景気後退の警鐘がもう少し強く鳴るまでは、クレジットスプレッド(信用格差による利回り差)は依然として収縮した状態が続くとみています。

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パフォーマンス等のデータの出所:LSEGワークスペース・データストリーム、ICEデータサービス、ブルームバーグ、アクサIMグループ。特に記載がない限り、2025年8月4日現在。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。また、記載内容は、2025年8月4日現在の資本市場を説明したものであり、特定の金融商品への勧誘や推奨を意図したものではありません。

(オリジナル記事は8月4日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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